みとどけ日記(ゆくひと日記改め)2024.8/18-19
2024.08.18
曇天の朝。
昨夜は深い睡眠には入れず、臨終の前後の画像を無限再生しているような感じであった。
唐突な出来事を記憶化しようとしているのかもしれない。
明け方、急に思いついて、母の使っていたPCを立ち上げ、住所録を開く、知った名前、聞いたこともない名前が並んでいる。とりあえずプリントアウト。
いつものように犬と歩きながら、母の友人知人にどのような言葉で伝えるかなどと考えていたら、喉が詰まった。人間の感情とは奇妙なものである。
散歩後、父のところへ。
やはり眠れなかったようでへなへなしている。気づかぬうちにどこかにぶつけたようで、右手甲に内出血。
環境“激変”は起こっているので、それ以外の部分の生活をできるだけ維持すること。急にあれこれ関与せず、声をかけ、見守るだけしかできないな。
母は一晩明けて、さらに良い顔になっている。だがいかんせん顔色が悪すぎる。娘らが嫌がらなければ今どきのメイクでも施してもらうか?
母は手芸が趣味であった。彼女の趣味部屋を物色し、ぬいぐるみ(ひょっこりひょうたん島の登場人物)、パッチワーク、木目込み人形、そして国内外を旅したときに彼女が撮影した写真を集め、枕辺にならべた。がぜんにぎやかになる。遺影は2、3年前に娘が撮影したものが、イメージの中の母に一番ちかいので採用となった。
じじいのバカ息子は母の写真の背景をドローソフトで切り抜いたが、娘氏らは、なんちゃらマジックとか、AI切り抜きでチャチャっと。光源の位置まで変更できるとは!
父は起きたり寝たり落ち着かない。私以上に腹に落ちるまで時間がかかりそうである。
葬儀社とのもろもろの打ち合わせ終了後、葬儀にご参加いただきたいかたがたへ片端から電話。
斎場の制約があり人数合わせが面倒くさく電話をかけながらペコペコ、しどろもどろでご説明。恥ずかしながら台本を書きました。なかなかつかまらないこともあり夕刻遅くにようやくコンプリート。相手は親族ばかりだが疲れた。
娘氏らが化粧をしてくれた。チークも入って明るく。
その後、式場で流すスライドショー用に手芸作品などを写真撮りしてくれる。
父は夕方になり力尽き、ようやくベッドで寝始める。
新しもの好きの母は、日本で最初の? 樹木葬墓地を用意していた。でも、今後、父と同じ墓に入ることもあるので、分骨の手配も。そのほか手元供養用には自宅に帰って来てから。斎場での分骨証明がないと、その後の納骨ができないという。知らなかった。自分でやってもいいのかと……。
斎場内容は費用も含め、父が用意してきたことなので、口を挟まず、ところどころ軌道修正のみ。
母は20日朝まで自宅で過ごし、その後は式場へ移動。当日まで、しばし、冷たい世界で静養。
[BMKぶんろく 8/18]
2024.08.19
蒸し暑い朝。昨夜は父も眠れたようす。
今日は朝から弔問客多数──といっても、支援関係者や親族。通夜式代わり。在宅だからこそかも。
まずは、主治医が業務の間に来てくれた。ついでと言っては失礼だが、脚の痛みを訴え続けている父の「往診」もしてもらい、今まで服用の痛み止めより少し強めの薬を処方していただく。(ところが、後刻、処方を薬局にもっていくと、あまり多く使われないのか、在庫がなく明日に。父には一晩我慢を続けてもらうことに)
処方を書いている間に、葬祭業社がドライアイスを補充に。今どきは電気式のものもあるらしいが季節柄で払っているとのこと。新しもの好きの母は残念がっていることだろう。
お付き合いの長い方短い方、それぞれがそれぞれの母との思い出を語ってくださる。上品だとか、ここいら育ちとはちがってみえたとか言うが、家族からすれば「どこが?」です。
下町の威勢のよい場所で育った人。べらんめえも多少丁寧な言葉も使い分けることができ、人によって見せかたを使い分けていたのかと。
娘氏らの化粧が功を奏し、穏やかなお顔だと口々に言ってくださる。
そして、父の献身的介護を知っている皆さんは、父のことを心底心配して声をかけてくださる。ありがたい。
弔問客に対応しながら、バカ息子はツレアイの助けを借りて、スライドショー用素材を作りを進める。母の見合い写真?(三越で撮った“スカシタ”写真)とか、結婚式の写真(ずっと、深川八幡で挙式と思い込んでいたが、実は、浅草松屋だったと判明)が見つかったので、息子の結婚式、孫の七五三などの家族写真を軸にあいだあいだに母の手芸や写真作品を挟みこんだ。
式場側は「順番は要望に応じられない」とのことだが、物語を作ったので「シャッフルしたら死んでやる!」的添え書きをつける(笑)。
あ、死んだらあちらさまは儲かるか……(苦笑)。
参加者予定者のリスト、精進落とし、供花などの手配も。福祉用具の引き上げ日時の打ち合わせも。
父は弔問客に在宅介護生活、臨終場面等々をリフレインで話す。そうすることで少しずつ腹に落ちていくのだと思う。
夕方には「喪主挨拶を考えなくては」と言いだしたので、大丈夫かと。
[BMKぶんろく 8/19]