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ひいひいおじいちゃんの尾崎行雄の旧家の取り壊し問題が、小池都知事にまで届いた話
世田谷区の豪徳寺にあるこの洋館。
閑静な住宅街の中でひと際目立つ鮮やかな水色の洋館は、現代ではなかなかお目にかかれない木造二階建ての建造物です。
今から100年以上前に建てられたもので、
本当は今年の7月上旬に取り壊される予定でした。
そしてこの洋館は、わたしの高祖父(ひいひいおじいちゃん)のかつての住まいでした。
わたしのひいひいおじいちゃんは、
憲政の神と呼ばれている尾崎行雄という人です。
国会開設から63年国会議員を勤めたり、
大隈内閣で法相となったり、
約10年近く東京都知事を歴任したりしました。
ちなみに、
日米友好のためにアメリカにソメイヨシノが2000本贈られ、
現在もワシントンでは毎年大きな桜まつりが催されていますが、
この桜を贈ったのもひいひいおじいちゃんです。
この洋館の存在を知ったのは、今年の6月末。
いとこから、
「ひいひいじいの家を見に行ってきたよ~、こんなの豪徳寺にあったんだね」
と連絡が入ったことがはじまりでした。
親族の間でも誰も知らなかったこの洋館。
奥さんのテオドラさん(イギリス人)のために現在の西麻布に建てた洋館は、
ひいひいおじいちゃんが他界した後、
ほかの方が豪徳寺に移転させ、住んでいました。
テオドラさん????
イギリス人?????
私の顔を知っている人は、
坊城にヨーロッパの血が通ってるとは到底思えないけど・・・と皆さんお思いでしょう。
そうです、わたしのひいひいおばあちゃんは病死した前妻の繁子さん(日本人)です。
安心してください。
そんな洋館を、壊される前に一目みてみようと思い立った私は、
散歩がてら夫と豪徳寺まで足を運びました。
私有地であるため、塀の外から眺めるだけでしたが、
穏やかな住宅街に突如現る鮮やかな水色の洋館の存在感は凄まじく、異彩を放っていました。
解体前に自分の目で見届けることができてよかった・・・。
もちろん、ひいひいおじいちゃんに会ったことはありませんが、
自分の先祖が住んでいた家を実際見ることができて、それだけで私は満足していました。
取り壊しが始まる予定だった先月上旬、話がおもしろい方向に進み始めました。
周りの住民の方たち等が立ち上がり、あの歴史的な建造物を守るために署名活動が始まったのです。
私自身も署名はしましたが、内心、
一旦取り壊しが決まったものをこんな土壇場でひっくり返せるのかな・・・?
と疑問に感じていました。
が、
その後3600人の署名が集まり、旧尾崎行雄邸保存プロジェクトは広がりをみせ、
クラウドファンディングによる支援の呼びかけ等が決定。
朝日新聞、日経新聞、東京新聞などでもとり上げられ、たちまち広がっていきました。
いまコロナの対応で大忙しの小池百合子都知事までもが、今回の活動に言及してくれたのです。
『「憲政の神様」第二代東京市長・尾崎行雄氏ゆかりの洋館が今月中に取り壊しとの報。現存する件時期の洋館として貴重な建物であり、守るべき。都として何ができるか考えたい。』
とツイート。
そしてついには、
海外からもメッセージが!!
ジョン・マロット大使や全米桜祭り協会理事長のダイアナ・メイヒュー氏がアメリカの地より声を上げてくれたのです。
「これまで百年以上の間、尾崎市長が米国に贈った桜は、世界中から集まる何百万人もの人々に親しまれてきました。彼らは将来、日本を訪れた時、尾崎市長への尊敬の念で、尾崎邸を訪問したいと思うでしょう。そしてそのために、世田谷を訪れるでしょう。(一部抜粋)」
今回の存続問題はまだ結論は出ておらず、
最終的にどんな決断が下されるかわかりませんが、
この明治期の名建築をどうにかして残そうと今も奮闘してくださっている方々が多くいることに感謝をしなければいけないと感じました。
そんな尾崎行雄の一番有名な名言は
【人生の本舞台は常に将来に在り】
昨日までは人生の序章であり、今日以降が本舞台だと信じて生きる、という意味が込められたこの言葉は、尾崎行雄にとって現役議員ラストイヤーの94歳にうまれた言葉だそうです。
ひいひいおじいちゃんの議員勤続年数、最高齢議員としての記録はいまもなお打ち破られていません。
常に現状に満足することなく、これからが本舞台!という向上心を持ち続けていたのでしょう。
94歳までの長寿の秘訣は【日課の卵3個、牛乳2合】だったようです。
立派な政治家に今からなるのは難しそうですが、
【日課の卵3個、牛乳2合】だけでも真似をして、
血を受け継ぐ者として、長寿の道をあやかりたいです。
話はそれましたが、
自分の家の存続問題を、ひいひいおじいちゃんは天国からどんな気持ちで眺めているんでしょうか。
そろそろひいひいおじいちゃんがいる鎌倉へ
お墓参りに行こうと思います。
坊城
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