黒髪のモダ~終末~
闇烏
黒々と密生する葉群の中に
その者は座っていた
昼間であっても闇を纏い、
光を侵食して通さない
黒い髪は闇から熱を帯びて、
周囲の一切を焼き尽くす
黒髪のモダ
黒き焔の申し子よ
あしもとに灰が降り積もり、
生きた形を失うと
次の葉群へと移って行く
破滅の衣にまとわり付く終末のにおい
その宿命は、在るものを全て灰に返す
命の最後を聞きながら、闇の涙を流すという
始まりの地に降りたそのときより、
この世の終わりが始まった
瞳の深淵に映る世界では、
希望が次々に息絶え、黒いシミへと変わっていく
動き出した終末のプログラムをもはや止める術はない
黒髪のモダ
残された灰より、息吹く命を知らないものよ
自らの放つ闇の中で、終わりという変化に焼かれていく
一繋がりの輪の中で、最後に焼かれていくものよ
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こちら、三部作の二話目です。
一話目「白髪のペト」
最後に登場するのは、「中庸のジル」
お楽しみに。
文雀
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かねてより絵本を出版することが夢でした。サポートして頂いた際には、出版するための費用とさせていただきます。そしていつか必ず絵本としてお返しさせていただきたく、よろしくお願いします。ひとりでも多くのこどもたちの夢見る力を応援したい。それがストーリーテラーとしての役目です。