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正夢ってやつ?
毎晩、同じ夢を見ていました。
その夢は僕にとって特別でした。
なぜならその夢は、大好きな彼女が僕に告白するからです。
「私、あなたのことが好きなの」
「何いってんだ、あいつのほうがかっこいいだろ?」
「見た目じゃない。あなたの優しさが好きなの」
「そんなこと言って、からかってるんじゃないのか?」
「どうして信じてくれないの? 私はこんなに真剣なのに……」
「本気かい?」
「えぇ、あなたに夢中なの」
「なら、行動で示してもらわないと」
「行動って?」
「簡単だよ、今ここでふ……」
この夢は僕にとっての楽しみで、友達にもその夢のことを話しました。
そして、いつかこの夢が現実になると、信じて疑わなかったのです。
そんな僕を友達はからかいました。
「なぁ、その夢本当に信じてるの?」
「もちろん。なんで君は信じないの? 何度もおなじ夢を見ているって話したのに」
「そりゃ、夢は夢でしかないだろ?」
「そりゃそうだけど。けどさ、毎晩おなじ夢を見るって、何かあると思わないか?」
「欲求不満とかか?」
「違う! 純愛なんだ!」
「へー。行動で示せとか、ふく……」
「うるさい! この夢は現実になるんだよ!」
「分かった分かった。信じるかどうかは君次第さ」
友達の言葉は僕を一瞬だけ不安にさせました。
けど、僕は夢が未来を予知するものだと信じていました。
毎日毎日おなじ夢を見る。
これは絶対に、神様が教えてくれているんだと。
けど……。
1ヶ月過ぎ、3ヶ月過ぎ……。
半年……1年……2年……。
その夢が、現実になることはありませんでした。
そして僕と彼女は、別々の道を行くことになりました。
僕はがっかりしました。
そして、理解しました。
寝ているときに見るのはただの夢。
現実との区別はつけなきゃだめだと。
たしかに告白されて、その証拠を行動で示せなんて言えない。
しかもあんなことを命令するなんて……。
現実ではありえないでしょう。
ただ、夢だけど。
寝ているときに見た夢だけど!
ちょっとくらい信じても良いと、思いませんか?
〈了〉