シースピカで瀬戸内クルージング(後編)
シースピカは瀬戸内海を西に向かい、安芸灘大橋をくぐって下蒲刈島(しもかまがりじま)に到着しました。
「とびしま海道」と呼ばれるいくつかの橋で繋がった島のひとつで本土と橋でつながっている始まりの島です。
ここで約70分の上陸。
船を降りたところに地元のおばちゃんたちがテントを張って待ち構えてました。
鯛めし、タコかま、ドライトマトなどなど、地元産のものを売ってます。
気になるものもあるのですが荷物になるので買うのは船に戻るときにします。
下蒲刈島は江戸時代までは潮待ち風待ちの港として栄えました。
参勤交代の大名が泊まる本陣が置かれるなどとても賑わった港町だったようです。
朝鮮からの外交使節「朝鮮通信使」が宿泊する港でもありました。
当時の雰囲気を残す建物や船をつなぐ設備などがいまも残っていて、美術館や資料館として活用されています。
港から海沿いの一本道を歩いていくとそうした施設が間をおいて見えてきます。
こじんまりとして散歩するにはちょうどいい街でした。
港から10分くらい歩いた松濤園は島の番所を復元したものや移築した4つの建物を利用した資料館。
800円の入館料はチケットを見せると2割引。
資料館もわりと面白かったし瀬戸内海を背景にした小さな庭園はよく手入れされていてとても気持ちのいい場所でした。
そうこうするうちに出港時間が迫ってきたので船に戻ります。
港に戻ってテントのおばちゃんから鯛めしを購入。
他の乗客の方もいろいろと買い込んでいました。
本土と橋で繋がっているとはいえそれほど有名な観光資源がない下蒲刈島にとってシースピカが寄港するようになったのは大きな事件だったそうです。
一部では冗談半分ですが「黒船来襲」と呼ばれたりもしてるのだとか。
運行シーズンになると毎週末100人以上訪問客が増えるのだから当たり前ですね。
今日もぼくたちが散歩を始めたタイミングでどこからともなくボランティアガイド風のおじさんが現れて、歩くのに合わせて道端の施設の由来などを語ってくださいました。
瀬戸内芸術祭が始まって関わった島の多くで島外の人との関わり方が変わったという話を聞きます。
島にとって外からの人がやってくることは大きな出来事だし、意識が外に向くキッカケになったりするのかもしれません。
下蒲刈島を出て船はとびしま海道の北側を東に。
次のチェックポイントは竹原市の沖に浮かぶ「契島」
島全体が鉛の精錬工場になっているので、竹原から定期船は出ているものの工場の関係者以外は立ち入ることができません。
中央にひときわ高く鉄塔がそびえ立つ姿から「瀬戸内の軍艦島」や「瀬戸内のモンサンミッシェル」とも呼ばれているそうです。
当然、ぼくたちも上陸はできないので、スピードを落としてゆっくりと通り過ぎます。
軍艦島もモンサンミッシェルも見たことはありませんが、確かに軍艦に見えなくもないと思いました。
みなさんにはどう見えますか?
そろそろお腹も空いてきたので下蒲刈島で手に入れた鯛めしなど食べつつ船はさらに西へ。
シースピカではオプションで二種類のお弁当を予約することもできるのですが、今回はお願いしませんでした。
こちらは乗船後に船内で渡されるみたいです。
+5000円ほどとちょっとお高めですが、瀬戸田で降りて「たこ懐石」を楽しめるプランもあるようです。
三原港周辺にも昼食が食べられるところはいくつかあるようなので、事前にどれを選ぶか調べてみるのがよさそうです。
船は最後の寄港地、大久野島に到着しました。
ここで30分の上陸です。
「うさぎの島」として有名ですが、コロナ禍の観光客減少でうさぎの数も減ったのではないかと言われているそうです。
時間があまりないので港周辺しか周れませんでしたが、確かに以前よりうさぎの姿は少ないかも。
それでものんびりと寝転んだり観光客にエサをねだるうさぎの平和な姿があちらこちらで見られました。
大久野島を出ると生口島の瀬戸田港に立ち寄り何人かの人が下船していきました。
この島は耕三寺というお寺で有名。
以前訪れた感想は「ちょっとイカした仏教テーマパーク」でした。
気になった方はぜひ一度訪れてみて下さい。
13時頃、三原港に到着。
宇品の港は広くて大きなフェリーも入ってきますがこちらは打って変わってこじんまりとした港。
それでも近隣の島への航路が何本もあって船の出入りも多い活気のある港です。
30分後には広島向けの西向きコースがスタート。
こちらはとびしま海道の南側を進みます。
行きと同じく大久野島、そして下蒲刈島の代わりに大崎下島に上陸して、18時に広島港にたどり着きます。
とてもおもしろい航海だったので今度は西向きコースも乗船してみたいですね。
三原港は新幹線も停まるJRの駅まで歩いて5分と交通の便は最高です。
港の近くに有名な観光ポイントはありませんが、飲食店はそこそこたくさんあります。
三原はたこで有名で、たこを初めとした瀬戸内の新鮮な魚介類が楽しめるお店もあります。
ぼくは三原で一泊して地元の人おすすめのたこ料理専門店で舌鼓を打ちました。
瀬戸内海を堪能できるシースピカのクルーズ。
おすすめですのでぜひ一度体験してみて下さい。