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帆船のマーケティング
先日、イギリスの帆船「テネシャス」が運行を停止したようですが、それに絡んだフェイスブックの投稿です。
書いたのはヨーロッパで多くの帆船に関わってきたと思しき方。
![](https://assets.st-note.com/img/1706762410326-qVScJCEd1o.jpg?width=1200)
イギリスは1970年代に一般向けの帆船航海プログラム「セイルトレーニング」が生まれた土地だと言われています。
イギリスという国は一時は海軍、海運力で世界を制した国なので「帆船」には国民的な思い入れがあると言われてきました。
そのイギリスで民間所有の帆船が経営難に陥った理由。
筆者はそれをラディカルなセイルトレーニングにこだわったからではないかと分析しています。
投稿内ではオランダを例に挙げていますが、確かに、長期、長距離のクルーズを設定しているオランダ帆船はいくつも見受けられます。
またデイや一泊程度を行う小型の帆船も、ぼくが訪れた時にはオランダで数多く見受けられました。
オランダで帆船コミュニティが盛り上がっている理由を運営内容の違いだと分析しています。
イギリスの民間帆船の多くは、70年代からの「トレーニング」にこだわり続け、若年層に航海体験を提供することに主眼を置いてきました。
一方で、オランダの船は企画や「カスタマー体験」により力を入れたからではないかと。
食事や寝具などで、ホテル基準を目指し、非日常の体験により多くを支払うゲストの呼び込みに注力したからではないかというのが投稿の内容です。
ぼく自身はイギリス帆船での航海経験はありますが、オランダ帆船には乗ったことがありません。
ただオランダ帆船「ヨーロッパ」は毎年南極航海を企画していて注目していました。
![](https://assets.st-note.com/img/1706762452409-RgeSPbsxLl.jpg?width=1200)
「ヨーロッパ」は毎年12月のオランダからアルゼンチンに拠点を移します。
そしてヨーロッパがオフシーズンになる1-2月に3-4回の南極航海を企画しています。期間は3週間ほど。お値段は10,000ユーロ(約150万円)。
毎年、初夏に日程が発表されると10月くらいには満席になる人気クルーズです。
ぼくも一度は行ってみたいのですが、スケジュールが確定することには満席になっていて、毎年狙っているのですがまだ参加したことがありません。
「南極」クルーズは事前の準備が必要な上に、普段のクルーズとは全く異なるノウハウが必要と思われます。
しかしそのリスクを取っても、十分なリターンのある企画なんだろうと思います。
単純に、一日あたり6-7万円の参加費を払ってもいいとゲストに感じさせるだけのものはあるのだと。
ぼくは日本で25年以上、さまざまな形で帆船に関わってきました。
ぼくが乗り始めた頃、長い航海でもそこそこベッドは埋まっていましたし、若い人も乗ってきていました。
しかし時代が進むにつれ、長い航海を企画しても乗船者は集まらず、「帆船」にノスタルジーを感じる年配の方が増えてきたように思います。
当初、ぼくは帆船についての必要な情報が必要なところに届いていないのでは、という仮説をもって、いろいろとPR に勤めてきました。
がしかし、どうも時代が変わると同時に人の感覚も変わってきたのではないか。
最近、そう思うようになってきました。
そのあたりはまたどこかで詳しく書いていきたいと思います。