前夜
いわきFCは、過去に3度、昇格の夢を絶たれた経験がある。
1回目は愛媛全社、ヴィアティン三重戦。
2回目は福井全社、アミティエ京都戦。
両者は共にJFLへの飛び級昇格を掛けた戦いの道中であり、
「勝てば昇格」までは険しい道程が残されていた。
3回目は昨年のJFL、テゲバジャーロ宮崎戦。
複数の他力条件はあったものの、結果としては「勝っていれば昇格」という試合だった。同日、同じく他力ながら勝利=Jリーグへの昇格の条件を残したクラブは揃って壁に阻まれ、我々は遠く九州の地で宮崎の背中を見送った。
今年の開幕戦、直前のミーティングで田村雄三監督が「震災から10年、このタイミングでホーム開幕戦を迎えることは必然」だと選手たちを鼓舞した。
明日、試合が行われるJヴィレッジは、いわきFCがJFLへの昇格を果たした場所であると同時に、東日本大震災によって一度はサッカーの聖地としての役割を失った場所でもある。
明日、一度はグラウンドの緑を失ったJヴィレッジの地で、いわき市、広野町、楢葉町、富岡町、川内村、大熊町、双葉町、葛尾村、浪江町をホームタウンとするサッカーチームが「Jリーグ」への昇格を決めるために戦う。
これを必然と思わずにはいられない。
数千人のサポーターの思いだけでなく、
10年間の思いだけでなく、
更にひたすら大きな物をいわき・双葉郡に届ける為にも、
明日の試合で決めたい。