上を向いて歩こう

ご存知の方も多いとは思うっすけど、俺の唯一の趣味は麻雀っす

ただま~30すぎて覚えたので、僕の雀暦は、年齢の割りに長くないっすw
しかも最近は忙しすぎて代官山時代のように頻繁には打てないっすね~。

麻雀をはじめたばかりの頃って、フリーとか行かなくてセットばっかっすよねw
麻雀やりたくてしょうがないから、会う人会う人に麻雀できるか聞いちゃう。

ある日、超絶に美しい女優さんの、柏木ユキコさんと仕事した時だと記憶してますが

「あら、ブンさん麻雀できるの?ならあさっての日曜日うちに遊びにいらっしゃいな」

なんて誘われたものだから、もう有頂天っすねww

芸能人の
「今度のみに行きましょう」
はたいがい社交辞令なんっすけどね~。

こんな具体的に誘われるなんてまずない事っすw
しかもあのあこがれの女優さんのうちにお邪魔できる!!なんてはしゃいでましたっすw


都内のユキコさんの家につくと、出迎えてくれたのはユキコさんの綺麗な娘さん。
「母はもうすぐもどりますから、しばらくお待ちください。」

といって案内された大きなリビングの真ん中に、おかれた自動卓。
すでに席につかれていたのは、どこかで見たことのある方々。

「今日はよろしくお願いします。ブンです。」

といって、席に座った僕は、部屋中の壁にはある有名な男性の写真が張り巡らされている事に気がつく。
その頃、実はあんましユキコさんの細かい事とか知らなくて、ん~なんというかテレビの仕事してるのに、実は芸能人詳しくなくてっすね。

AKBとかやっと数人名前覚えた頃にはもう下火!w

恥ずかしながらユキコさんはよくドラマなんかで見かけるの綺麗な女優さんくらいにしか認識してなかったんっすよね~

「ああ!!」

僕はやっと心の中で気がつく。

「そうだったけ,,,,,,」

そうだ。彼女の旦那さんは、、、
僕の頭の中には日本中を震撼させた、日航ジャンボ機墜落事故の映像がかけめぐる。

上を向いて歩こう

明日があるさ

涙くんさよなら

僕は悲しみをこらえてなんとか前に出ようとする彼の歌が好きだ。

障害もなにもないなんて、人生ありえない。

だから、やみくもにポジティブに生きるなんてできない。

みんなそれぞれの不幸や苦痛を背負いながら、前に出ようとしている。悲しみを力に変えようとする精神が好きだ。

ユキコさんは友人を集めて、ほぼノーレートの麻雀を打ち続ける。

この手の集まりではホント珍しい事だ。

この部屋に毎週のように通ったけども、彼女にとっての麻雀は少なくともギャンブルなどではなく。供養に近いのかなと思った。

一度だけもらした事がある。

「わたしね。この部屋で麻雀を打っている時が一番幸せですのよ」

彼女の横顔は幸せと悲しみのまじった絶妙な輝きに包まれて美しかった。

その頃僕も、バブルの崩壊で多額の借金とともに自殺した恋人のユウの事をひきずっていた。

僕はユキコさんと麻雀を打たせてもらう事で、なんだかユウの供養をしている気持ちになり、
いつしかユキコさんの顔が菩薩のように見えていた。

ん~これね。ホントなんだよ。

だから今でもユキコさんは僕にとってはけっこう神聖な存在なんだよね。

そうやはり俺にとっての麻雀は死者への供養なのかもしれない。

だから石をひとつづつ積んでいくのだ。

あれから20年ほどたって、僕は数奇な運命に巻き込まれたのか、何か巨大な意思の導きなのか、なんとユウ ハルカ あーたん 3人の恋人と死別してしまった。

死別してしばらくはやはり後を追いたくなっていた。

妻と子を持ち、きっと周りからみたら幸せの絶頂の今でも、
今でも、僕だけがこの世にとりこされているような気持ちになってしまう事がある。

馬鹿にされて悔しい想いをしたりね。
上手に生きられなくて、嫌になってしまう事もあるんだよ 俺だってそんなうまくはいかんさ。

だけどね。
今日は、少なくとも今日は上を向いて歩こうかな。

涙がこぼれないようにね


(日航123墜落34周年。事故で亡くなられた方々の冥福を祈って,過去のブログから再構成。)

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