全力クルトン（哲ロマ）

初めてウニ食べた人すごいよね。アレ食べてみようとか思い付く人すごいよね。絶対ダメだよね。あんなトゲトゲ。

エビ、カニ、辺りもすごいよね。食える所なんてあるわけが無い。絶対ダメ。マヨネーズに合うわけがない。
イカ、タコ絶対ダメ。食べれる食べれない以前に触れてはいけないでしょうアレは。ましてや火も通さずにわさびと和えたりなんか絶対ダメ。日本酒に合うわけがない。
きのこもすごい。どれだけの犠牲を払ってたどり着いた毒の有り無しデータなのか。壮絶。映画化して欲しい。ねえ？もうやめよ？えのき見つけたしもうやめよ？俺なら止める。

という様な「初めて◯◯食べた人」は偉大だ。どれだけ感謝しても足りないぐらい偉大だ。
本当にありがとうございます。貴方達のおかげで今の私達は生きております。貴方達のおかげで今日も寿司が回転しております。

ですが、その、偉大な先人の方々に大変失礼なのは重々承知なのですが、そんなに切羽詰まってない感じの、余裕の感じられる、フワッとした「初めて◯◯した人」そういう人に俺は憧れている。

【初めてクルトンを思い付いた人】

クルトンです。サクサクするやつです。シーザーサラダとか、コーンポタージュとかに浮いてるサクサクするやつです。クルトン。
クルトン切羽詰まってない。クルトン余裕。だって要らないもの。サクサクするだけだしクルトン。
ウニだのきのこだのエビカニイカタコは、やべー！食い物足りねー！みたいな切羽詰まった挙げ句の決死チャレンジな気がするけれどクルトンは違う。要らないのに思い付いた。シーザーサラダ、コーンポタージュがそもそもそれだけで完成されているにも関わらずその上で

「うーん、美味しいけど、もっとなんかこう、サクサクしたいよね」

余裕の思い付き。優雅で余裕のあるフワッとした思い付き。そういう人になりたい。
やってやんよ！俺だって優雅にフワッと思い付いてやんよコノヤロー！舐めんなよ！

【ラーメンに半ライス】
「うーん、美味しいけど、もっとなんかこう、米食いたいよね」
違う。これはただの腹減った人の注文だ。フワッとした思い付きでもなんでもない。どちらかと言えばウニきのこエビカニイカタコ側だこれは。切羽詰まっている。サクサクだ。クルトンの様なサクサクをフワッと思い付くんだ俺。切羽詰まるな俺。

【温玉ぶっかけうどんに天かす】
「うーん、かなり安く済ませたけど、もっとなんかこう、無料でサクサクしたいよね」
タダだからってそんなに天かす入れるとうどんの汁ほとんど持ってかれっぞ！
違う。天かすサクサクだけど違う。ラーメンに半ライスよりも切羽詰まっている。経済的な面での余裕の無さしか感じられない。ダメだ。

【わりと人数の多い飲み会のテーブルにご飯セット】
コロナ禍、この状況がいつまで続いていくのでしょうか。きっと少しずつ良くなると願って諦めずに、一人一人が出来る事をしっかりと守って新しい日常を過ごしていくしかないと私は思います。あの頃当たり前だった仲間たちとの楽しい酒。テーブルいっぱいに並んだ唐揚げ、軟骨の唐揚げ、ポテトフライ、ハムカツ、ちくわの磯辺揚げ、山芋揚げ、イカフライ。一人だけ急にご飯セットを頼むアイツ。きっとまたそんな日常が戻って来るトン信じて、乗り越えていきましょう。

分からなくなって来た。食べ物で考えるとダメだ。切り替えよう。視点を変えて一旦食べ物から離れよう。きっと食べ物以外にだってクルトン的なフワッとな思い付きがある筈だ。

【風呂場に椅子】
ユニットバスのワンルームで一人暮らしをして居た時期が長かったので、風呂とトイレが別々の部屋に引っ越した時に風呂場に椅子が無い状態がしばらく続いたことがあった。座って頭を洗う、座って身体を洗う、念願の単独風呂場で当然それをするのだけれど、椅子が無い。みなさんも試しに一度やってみて欲しい。風呂の床に直で座る。なんかこう、違うな、と。あの時俺はたぶんクルトンを思い付いた人に近い感覚だったのではないか。どうだろうか。違うな。

【玉置浩二に井上陽水】
夏の終わりのハーモニーだ。違う。
それだけで完成されているシーザーサラダにクルトンなのだから、それだけで完成されている玉置浩二にそれだけで完成されている井上陽水じゃクルトンが無い。ダメだ。奇跡のハーモニーだ。素敵だ。

【玉置浩二に天かす】
すごく怒るかすごく笑ってくれるかどちらかだ。違う。

【シーザーサラダに井上陽水】
サクサクしてないダメだ

【猫に小判】
諺でも挟んどくか！

【大根サラダに天かす】
もうこれで手打ちにしないかい？ダメかい？

【プリンに醤油】
ウニ味になるよ。
謝れ！決死のチャレンジで初めてウニ食べた人に謝れ！

もういいかな。疲れた。諦めようクルトン。
レタス千切って食べます。