掛川花鳥園スタッフのゆるゆる自由研究 【トキの成長記】
花と鳥とのふれあいが楽しめるテーマパーク、掛川花鳥園のスタッフによる、園内の鳥たちのディープな情報や楽しい実験をスタッフブログから集めたよりぬき連載。今回は、園内で巣を作って子育てをしたシロトキの成長報告です!
ザルの中からこんにちは
2022年の4月、繁殖期を迎えたトキたちはお客さん用の手洗い場を占領して巣を作っていました。ザルはその補助として与えたものです。ほかにも、施設を破壊して巣材にする猛者がいる一方で、部屋の隅に藁を積み上げるだけのシンプル派、クジャクの美しい羽をむしり取ろうとするものなど、マイホームづくりはさまざまな名(迷?)建築を生み出しました。
まずはシロトキ。ザルを使って上手に組み上げています。
次にショウジョウトキ。人工物が大好きで、施設の一部を破壊して巣材に持ち帰りました。
次にまた別のショウジョウトキが作ったシンプルな巣のですが、卵すら剥き出しです。シンプルすぎる。
本来、トキは地上から10m以上の高さの木を選んで皿状の巣を組み上げますが、園内に営巣できる木はないため、高さを出そうとたくさん組み上げたのかもしれません。
こうして生まれた卵の中には、人工孵化と育雛に挑戦したものもあります。
元気爆発! ショウジョウトキの人工育雛の記録
ショウジョウトキの「えび」は、人工育雛で育てました。ショウジョウトキは子どものうちは赤くありません。
えびが生まれたのは2022年の5月24日。
生まれたては真っ黒いほわほわな姿ですが、嘴はトキそのもので驚きました。
一週間も経てば、あっという間に体重は倍ほどに。鳥たちの成長速度には驚かされます。スタッフを見つけると、餌をねだるため『チュピィィィ』と首を揺らしてアピールしていました。
生後一ヶ月になると、手のひらサイズになり、元気が爆発してしまいました。
とにかく「ごはんが欲しい、ごはんが欲しい」と首を激しく揺らし、翼をはばたかせ、体をはずませ、ごはん前の体重測定が全くできません。元気なのはうれしいのですが、この時は「3秒だけでもいいから止まってほしい」という思いが強かったことを覚えています。挙句の果てには「ごはんをくれないならおまえを食う」とスタッフの腕を食べようとする始末。
更に、いざごはんをあげようとすると、「ごはんだああああ!!」とテンションがぶち上がり、大きくなった翼で頬とメガネをべちべちと叩かれました。元気なことが一番です。
最終的にタオルでくるくる巻いてご飯をあげることになりました。
エネルギッシュなえびが大人のトキたちが放し飼いになっている「オオハシとトキの水辺」にお引越ししたのは8月のこと。
暴れていた体重測定も、周りの鳥たちが気になるのか、たまに止まるようになりました。
ここでは大きなフラミンゴや、えびとほぼ同じ大きさのクロエリセイタカシギも暮らしています。しばらくは、スタッフが様子を見ながら日中は先輩の鳥たちと一緒に暮らし、夕方にはケージに戻すことになりました。なじむのに時間のかかる鳥もいますが、持ち前のパワフルさでえびはぐいぐいとショウジョウトキの群れの中に入っていき、すぐに正式に仲間入りを認められました!
それから1ヶ月後には2022年6月に生まれたシロトキの「ほたて」と仲よく一緒に生活するようになりました。
2023年5月ごろはまだ上半身に黒い羽が残っていましたが、9月になった今は首に残すのみです。
ぜひ、えびとほたてに会いに来てください。
来園予定の方へのお願い。
えびは、ごはん欲しさに肩や頭に登ってしまう癖が残ってしまいました。
顔を突いてしまうかもしれないため、登ってきてしまった際はスタッフにお声掛けください。ご協力をよろしくお願いいたします。
月刊誌「BIRDER」で「掛川花鳥園出張ガイド」を好評連載中!
BIRDERでは、さらに花鳥園の鳥たちについて、毎月いろいろなテーマで紹介する連載を掲載しています。楽しい漫画やイラスト入りで、会いに行きたくなること間違いなし!
BIRDER10月号の連載テーマは「フクロウ!」
意外と知らないフクロウの秘密を前後編でお届けします。10月号は前編です!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?