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aoming
ちょっと目を離しただけなのに……【ショートショート】
「ちょっと、別の階を見てくるね。たかしをよろしく!」
そう言って妻は、ショピングセンターの別の階へと走っていった。
俺は仕方なく、3歳になるたかしと手を繋いて待つことにした。
しばらくして、妻が戻ってきた。
「ごめーん、遅くなったねって……。ねぇ、その人だれ? 何で手を繋いでるの?」
そう言われて振り向くと、そこに見知らぬ男が立っていた。
なぜか俺と手を繋いでいる。
「ねぇ、たかしは?」
たかし?
たかしは……。
あれ?
たかしと手を繋いでいたはずなのに……。
見知らぬ男は、ニタニタ笑いながら俺の手を握っている。
不思議に思っていると、見知らぬ男が口を開いた。
「目を離すから、こうなるんだよ」