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【ワートリ考察】ワールドトリガー世界の地理について

 このnoteでは、ワールドトリガー世界の地理情報についてかなり信憑性の高い理論を組み上げることができたため、それを紹介していく。

 まず結論を先に述べよう。
「三門市は新たな首都として計画され建設された都市である」
 根拠は、
 その1「首都の遷都が行われたり計画されたりした事例は多い」
 その2「ワートリ世界の政府による、異様な程の三門市への肩入れ」
 その3「アニオリ陽太郎回」

 の3つである。では、解説していこう。 

 根拠その1「首都の遷都が行われたり計画されたりした事例は多い」

 世界の首都では、元来の首都から、計画された首都用の都市への政府機能の移転が行われることがある。
 ブラジルでは、内陸部の経済振興のためにリオデジャネイロからブラジリアへの計画的な遷都が行われ成功した。韓国では、首都ソウルの人口集中などが問題となり、南にある世宗市への首都全面移転が検討されたが失敗に終わった。
 日本にも例がある。さいたま新都心である。東京都区部以外での首都機能補完を目的として、1990年代後半から開発が行われ、国の出先機関などの首都機能の一部が移転した。
 ワートリ世界の首都でも、このような人口過密化などの何らかの問題が起きていたと思われる。

 根拠その2「ワートリ世界の政府による、異様な程の三門市への肩入れ」

 根拠その1で長々と世界地理や政治についての話をしたのはこの根拠その2のためである。
 私はこれまで様々なアフィブログのまとめや個人サイトを見てきたが、議論や考察の的になっていたものの多くがこれに関連する事物だった。

 まず筆頭に上がるのが「三門市営鉄道」。2巻第13話の旧弓手町駅や7巻第53話の警戒区域周辺地図を見れば分かる通り、三門市には市営の鉄道が存在する。更には、上の二つの話から分かるが、第一次侵攻後に警戒区域内に入り寸断された路線を補完する路線まで新たに作られている。

 ここで疑問が生まれる。そもそも、人口たった28万人の中規模都市に市営の鉄道があってもいいのだろうか?

 現実の日本国内で、地方公営企業が保有している鉄道があるのは8都市。その内訳も、札幌(札幌市交通局)、仙台(仙台市交通局)、東京都(都営地下鉄)、横浜(横浜市交通局)、名古屋(名古屋市交通局)、神戸(神戸市交通局)、京都(京都市交通局)、福岡(福岡市交通局)…と、名だたる大都市ばかりだ。大阪市にある株式会社大阪市高速電気軌道も、行政改革前は大阪市交通局という地方公営鉄道であった。大阪市を含めても全ての都市が人口100万人を超えており、政令指定都市でもある。三門市とは程遠い人口規模である。
 路面電車まで含めると函館市、熊本市、鹿児島市も該当するが、熊本市は政令指定都市である他、鹿児島市も60万人近い人口を持っていて政令指定都市クラスの都市と言ってもいい。
 唯一の例外は函館市(人口27万人)であるが、この函館市が経営するのも路面電車、つまりライトレールであり、線路やホームから推察されるように三門市営鉄道が経営しているであろうヘビーレールとは予算も規模も違ってくる。
 上記より、「三門市営鉄道」は異質なものであると言え、三門市が首都として計画された都市であるという証拠になる。
 
 他にも、「三門市立大学」というのもある。推測が多めになり少し根拠として薄いとは思うが、これについての考察も一応記載しておく。
 日本は市が経営する市立大学が26ある。そのほとんどが学科が1つだけの単科大学である。
 所謂総合大学(この「総合大学」の定義は曖昧なものであるが、この文中では文系理系双方の学科が存在する大学とする)と言えるものは名古屋市立大学、大阪市立大学、北九州市立大学の三つだけで、全てが政令指定都市による経営のため、三門市の比較対象にはできない。
 しかし、政令指定都市ではない三門市(とボーダー)が経営する三門市立大学も総合大学であると思われる。
 東隊隊長の東春秋はBBFのQ093にある通り、提携大学である三門市立大学で歴史学や戦史を学んでいる。これは文系の学問領域である。
 しかし、三門市立大学では秘密裏にではあるがトリオンの構造についての実験や研究がなされているという記載がBBFの他22巻オマケにある。
 このトリオン構造学なる学問は間違いなく理系の学問領域であろう。22巻オマケには他にも、経営などにボーダーの息がかかっているなどの記述もあり、第一次侵攻後に移転したのちボーダーによって理系の学部も創設されたと考えることもできるが、流石にボーダーと言えども元々文系しかなかった大学に、近年になって急に理系学部を増やすのは大学の統合でもしない限りかなり難しいことだと考えられる(私が調べた限りでは、現実での事例は見当たらなかった)。そのため、三門市立大学は創立時から総合大学であると思われる。
 こうなると、政令指定都市でもない市立の大学が総合大学ということになるため、「三門市立大学」も異質なものであると言え、これも三門市が首都として計画された都市であるという証拠になる。

 次に、ボーダーの資金源や外交について。ボーダーの資金は唐沢克己が調達し、ボーダーの外交交渉も彼が一手に担っている。組織において最も大事なものの一つであろう資金調達業務を唐沢ひとりで回しているところを見ると、この辺は少年漫画的である。
 彼の交渉相手には三門市、県などの自治体の他にも、国や外国などの国家レベルの権力もある。漫画だからと言ってしまえばそうなのだが、対抗手段がないからとはいえ、一介の謎の組織を無条件で国家が相手にするとは考えにくい。
 外国については作中に外国と関連しているような描写もないし情報も無さすぎるため省くが、国を相手に交渉を行える理由についての根拠はある。

「三門市が首都として計画された都市である」という前提があれば。

 根拠その1で述べた通りに、ワートリ世界の首都で過密化が進行したために三門市への遷都計画が立ったと仮定して考えてみよう。遷都には様々な問題がある。
 まずは資金面。まず先に述べたブラジリアを例に出す。ブラジリアの場合、莫大な建設費はブラジルの経済不振とインフレを招いてしまった。
 そして日本の首都、東京。東京も遷都計画が持ち上がっている。古い平成9年のデータではあるが、東京の遷都にかかるであろう費用は12兆円と見積もられた。現在の経済状況を鑑みると、今見積もれば更に金額は増えるだろう。
 そして法制面。こちらは先に述べた韓国を例に出す。世宗特別市は、憲法裁判所の判断でソウルからの全面的な移転が立ち消えとなり、いくつかの政府機関が移転するにとどまった。この韓国の首都移転はかなり多くの要因が絡んでおり話がずれるためここでの解説は割愛する。興味があれば調べてみてほしい。
 このように首都移転には様々な困難が生じる。
 ワートリ世界の政府は、このような障害を乗り越えるため法整備をし、資金調達をして、ついに三門市を新首都として完成させたのだろう。

 しかし、ここでどうにもできない困難が訪れる。近界民である。

 通常兵器が効かない近界民相手には、政府は手も足も出なかった。数十兆円レベルの規模の資金をかけ、法整備までして遷都した新首都が使い物にならなくなってしまう。
 ここで現れるのがボーダーだ。ボーダーはいとも容易く近界民を撃退した。ここで政府がボーダーに近づかない訳がない。
 政府はボーダーに対し、多額の資金をかけた新首都の近界民を警戒区域内に「封じ込めてもらう」代わりに資金援助などの全面的な支援と協力を行うことにしたのだろう。
 加えて、「三門市を出ていく人間は驚くほど少なく」などの記述にも納得がいく。政府により公共料金が引き下げられていたり、税率が下がっていたり、行政サービスが充実していたりすれば出ていく人間も減るだろう。
 というかそもそも、「人口28万程度の一介の中規模都市に異世界から侵略者が攻めてきた! 通常兵器は手も足も出ないぞ!」となったら街ごと放棄するし、住民はみんな逃げるに決まっている。
 現に福島県の原発事故にしても、ピーク時には16万人以上が避難している。謎の侵略者が攻めてきたなら28万人にとどまらず、もっと沢山の人間の動きが生まれてもいい。
 しかし街ごと放棄しよう、ということにならなかったのは、政府が三門市を捨てたくなかったからというのが理由だろう。
 言ってしまえば、全部「漫画の舞台だから」、「フィクションだから」という理由にしたらそれで終わりなのだが、真面目に考えてみるとこれで話の辻褄が合うため、仮定は正しいといえる。

 根拠その3「アニオリ陽太郎回」

 ワールドトリガーのアニメ制作スタッフには、葦原先生から設定情報が渡されていることが、BBFのQ046の風間進についての質問より分かる。 つまり、原作ではまだ出てきていなかったり、そもそも今後一生出てこないような設定がアニメ作中に登場している可能性がある、ということだ(記憶が曖昧なのだが、この風間進についての具体的な言及もアニメ作中に存在していなかったと思う。これについての確証があればアニメ内で確実には利用されないような細かくニッチなデータも葦原先生から渡されているという証拠になるが、確証がなく根拠になり得ないので括弧に入れて記載しておく)。

 その筆頭がアニオリ陽太郎回、アニメ第60話「陽太郎の冒険」である。陽太郎は四塚市に向かった玉狛第一メンバーを追いかけようとするが、彼らとは逆方向に向かってしまい、知らない街に辿り着き、帰れなくなってしまう。しかしそこで心愛と出会い、三門市へと戻ることとなる(今見ると陽太郎が行方不明になるのは結構ヤバい事態に思える)。この三門市へ帰る道中に根拠がある。ほんの数秒だけのカットなので、各所での言及が少ないのも納得がいく。

 高速道路の案内板に『「新都」三門市』、『「都心」二陵市』と、はっきりと書かれている。

 つまり、この「二陵市」という場所が元来の都心、つまり現実で言うところの東京都区部にあたり、東京都狛江市や調布市にあたる三門市は「新」たな首「都」…つまり「新たな首都として計画され建設された都市」であることが分かる。
 アニメスタッフが意味もなく、たった数秒のあのカットを挿入するとは思えない。別にこのシーンはこの話の大局を左右するようなシーンでもなんでもないのだ。ただ陽太郎が三門市まで高速道路で向かっているだけのシーンである。ただでさえ他のシーンの作画が控えめにいってヤバいのにも関わらずこのカットを入れたのは三門市は「新都・三門市」である上、「都心・二陵市」が存在するということを示したかったからだと考える。

 以上3つの根拠が、私が「三門市は新たな首都として計画され建設された都市である」と考えた理由である。

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