【本好きに贈るファンタジー】 世界22ヵ国で大人気の「ページズ書店の仲間たち」シリーズ紹介&著者からの特別メッセージ
「——もし、大好きな物語のなかに入れたら?」
そんな、誰もが一度は憧れた夢をかなえる児童書『ページズ書店の仲間たち1 ティリー・ページズと魔法の図書館』が3月9日に発売となりました。
元司書の著者が贈る文学ファンタジー『ページズ書店の仲間たち1 ティリー・ページズと魔法の図書館』(原題 “Pages & Co.: Tilly and the Bookwanderers”)は、2018年にイギリスで刊行され、現在までに世界22ヵ国で翻訳された大人気シリーズ。
累計部数はイギリス国内だけで30万部を超え、子どもから大人まで幅広い層に愛されています。
今回は、そんな大注目の本作紹介と合わせて、著者のアナ・ジェームスさんから日本の皆さまへの特別メッセージをお届けいたします。
①あらすじ
主人公のティリー・ページズは、本が大好きな11歳。
ロンドンで<ページズ書店>を営む祖父母と暮らす彼女の前に、
ある日突然「赤毛のアン」が本のなかから現れた⁉︎
本の中の世界に入れるようになった11歳のティリーは親友と、
大好きな登場人物たちといっしょに思いがけない冒険に挑む。
立ちはだかる怪しい男、謎の秘密結社、そして家族の過去
——一体どうなる⁉︎
お子様に「名作文学にも興味を持ってほしいな」という親御さんにも、ぜひオススメ。
本書を読んだあとは、お話に登場する文学作品もぜんぶ読んでみたくなること間違いなし!
子どもの頃に親しんだキャラクターたちとの再会を、お子様と一緒に楽しんでみませんか?
②読みやすさ&ワクワク感へのこだわり
対象年齢は、小学校中学年から大人まで!
より多くの方に楽しんでいただけるよう、読みやすさにもこだわりました。
小学4年生以上で習う漢字にふりがな付き
本文(一部除く)と脚注に、ユニバーサルデザイン(UD)書体を使用
目にやさしいクリーム色の用紙を使用
お話が楽しくなる! イギリスの文化や歴史、文学にまつわる丁寧なページ内脚注付き
お話の理解を助ける! 人気イラストレーター・淵゛さんによる豪華挿絵付き
③著者メッセージ
日本の〈本の旅人〉のみなさんへ
ページズ書店へようこそ!
『ページズ書店の仲間たち1 ティリー・ページズと魔法の図書館』 では、たくさんの登場人物と出会えます。わたしが生み出した登場人物だけでなく、ほかの作家の作品から連れてきた登場人物もいるのですが、みなさんのなかには「この登場人物はもともと知ってたよ!」という人もいれば、「この本で初めて知った!」という人もいるかもしれません。みなさんが、どの登場人物も大好きになってくれたらうれしいです。
本書の主人公のティリー・ページズ は、イギリスのロンドンにある書店でおじいちゃんとおばあちゃんといっしょに暮らしています。この書店で、ティリーは、ある日とつぜん、自分が本のなかを旅することができる〈本の旅人〉であると気づきます。ティリーは大の読書家ですが、ティリーのお気に入りの本の多くは、わたしにとってもお気に入りの本なんですよ! 著作権の問題があるため、本書に載せたのは、むかし書かれた本ばかりです。そのなかから、ティリーもわたしも大好きな本と、ティリーとともにみなさんが出会うことになる登場人物についてご紹介したいと思います。
ティリーが最初に出会うのは、アン・シャーリー。その名前なら聞いたことがある、という人も多いかもしれませんが、アンはルーシー・モード・モンゴメリ作『赤毛のアン』の主人公です。1908年 に発表されたこの作品は、孤児院からやってきた、とびきり想像力の豊かなアンを描いた物語。アンは子どものころからずっと、わたしの大のお気に入りの登場人物ですし、アンが大好きという人は世界中におおぜいいるでしょう。日本の北海道には、『赤毛のアン』の世界を再現した公園*がありますよね!
アンとともにティリーにとってとても大切なもうひとりの登場人物は、『不思議の国のアリス』の主人公アリスです! この作品を、みなさんも一度は目にしたり読んだりしたことがあるでしょう。イギリスの作家ルイス・キャロルが1865年に発表したあと、世界中のさまざまな言語に翻訳され、ディズニーのアニメ版や、ティム・バートン監督の2作の実写版など、映画化もされています。アリスは思ったことをいつもずけずけというので、わたしも執筆していてとても楽しかったです。
ティリーはアリスとアンとなかよくなり、ふたりが飛び出してきた物語の世界を旅することになります。本書を読めば、みなさんも不思議の国の帽子屋のお茶会や、アンが暮らすカナダのアヴォンリー村へ、ティリーといっしょに旅することができますよ! これまでにアリスやアンの物語を読んだことがある人は、〈本の旅〉の魔法の力でふたりとの出会いをぜひ楽しんでください。初めて知った人は、本書がアリスやアンを描いた原作を読むきっかけになってくれたらうれしいです。
ティリーは『宝島』という本のなかも旅します。『宝島』はスコットランドの作家ロバート・ルイス・スティーブンソンが1883年に発表した冒険小説。主人公の少年ジムは宝のありかをしめす地図を手に入れ、スリル満点な宝さがしの航海に出るのですが、ティリーも『宝島』のなかで、はらはらどきどきの冒険を繰りひろげることになります。
さらにもう一冊、ティリーは自分にとってとても大切な本を旅するのですが、くわしいことは本書を読んでからのお楽しみ! 『小公女』という本なのですが、本書を読んで少しでも気になったのなら、ぜひ、お近くの書店や図書館でさがして、主人公セーラの物語の続きを読んでみてくださいね。
本書を手にとってくださったみなさんに、心からありがとうと伝えます。ティリーやその友だちや家族、そしてほかの登場人物たちとの出会いを、どうか楽しんでいただけますように!
すてきな〈本の旅〉を!
(訳:池本尚美)
*『赤毛のアン』の世界を再現した公園:「カナディアンワールド」公式ウェブサイトをご覧ください