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お店の片隅でジャンクな雰囲気でくすぶっていたMINOX 35 EL ちゃんは、いざ電池を入れてみたらとても良い子だったのです。

たまたま自由が丘を流していたら、中古カメラ屋を発見してしまった。三宝カメラというお店である。なんかあるといいんだけどなー、という漠然とした期待感でぶらっと入る。


高価なカメラは値札を見て全部スルー。金さえ出せば買える、というのにはどうもそそられないのである。というひねくれ者の私が見るのは、ジャンクの棚である。ひっそりと控えめなたたずまいで私を待っていたのは、ミノックス35ELという子。


前の蓋をパカッと開けると沈胴式のレンズがぬっと出てくるモデルである。
試しに蓋を開けようとしたら、かなり力がいる。壊さないように慎重に開け閉めして考えたのでありました。動きが悪くなっているのはCRC556で何とかしてみようと。



それにしても、このコンパクトさはやはり凄い。さすがのドイツ製である。以前一度ローライ35を手にしたことがあったが、あまりのメカメカしさにやや引いてしまった。これでもかこれでもか、と精密機械の製造技術を思い切り見せられるような感じ。結局使用頻度が減って、ヤフオクに流してしまった。
しかしこのミノックス35ELはプラスティックボディなので、そんなにメカメカしさを感じることなく、可愛く使えそうに思ったのである。ちょっと力を抜いた感じのカメラなのだ。


裏蓋を開けて、内部をチェック。モルト張りはなく、プラスチックの嚙み合わせてかっちり遮光するのはさすがドイツ製だ。電池室もねじ蓋を開けてチェックしたが、きれいである。


それで1000円である。即買いだった。「これで遊ばせていただきますので」とお店の人に言って、ポケットに放り込んだのだった。
他はレンズやボディのキャップ類が1個100円、合計3個で300円。懐に優しいのである。
家に帰って、バッテリーを調べるとLR44を4個テープで張って繋いで使うとのこと。渋谷のビックカメラで即バッテリー購入に走り、945円。ポイントが溜まっていたので、それで会計して0円なのだ。



果たして自動露出機構が動くかどうか、祈るような気持ちでバッテリーを入れて蓋を開けると、おおおおーーー、ファインダー内部右側のメーター針が動く。やったあああー、露出計は生きていたあああ、なのでした。
あちこちにCRC556を注しながら動かしてみる。本当はこんなことをしてはいけないのである。でも1000円だから、壊れたらごめんなさいで済む価格ですぅ。
ところが調子に乗って、いじくりまわしていたら、フォーカシングリングにクラックが発生。ポロリと取れてしまった。あーーー、ピントが操作できないいいいい、となってしまったのである。


これは修理に出さねばならないが、いつも頼んでいる田原町の長谷川工作所に持っていくことにしよう。最近ご無沙汰しているが、ご主人はお元気だろうか。ちょっと気になるところだ。
全体のオーバーホールと、レンズにあるカビを取ってもらおう。そしてフォーカスリングをきちんと嵌めてもらうことにする。
改めてこのミノックス35ELを眺めてみると、よくこれだけコンパクトに仕上げたなあ、と感嘆する。かわいい子だが、修理屋さんに入院させなければならない。しばし、涙の別れをしなければならないのである。早く元気になって帰って来いよー!!!


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