ピックアップヌー 2021.7 (天久聖一)
**ピックアップヌーは文芸ヌー主催・天久先生の作品紹介ツイートのまとめです**
いただいたコメントがなくなってしまわないようにあつめました。よみものさがしのきっかけになるとうれしいです。
語られなかったスピンオフ、身勝手な主人公の尻ぬぐいに明け暮れる、これは俺たちの物語だ! 哲ロマくんの名作はアーカイブにもたくさんあるので是非!
なにか起こりそうな予兆だけで引っ張られ、ラストそのゴム紐を不意に離される。まるで往年のコントみたいな読後感。どう捉えていいのか分からない感情に襲われる。ホラーかもしれない。
ヌーの特別企画「あらすじ小説」文庫本の裏表紙にあるようなあらすじだけの物語。だからこそできるぶっとんだ掌編がズラリ!発想に満ちた面白さ、笑えるやつです。是非!
二行詩の連続で構成されたポエムのようなストーリー。というと抽象的なようだけど、テンポのいいイメージの連続で面白い!形式を踏まえることで逆に自由になれる好例だと思いました。
今回も記憶の中を、夢の中を彷徨っているような2編、xissaさんの文体は力の入ってない上手い歌のようでそれだけで心地良いです。
こういうどうでもいいシモネタを扱いながら、ちゃんとした読後感(ラスト「ちなみに〜」からがまた笑える!)になるのは一重に後藤さんのキャラゆえだろう。シリーズものが読みたい気がするw
ゲシュタルトにトートロジーも混ざってドロドロに溶けた文体から、最後になぜか一粒の真珠のような事実が残る不思議な作品。
完全にラップのリリックですが、それがよく出来てて、誰もが自分のビートで読める新文体になっている。HIP-HOP高校卒業式の「呼びかけ」という感じ。面白い。
ほっこりした中年の夫婦愛が書かれているようで、実は深く鮮やかなセックスレス小説。
xissaさんの作品はだいたい自分のつくった書き出しや自由律から着想してるそうです。一行の中にこれだけの世界が折り込まれているように、この掌編の中にも大長編が折り込まれている、かもしれない。
実話かな。実話であって欲しい。作中のキャラクターはその役割から外れた場面で本当のキャラが立つ。現実も同じ。
スラップスティックなショートショート、作者のウミウシくんは先日の「世にも奇妙な物語」でも脚本を書かれた作家さん。どうりて!段階的な謎の開示にシナリオライティングの技が光ってます。風刺も。
ネタバレしたくないので読んでもらうほかない。新本格ミステリならぬ新本格ギャグというべきか。前作で見せた凄みのあとの今作。紀野珍くんの更に先を見たいようなこの辺で踏みとどまって欲しいような、複雑な気持ちっス!
一貫したイライラとモヤモヤがそのまま一種の面白さになっている。そういえば面白いコントのキャラクターって必ずイラっとさせる要素を持っている。確信犯的な上手さ!
ブラックな笑いに理由があると妙に冷めてしまう。でもこの作品には理由がない。救いとは結局、理由がないことにあるんじゃないかと深いところまで考えてしまう。好きな作品!
サクっとオチる天の川物語。天の川がちゃんと見られる七夕って実は相当レアだと思うけど、織り姫彦星側からすると自分たちの逢瀬を下から見られるわけだから、雲で隠してもらった方がいいのかも。
書き出し自選、今回は書き出し第七世代モンゴノグノムさん。秀逸な比喩として彼の「吊り革の輪が一斉に笑い始めた」を先日ゴールデンラジオで紹介さえてもらいました。今後ともよろしく!