こうして生まれる都市伝説。しらんけど。
お風呂から上がり、顔面にパックを貼り付けながら、ドライヤーで髪を乾かす。
最近、ちょっと暖かくなってきたけれど、油断すると冷えてしまうので、気を使う。
髪を乾かす時間は、動画を見ていたりもするけれど、考え事をするにももってこいの時間だ。
鏡の中の自分をぼーっと視界に入れながら、それでも髪を乾かす手は止めずに、取り留めもなく考えを巡らせる。
私はプライベートではもっぱら歳上の人と行動を共にすることが多い。というか、私は歳下と関わることが苦手である。なんか下手に発言したらパワハラとかに該当しそうだし、そこまでいかなくても、気を遣ってくれていることに気づかずに説教垂れる老害になりたくないし、とかって考えていると、歳下と関わるのが普通に怖いのだ。
というわけで、歳上の人と行動を共にすることが多いのだが、
食事代を出してくれたとき、
何かをプレゼントしてくれたとき。
そうでなくても、客観的に見て相手が私をエスコートしてくれている感が醸成されているとき。
そんなときに、思う。
これはほぼ、
「パパ活」というやつなのでは?
もちろん、歳上の人と行動を共にするのは、そういう恩恵を目当てにしているわけではない。
気心のしれる人が歳上であることが多いだけである。だから、どちらかと言えば、実年齢ではなく精神年齢が大事なのかもしれない。
歳上の人が歳下の者に与える恩恵を受ける時にも、ちゃんと一応は言葉に出して遠慮するし、それでもご馳走してもらった時は心の底からありがたいなと思っている。だから、あまりに頻度が高いと、さすがに申し訳なさすぎて困ってしまう。
こんな状況を鑑みても、断じて、いわゆるパパ活ではない、といえよう。
パパ活ではない。
ないのだが。
客観的に見たり
奢り奢られの事実だけを見たり
そうやって見たら
ほぼ パパ活なのでは?
とは、思うのだ。
髪の毛が八割方乾いたところで、一度ドライヤーを止め、毛先にヘアオイルを塗り込む。
本当はタオルドライをしっかりして、ドライヤーの前につけるといいらしい。
でも、私は貞子顔負けのロングヘアーなので、タオルドライをしても水分が取りきれず、ヘアオイルが浸透しない気がするので、ドライヤーの終盤にヘアオイルタイムを設けることにしている。
いかんせん根がめんどくさがりやなので、そんなに熱心に美容に気を遣っているわけではない。でも、何もしないでさらに面倒くさいことになるのはいやだ。
金銭的にも、労力的にも、コスパ良く、キレイになりたい。バランスが大事。
今、顔面に張り付いているパックも、この一枚で、化粧水とか乳液とか美容液とか、なんやかんやお風呂上がりにやった方が良いと推奨されているあれこれが全部1枚で済みますよっていうコンセプトの商品だ。私にうってつけすぎる。
残りの髪を乾かす。
毛先だけなので、結構早い。
どうせ寝ている間に結構ぐちゃぐちゃになるよな、と思いながらも、ブラッシングをしておく。
最近美容院に行ってトリートメントをしてもらったばかりなので、髪のコンディションは良好。
でも、肌のコンディションは激悪。
寝不足?食生活?ストレス?
思い当たる節が多すぎる。
思春期を過ぎたら肌も落ち着くのではないかと思っていたけど、そうでもない。むしろ、
ニキビや吹出物の類はそのままに、風呂上がりにすぐ乾燥するみたいな症状が加わって、より手のかかる子に成り下がった。
たぶん、エイジングケアとか、そういうのが必要な年齢になってきている。
そんな私が、もし仮に「パパ活」したとしたら、、、
“女子”といって良い年齢なのか怪しくなってきているので、パパ活女子ではなく、
「パパ活女」
いや、下手したらもっとひどい。
「パパ活ババア」
どっちにしろ、、、
そう、、、これは、、、、
妖怪にいそう!
「現代妖怪ーパパ活ばばあー」
やばすぎ!字面つよすぎ!語呂良過ぎ!
謎の思いつきを果たした私は、微妙にテンションが上がってしまう。
ドライヤーを片付けて、鏡に向かう。
顔面のパックを外す。
純白の皮の下から、
荒れまくりの肌色が現れる。
私なら、
都市伝説に、
なれるかもしれない。
「現代妖怪ーパパ活ばばあー」
新たな伝説の幕開けを、見逃すな。