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「知的な AHA! 体験」

本日の読了

竹倉史人『土偶を読む 130年間解かれなかった縄文神話の謎』(晶文社 2021)

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一言で評せば、かなり「やばい」本。

先日、日本の縄文遺跡群がユネスコの世界文化遺産! という報道を耳目にした方は多いだろう。
 縄文時代を特徴づける「土器」そして「土偶」。
 本書はその土偶に焦点を当てている。
 土偶は「祭祀」という整ったものではないにせよ、なんらかの精神性発露のアイコンだと教えられてきたが、著者は、では、なぜ、あのように多様でキャッチーな姿をしているのか? ということを本書で明らかにしていく。
 ネタバレになるので書けないが、テレビでUFOが盛んに扱われていたころには「宇宙人」を記録した姿と言われた亀ヶ岡土器(遮光器土偶)が、実は今も日本の食卓に並ぶ「アレ」のアイコン化であったり、妊婦を表現し、すなわち豊穣を願っていると言われる「縄文ビーナス」と総称される土偶が「アレ」だったりと、目から鱗、コペルニクス的転回、しかし妙に人臭い宇宙人説や、ビーナスというには、バランスを欠いた豊満さ、重力に従順すぎる体形の妊婦説よりも、腑に落ちる。
 そして縄文人のアイコン・マインドは、現代のゆるキャラへ。

読後、ビーナスは、その言霊が持つ力を掃われ、もはやビーナスには見えなくなる。
 考古学ファンでなくても楽しめ、世界が変わるやばい本だ。
 
[2021.07.15. ぶんろく]

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