屋根と舞台の修理完了 清水寺、12月に奉告法要
※文化時報2020年11月14日号の掲載記事です。
清水寺(森清範貫主、京都市東山区)は10 日、「清水の舞台」で知られる国宝本堂の檜皮(ひわだ)屋根のふき替えと舞台の張り替え完了の奉告法要を12 月3日に行うと発表した。総事業費40 億円で9棟の堂塔を修理する全事業は来年完了し、9月にも落慶法要を営む。
清水寺は、778(宝亀9)年に大和国の僧侶が草庵を結んだのがはじまり。10回以上焼失したが、寛永の大火(1629年)で焼失後に徳川家光の命で再建が進められた堂塔が、現在の境内を形成する。国宝本堂は1633年に再建された。今回の修理事業では、国宝本堂のほか、馬駐(うまとどめ)や北総門など国重要文化財の堂塔8棟の解体または半解体修理を行った。
2017年から始めた国宝本堂の修理は、屋根のふき替えと舞台の張り替えなどに約20億円を投じた。屋根工事は、1964~67(昭和39~42)年に行って以来で、これまで用いていた檜皮よりも21㌢長い96㌢の材料を用いた。創建当時の姿を取り戻そうと、江戸中期の史料を参照した。
舞台工事は、本体部分の施工を終え、現在は高欄の装飾など、仕上げを進めている。今月末には完了する見込み。足場撤去などの付帯工事が残されるが、来年3月ごろに終える。平成に入って以降、2度の張り替えが行われたが、全体の新調は1989(平成元)年以来という。
内陣の修理も行い、本尊を納める厨子を、再建以来初めて塗り替えた。堂内に掲げる絵馬を移設した際、713点の巡礼札が見つかるなど、新たな発見もあったという。
12月3日の奉告法要は森貫主を導師に営む。新型コロナウイルスの影響で、参列者は信徒総代や工事関係者など十数人に制限する。森孝忍法務・庶務部長は「50年前を思い出し、まっさらな本堂をご本尊に奉告できることをうれしく思う」と語った。
奉告法要などについて説明する森法務・庶務部長(中央)ら
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