掛川花鳥園スタッフのゆるゆる自由研究 【匠の業〜三式ANL多重装甲兎〜】
花と鳥とのふれあいが楽しめるテーマパーク、掛川花鳥園のスタッフによる、園内の鳥たちのディープな情報や楽しい実験をスタッフブログから集めたよりぬき連載。今回は「スタッフによる工夫あふれる工作」をご紹介!
三式ANL多重装甲兎
ラジコンに足に何やら服のようなものを着たウサギを載せたこの「三式ANL多重装甲兎」(以下装甲兎)は、スタッフが手作りしたものです。
一体何に使うのかというと,猛禽類たちの狩りを再現したバードショーやその訓練で使う擬似餌(ルアー)です。背中に餌の肉を取り付け、ラジコン操作で高速で走り回るウサギを猛禽類に捕まえてもらい、狩りを覚えてもらおう! というもの。人間が餌を持って引っ張るのでは、スピードも出ませんし、不自然なのでラジコンが採用されました。
「三式」は「試作三段階」、A(レッドテールホークのアニ)N(の)L(ルアー)です。「多重装甲」は着ているオレンジの装甲のことです。
装甲兎を使ったハンティングがこちら!
さらに、どんな感じでアニが迫ってくるのか、装甲兎に取り付けたカメラで「獲物の気持ち」になって見てみましょう。
思った以上に速い!
飼育下の猛禽類は、自分で狩りをする経験を得られないので、このようなルアーを使う必要があるのです。
装甲兎の作り方
スタッフ手作りの装甲兎、その制作はなんと簡単(?)5ステップ。
①ラジコン(ウサギの足)を裸にします
②代わりのボディーをラジコンに合わせて削り、色を塗ります。
③ボディーを取り付けたらウサギのぬいぐるみを乗せます
④ウサギが壊されないようにパイプを繋ぎ、革で覆った装甲を着せます。
⑤完成!!
完成したものの、アニは最初は飛びかかることはできませんでした。
怖がりなので、ハントというより恐る恐る慎重に乗っかるだけといった様子。
餌を見つけたのはいいものの、上で暴れて横倒しにすることも。
挙句トレーニング5日目にしてボディーを破壊。
ここから改良を重ね、装甲兎のボディーは修復され、機動力も抜群に上がりました。機動力がありすぎて空回っているのはご愛嬌。しっかりトレーニングを積んだアニも、さきほどの動画でご覧いただいたように、すっかりハントが上手になりました。
慣れるためのトレーニング
ハンティングに使うもの以外にも、鳥のトレーニングのために作ったものがあります。
そう!
テレビカメラ(ダンボールのハリボテ)です!
テレビの取材を受けることが多い掛川花鳥園には、でっかいテレビカメラも来ます。その黒塗りの重厚さに威圧感を感じて尻込みしてしまう鳥たちがいるので、その対策として見慣れてもらおうと作ったものです。とはいえ大急ぎで作ってしまったので……。
はっきり言いましょう。最低の出来上がりです!
本気でトレーニング道具のつもりで作りましたが、あまりの不器用さに絶望しています。
一応気にはしているようなので、効果はある……のかな?
効果があれば綺麗に作り直そうと思います。
飼育だけじゃないスタッフの仕事
飼育員の仕事は単純に鳥を管理するだけではないこと、伝わりましたでしょうか。ちなみに、お客さん向けには、スタッフ手づくりグッズをイベントやネットショップで販売することもあります。
焼き印入りレザーチャーム(※現在は販売しておりません)
バードスタッフ特製アートフレーム(※現在は販売しておりません)
ものづくりが得意なスタッフの特技を活かした特製グッズも、ぜひチェックしてみてください。
バードウォッチング専門誌BIRDERでは,2021年4月〜2023年12月号まで,「掛川花鳥園出張ガイド」を連載していました。電子版などのバックナンバーで読むことも可能なのです。公式ホームページの総目録でどんな鳥が主役になっていたかわかるので、ぜひ推し鳥の号を探してみてください。
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