クマに魅了された野生動物写真家の集大成
本州と四国、海外に分布するツキノワグマ、北海道や世界中に広く生息するヒグマ、そして陸上最大の肉食獣であるホッキョクグマまで。陸上最強の野生動物である3種のクマの知られざる生態を、迫力ある貴重な作品の数々で紹介。国際的に評価が高く、日本を代表する野生動物写真家の福田俊司氏が、60 年におよぶキャリアの集大成としてまとめた写真集が『BEARS』だ。
ページをめくるたび、1点1点の作品の極めて高いクオリティに目を奪われるだろう。迫力ある表情のアップから、子グマに愛情を注ぐ母グマのやさしいまなざし、ロシア極東の美しい風景の中にクマがいる写真まで。作品に寄り引きのメリハリがあって飽きさせない。あるときは国内でツキノワグマが群れる不思議な場面に出会い、またあるときはホッキョクグマに襲撃され、かろうじて命拾いするなど、ワイルドライフ撮影現場の臨場感あふれる物語も掲載している。福田氏は極東ロシアに30 年通い、独自の撮影地で四季を通してヒグマのくらしを取材。美しいチョウや日本と海外を行き来する渡り鳥、そして極めて用心深く撮影が困難なアムールトラまで、クマ以外の生きものにも目を向けて自然環境を幅広い視点で捉えており、資料的価値も高い。
「本物」である作品の魅力を最大限活かすため、写真集の仕様を今や希少なA4横の判型の上製本とし、本文用紙にはアートペーパーを採用。ブックデザインを三村漢氏に依頼した。自然写真家としても活動している編集者がすべての作品の色補正を担い、印刷所で最も腕の立つオペレーターが印刷を担当。そして美術書のように美しくて存在感が強く、部屋の空間に飾りたくなる一冊に仕立てることができた。ひとたび手に取れば、本物の魅力を感じることができるだろう。
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福田俊司プロフィール
野生動物写真家。1948年、宇都宮市生まれ。「地球的視点で日本の自然をとらえる」というテーマのもと、国内外で精力的に撮影に取り組む。1990年以来、ロシア科学アカデミーの協力を得て、 おもにロシア極東部(シベリア)を取材。アムールトラ、アムールヒョウ、ホッキョクグマ、オオワシ、千島列島などで世界初撮影の作品も数多く、世界的に評価が高い。世界の2大自然写真コンテスト、BBCの「Wildlife Photographer of the Year」とスミソニアンの「NATURE'S BEST」の両方を制覇。『シベリア大自然』(朝日新聞社)、『シベリア動物誌』(岩波書店) 、『科学のアルバム フクロウ』(あかね書房)、『ホッキョクグマの王国』(文一総合出版)、『鴛鴦』(文一総合出版)ほか著書多数。2023年春、集大成として『BEARS』(文一総合出版)を上梓。とちぎ未来大使も務める。
Wildlife Photographer of the Year 2013絶滅危惧種部門最優秀賞&特別大賞
NATURE’S BEST Backyards 2015-2016 Backyard最優秀賞