国によって使える木は異なるが、“良い“と思われる木は似ている。【2021/9/26放送_盆栽作家 濵本 祐介さん】
Fm yokohama(84.7MHz)から毎週日曜日深夜24:30~25:00にお送りするラジオ番組『文化百貨店』。先週に引き続き、ゲストは盆栽作家の濵本 祐介さん。
今回も濵本さんが手がけた盆栽の置かれているビスポークテーラーのWisdom Toolにお邪魔をして、盆栽の育て方や盆栽作家以外の活動について伺いました
【パーソナリティ】
セイタロウデザイン代表・アートディレクター 山崎晴太郎(@seiy)
【今週のゲスト】
盆栽作家 濵本 祐介さん
1979 12 10
21歳の時、親方の元で修行を開始。
29歳で独立、濵本峰松園を設立。
二児のパパ。
職歴、
2015 MoMa design store Japan 展示販売
2016 Rooms 32 Best award 受賞
2016,17,18,19 年に2回 ロサンゼルスにて盆栽ワークショップ
2017 Acme Furniture コラボ 展示、販売
2018 TV東京 山田孝之がフォローする刺青だらけの盆栽職人出演
2018,19, 1年に2回ドイツにてワークショップ、タトゥーコンべンションにて盆栽展示、販売
2019 原宿にて単独の個展開催、
ロサンゼルスHurleyにて、プロサーファー、ロブマチャドとのコラボ、盆栽展示,物販販売
2019 ドイツにてアメリカから自分の友達のタトゥーアーティストを招き、アートショーを開催。(ドイツの盆栽雑誌、TVの取材、新聞にも取り上げられる)
2019 Hotel Koe Tokyo にてadidas スニーカー新作発表会に盆栽展示
2019 中国 盆栽制作
2019 ハワイ 盆栽制作
2021, Amazonプライム キコキカク出演
2020,21,コロナで海外遠征ストップ
元々庭師なので、ベストパートナーと出会い、日本庭園造りに明け暮れる。
【今週のダイジェスト】
▶︎盆栽は生き物と同じ。買った後が大切
【山崎】今日、お邪魔しているWisdom Toolに置かれている盆栽は、上下50~60cmくらいのサイズですかね?これで値段は、いくらぐらいですか?
【濵本】この盆栽だと、15万円ぐらいです。ただ盆栽って、大きいから値段が高いというよりは、サイズが小さくてコンパクトな物であっても樹齢が長く生きているもので、形がしっかりしているのもだと高いです。逆に、若い苗木でこれからつくっていくような木は値段が落ちたりもします。なので、大きさよりは、年数や木の完成具合で変わって来ると思います。
【山崎】これは、どれくらいの樹齢のものですか?
【濵本】推定になっちゃうんですけど、だいたい50年くらいです。
【山崎】先週から濵本さんと話していて、盆栽をやってみたいと思っているんですけど、初心者でも樹齢50年の盆栽を買えるものですか?
【濵本】買えますよ。でも、犬や猫のような生き物も同じだと思うんですけど、盆栽は買った後の方が実は大変なんですよね。買った後には、管理をしていかないといけないので、生き物という難しさというか……。
【山崎】盆栽は生き物で、形も変わっていきますよね。初めて盆栽を買った人は、当然水やりはするけれども、先週のお話だと「水やり3年」という風に、難しいものですよね。管理に困ったら、どうしたらいいですか?
【濵本】「自分では出来ないから、手入れをしてほしい」という依頼があれば、僕がお仕事として受け取ることもできます。
【山崎】なるほどね。お家の中で観葉植物を飾る人も多いですけど、盆栽は外に置くものなんですよね?
【濵本】日あたりのいい場所、風通りのいい場所に置くのがベストですね。
【山崎】基本的には、中には入れないという事ですか?
【濵本】例えば、お客さんが来て、昔ながらに床の間に盆栽を飾るとか、盆栽の展示会という時は室内に飾っています。でも、3日~4日ぐらいで、外に出さないと枯れちゃうかもしれないですね。なので、室内で管理していくのは難しいかなと思います。
【山崎】純粋な疑問なんですけど、盆栽作家の方は鉢に対して、毎日どのような手入れをされているんですか?
【濵本】盆栽は、春・夏・秋が成長をする時期で、冬は基本的には成長が1回ストップするんです。だから、その季節ごとの管理をしています。でも、年間を通してやっていることはほぼ同じで、毎日水をやる、上がってきたものを下げるという感じです。あと、数があったりすると、意外とやることもいっぱいですね。
【山崎】どれくらいの盆栽を同時に育てられているんですか?
【濵本】今、育てているのは300鉢くらいですかね?
【山崎】思ったより多いんですね!お家の庭は、すごく広いという事ですよね?
【濵本】そんなに広くないです。庭と借地に置いてあるという感じです。
【山崎】例えば僕が「濵本さんの盆栽1鉢欲しいです」と言ったら、そこに観に行くんですか?
【濵本】見に来ていただいて、全然構わないですよ。来週にでも、待っています。
【山崎】では、遊びに行きます(笑)
▶︎自分の中の“楽しい”を見付ければ、何でも楽しい
【山崎】盆栽作家として幅広く活動をされていますが、この1年程は日本庭園づくりに精を出されているみたいですね。
【濵本】この1年で始めたわけではなくて、盆栽の仕事を始めた時に、既に庭師として修行を始めていたんですよ。なので、20年以上も庭を作ることや個人の庭の管理をずっとやっています。庭の仕事では、僕は技術者で、営業をする力を持っていないんですね。それで、いいタイミングである現場監督の人と出会って、その人と一緒に手を組んで日本庭園をつくる事を始めました。
【山崎】日本庭園にも色々ありますけど、濵本さんが手がけているのは、どんなものですか?
【濵本】盆栽の話と似ちゃうんですけど……、盆栽は鉢の中で自然を表現する、日本庭園も庭という限られた敷地の中でつくるんですよ。僕は盆栽でも庭でも、松の木が好きなんですね。最近の日本は、庭をつくるスペースもそんなに無いし、松の木を植える機会も無かったので、そういうお仕事が出来ることが1番楽しいですね。
【山崎】庭だと、松の木だけではなくて、石床や飛び石とかもありますよね?
【濵本】限られたスペースの中で、石も使って自然を表現していきますね。ここに松の木を植えて、こっちには紅葉、あっちには梅があって、花が咲くとか。
【山崎】どの季節でも楽しめるようにですか?
【濵本】そうです。四季を楽しめるというのが、日本庭園の魅力だと思います。
【山崎】すごく無粋な質問なんですけど、どちらが楽しいですか?
【濵本】うーん……。基本的に、僕は仕事では何をするのも“嫌い”なんですよ。だから、自分の中で楽しさを見つけ出さないと、何をしても同じになってしまうと思うんです。庭でも盆栽でも、常に自分の中で“楽しい”を見つけてあげれば、何でも楽しいのかなと思っているので、どっちも楽しいという事にしておきます(笑)
▶︎日本でも海外でも、盆栽をつくる流れも人気の木も同じ
【山崎】濵本さんは海外での活動も多いですよね。どの辺りに、行かれるんですか?
【濵本】今はコロナの影響で行けていないですけど、ドイツとロサンゼルスには毎年行っていましたね。
【山崎】そこでは、どんな活動をしているんですか?
【濵本】国内でも、国外でもしていることは同じですね。盆栽の輸出は、検疫の問題で難しいんですよ。なので、それを考えると、盆栽をつくれる人を呼んで、その国の素材を使って盆栽をつくるという形になるんですよね。
【山崎】じゃあ、各地に育てている木があるという事ですか?
【濵本】そうですね。
【山崎】なるほどね。海外でも、松の木を使うんですか?
【濵本】現地にもありますし、日本から送られてきた松の木もあります。例えば、ロサンゼルスだったら、ロスの松があるんですよ。
【山崎】海外にしかない種類の木もあるんですか?
【濵本】そうですね。僕は、真柏という木も好きなんですけど、カリフォルニアにはカルフォルニアジュニパーと言われる真柏もあります。基本的に、人気があるものは似ていますね。
【山崎】話を聞いてると、自然はやっぱり繋がっているんだなというか……。僕らが分けているだけで、やはり1つのような気がしますね。
【濵本】すべては地球上で起こっている事ですね(笑)
【山崎】「良いこと言いました」って表情ですね(笑) ちなみに、海外での盆栽への反応はどうですか?
【濵本】僕の勝手なイメージですけど、海外の方が芸術やアートに対して、しっかり評価してもらえる気がしますね。少しいやらしい話かもしれないですけど、お金の面でもつくったものに対しての評価も、素直にしてもらえたりするのは、日本と海外の違いなのかなと思います。
【山崎】気候も全然違うじゃないですか。その辺りはどうですか?
【濵本】ロサンゼルスは日差しが強いので、気候に対する管理は違いますよね。日差しが強いということは、水を上げる頻度も多いんですよ。それに、日陰に置かないと、葉っぱが焼けちゃったりもしちゃいますね。でも、盆栽をつくっていく流れという意味では、海外でも日本でも一緒かもしれないですね。
▶︎山崎晴太郎とコラボレーションするとしたら?
【山崎】最後のパートは、ゲストの皆さんに伺っていることをお聞きしたいと思います。僕、山崎晴太郎とコラボレーションするとしたら、どんなことをしてみたい、もしくは出来ると思いますか?
【濵本】このラジオがコラボだとは思うんですけど、またラジオを一緒にしたいです!
【山崎】ラジオいいですね!喋りがすごく上手ですけど、ラジオをやられたりしないんですか?
【濵本】ラジオは初めてですね。本当に勉強をして、挑戦してみようかな?
【山崎】やってみると、ご縁が広がっていったりしますからね。始めた際には、ぜひゲストに呼んでください(笑)
【濵本】今日を機に、弟子入りさせてください(笑)
【山崎】最後に、この番組のコンセプトである、「文化百貨店」という架空の百貨店があったとして、バイヤーとして一角を与えられたら、そこでどんなモノを扱いたいですか?
【濵本】やはり盆栽ですかね。
【山崎】盆栽を子供たちに教えたりもしていますか?
【濵本】今月も子供たちに教えるワークショップをします。
【山崎】反応はどうですか?
【濵本】大人だと構えちゃう部分があるんですけど、子供って飲み込みがすごく早くて、怖がらないんですよ。好奇心の塊という感じがしますね。
【山崎】なるほどね。こういったイベントのお知らせは、インスタグラムですかね?
【濵本】はい。インスタで告知します!
【山崎】盆栽は向き合わないといけないし、高価なものだというイメージがあって、少し二の足を踏んでいた所もあったんですけど「盆栽ってやっていいんだ!」と思えようになりましたね。濵本さんの所に遊びに行って、盆栽を選びたいなと思います。今回のゲストは、盆栽作家の濵本祐介さんでした。ありがとうございました。
【今週のプレイリスト】
▶︎濵本 祐介さんのリクエスト
『One Flight Down』Norah Jones
▶︎山崎 晴太郎のセレクト
『Run Outs』Alfa Mist
といったところで、今週の『文化百貨店』は閉店となります。
次回は、アメリカを中心に広がりつつあるデジタル音声広告に特化している株式会社オトナルの代表取締役・八木大亮さんをお迎えします。
【次回10/3(日)24:30-25:00ゲスト】
株式会社オトナル 代表取締役 八木 太亮さん
2013年ウェブメディアを運営する株式会社オトナルを創業。ウェブメディア事業を事業売却ののち、音声コンテンツと音声広告領域に特化し、アドテクノロジーを活用した広告出稿とクリエイティブ制作をトータルサポートできる”音声広告カンパニー”としてデジタル音声広告事業を展開。そのほかラジオ局や新聞社など大手パブリッシャー向けの音声コンテンツの配信支援事業とデータ運用支援も行っている。
著書:『いちばんやさしい音声配信ビジネスの教本 人気講師が教える新しいメディアの基礎』(インプレス)
また日曜深夜にお会いしましょう!
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