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日替わりくそデッキ部定食 ~ 心なきデルニー廃品回収有限会社(有)
前書きのような何か
(筆 2024年5月12日)
みなさん、こんにちは!ぶんまるです。
本記事執筆時点で2024年5月。今月末は常滑でプレイヤーズコンベンション愛知が開催予定ですね!筆者ですが近年は主にレガシーのフォーマットをプレイしているので、主イベントのスタンダードには参加できませんが、遅ればせて発表されたレガシー選手権と、それになんと久方ぶりのチームレガシー(!)。常滑まで足を運んで参加を予定しています。旅行も兼ねて最近はこれが四半期に一度の楽しみだ!わーい!わーい!
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いやあしかし、そんなこんなで海を渡った先に暮らしているため(※海外勤務)、コンベンションに参加するには毎度日本に帰国せねばならないわけです……。海外移動はそれなりに費用が掛かってしまうので、自ずと仕事と抱き合わせの旅程になってしまいます。大体たくさんのカードをカバンに詰め込んで(飛行機でビューン後に思い出しても取りに帰れない。。)、おうちのストレージごと一緒に旅行する感じ。そして結構なんだかんだ移動前後も、予定ぎっしりで多忙になってしまいます。悲しすぎる。もっとゆっくりしたい。
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そういった感じなので、いつもイベントに向けてだいたい移動日の一週間前くらいまでが落ち着いて遊べる期限かな?というところ。今回は5月のそんな日和の中で、移動に向けた最終週にポン!と遊びたいデッキを思いついてしまったことが始まりでした。正直リストを練る暇は全くなくメインすら未研究、サイドに至ってはもちろん虚無。一方で思いついたアイデアは世に出しておきたい。。その為には大会に出てちゃんとリストを残してあげなきゃデッキに悪いなあと、まさしく手探りのまま直近の大会へやむなく雪崩れ込むことに。
イベントには完成度の高いくそデッキを持ち込みたいが、完成度を高めるために回さないといけないという矛盾 うんちのほこたて
— ぶんまる (@bunmaru_dh) May 9, 2024
設立:心なきデルニー廃品回収有限会社(有)
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当社概要
早速ですが、皆さんは心なき召喚/Heartless Summoningというカード、ご存じでしょうか?
計2マナと軽い黒のエンチャントでありながら、自軍のクリーチャーを唱えるコストが②軽減する、トンデモ唯一無二能力を持ったカード。その代わり代償として自軍全体が常に-1/-1修正されてしまう呪いを背負うという……。いかにも黒っぽい効果を持っています。
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高マナ域のクリーチャーを軽減できることはもちろん、無色2マナのクリーチャーに至ってはなんとコストがタダ!これはすごいことだ!知られている組み合わせで言えば、マイアの回収者/Myr Retrieverを二枚組み合わせて、お互いにぐるぐる回収すること。マナコストがタダになるうえ、-1/-1修正のおかげで自然と墓地に行くことが可能です。自身は回収の対象に取れないので、相棒と二枚合わせてやっと初めてぐるぐるが開始するんですね。
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けれど実は、この二枚を組み合わせるだけでは、ぐるぐるするマイアをかわいいなあ^~と眺めることはできても、実際なんと何も起こりません(?)。本当に二匹がぐるぐるするだけ。もちろんストームをいっぱい稼ぐ事に使うとか方法はあるものの、実用性がいまいちな中で、少し前にカルロフ邸のセット発売と共にある新カードがリリースされました。そう、それはというと…。
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世慣れた見張り、デルニー/Delney, Streetwise Lookoutです。デルニーはパワーが2以下の自軍クリーチャーの誘発型能力を2倍にしてくれる、これまたトンデモな能力を持った存在です。戦場に出たとき~といったETBにとどまらず、戦闘誘発、死亡誘発…。もう誘発なら何でもござれといった大盤振る舞い。デルニーとマイアの回収者が合わされば、2枚ループのついでに墓地から追加のアーティファクトも回収可能ということ…!モダンでも実行可能な組み合わせですが、レガシーで挑戦する理由ってあったかな…。コンボを邪魔せず出せて無限回収が嬉しい追加のアーティファクト?うーんうーん……。
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いました。水蓮の花びら君がいるじゃないか~!!コンボ始動を邪魔するどころか、心なき召喚や回収者・デルニーにマナを供給しながら自ら墓地へ。回収者が1枚しかない時点でも、回収可能な疑似マナブーストとして全てが相互作用します。最初に設定したやりたいことに対して相互にかみ合った土台が決まれば、もうデッキの素が出来たと言って過言では無い!
方針が決まったので早速ほかのパーツの選定に。ひとまず出だしは青くないコンボデッキというところで、レガシーにおいて並みいる強大なデッキたちが簡単には始動を許してくれません。自らの身を守る手段が必要になります。そこでまず目を付けたのが下記の二枚。
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ウルザのガラクタは0マナで唱えられるアーティファクトであり、相手の手札をランダムに1枚見てドローに変えてくれるカード。つまりペタルと同じ要領で回収者デルニーと組み合わせることで、こっちは無限ドローのパーツにも!陰謀団式療法は条件付き手札破壊でありつつも、序盤に盤面に回収者のみ、といったケースでハンデスしつつ能動的に生け贄に捧げる事が可能です。
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デッキにかみ合った防御方法が決まったので、今度は勝ち手段を模索します。アーティファクトを絡めた無限マナ/無限ドローを目指すので、ひとまず歩行バリスタを試してみましょう。序盤に引いてもX=1でオークの弓使い等を処理するなど、幅広い使い方も期待できます。
そして他にもユニークな特色が。心なき召喚下の状況では、2マナかつタフネス1以下の無色アーティファクトは問答無用でタダで墓地に行くカードになりますが、危険なマイア/Perilous Myrは面白い発見でした!心なき召喚があれば0マナの除去として使える、無限回収の勝ち手段(=無限プレイヤー2点)になる、陰謀団式療法と組み合わせたダメージ源になる、デルニーでダメージが2回飛ばせる、とまさに八面六臂の大活躍。機能不全ダニは相手の置物をさばきつつ、無限回収の勝ち手段(=無限ライフ)になると、こちらもデッキにバッチリかみ合った子です。
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デッキを形作る役者さんたちも揃ってきつつ、一方特定のパーツを使ったコンボなのでそれらを上手く回す潤滑油も探していきます。まるで本当の会社みたいだあ…。
デルニーを搭載している都合上、デッキパーツを動かす潤滑油もまたクリーチャーが望ましいでしょう。誘発で探すことができればそれらの恩恵が(※上手くいけば)倍になります。ほぼ全てのパーツがタフネス2以下やアーティファクトで構成されているので、護衛募集員とエムリーがまずは一つの選択肢となりました。特に護衛募集員に至っては、デルニー+心なき召喚が揃っている際、白白を出すことができれば、以下の手順を踏むことで実質初動の1枚から無限ダメージ or ライフコンボを完遂することが可能です。
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手札:護衛募集員 1枚
マナ:白白が出せる
盤面:デルニー、心なき召喚がある
手札から出した際の1stパイル「護衛募集員+マイアの回収者」
持ってきた募集員での2ndパイル「マイアの回収者+危険なマイア or 機能不全ダニ」
エムリーでデッキを切削することや、能動的に墓地で回すデッキ構造、心なき召喚が必須パーツでありながら2マナのエンチャント…。という点を加味して、セヴィンの再利用を少しタッチしてみます。似た理由で、クリーチャーコンボに対する集合した中隊も採用。どちらも2枚を一度に出す/戻す、という点で優れているカードたちです。
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序盤の回収者のストームっぽい利用法の話と絡めつつ、上記二枚の発射台との相互作用を願って、下記を今回は試しに採用してみることに。潜入者、悟はブリンクなどとも相性の良い拡張性を感じるパーツでしたが、緑1マナの軽さが魅力的で垣間見る自然も採用。どちらも回収者がぐるぐるすることでドローに繋げることができます。エルフの指導霊は序盤のテンポ兼、護衛募集員から持ってこれる最後のマナブースト一押しとして入れてみました。
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そして最後に追加のコンボ枠として、屑鉄さらいとアシュノッドの供犠台の二枚。アシュノッドの供犠台はエムリーから探せる追加の心なき召喚として。屑鉄さらいは追加のマイアの回収者枠です。
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実践に向けて、これでデッキは苦しいながらほぼ白黒ベースの4色に。土地をいくつか調整してメインボードの60枚が決定しました。心なき召喚を最大限生かすためほとんどのクリーチャーが②を含む都合で古えの墳墓を採用。そして倦怠の宝珠などデッキに刺さってしまうヘイト置物を対策する母聖樹と、自軍の伝説のクリーチャーのETBを再利用できるカラカスを入れています。
そしてサイド後に墓地/アーティファクトを対策される可能性を懸念し、こちらのサイドボードはETB戦略に極限まで寄せることに。護衛募集員でサーチ可能なインカーネーションサイクルは、心なき召喚で自軍が-1/-1の状況下になると、デルニーで誘発が二倍になるという小ネタもあります!
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決算報告書(第108回おうちでレガシー参加)
108回 #おうちでレガシー
— ぶんまる (@bunmaru_dh) May 11, 2024
使用デッキ:心なきデルニー廃品回収有限会社
1G : 4C豆 xx
2G : 柳さん xx
3G : BR死の影 xx
結果 0-3(0-6)😭
突然廃品回収者をぐるぐるデッキを思いつき、アイデアを世の中に供養したくておうち参加。負けたけど色んなルートは楽しかったよ!#おうちでくそデッキ部 pic.twitter.com/cexVtKcGQb
えー、本年度の収支報告書。結果、全敗でした。
…というのは置いておいて。今回の参加主目的は、ある程度回して十分に練ってから参加という形ではなく、『アイデアを実戦で研究してみる』こと。これを今回試してみたかった身としては、結果は全敗だったんですが、その内容は非常に実のある清々しいものになりました。まっすぐ対戦して下さる方々にはいつも感謝!
今回のデッキがなぜダメだったのか?一体何が悪かったのか?これらを知るために(ついでにこの過程を記事に残しておくため)具体的な失敗を分析してみると、体感として、まずはとにかくコンボが決まらない!もっと言うと、理想の初手がなかなか来ない!ということが分かりました。
例えば悪い初手の例ですが、まさに今ランダムで生成した以下のサンプルハンドA。
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キーパーツであるデルニーは初手にありますが、パーツはバラバラ。すぐコンボに繋がる訳でなく、相手に干渉もできません。うーんこれじゃ勝てないのでマリガンします…。
次はもう一度ランダムで生成した以下のサンプルハンドB。
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今度は心なき召喚を持っている、初動からウルザのガラクタ+陰謀団式療法は可能です。でもその後は…?トップから護衛募集員かマイアの回収者を引いて来なければ、次につなげることができません。仮にここでデルニーや追加の心なき召喚を引いても、現状は何もしないカードという意味になってしまいます。これを平均的な初手だとした場合、各カードが瞬間において何もしないことがある、という致命的な細さが浮き彫りになってしまいました。もちろんそれぞれのカードにデッキ上ちゃんとした役割は与えられていたのですが、その役割がおおむねコンボの歯車を回すことに特化しており、デッキ全体で前に進むことにあまり貢献出来ていないことが分かったのです。
そしてもう一つ判明した致命的な欠点、それは複数枚を繋げていくものでありながら、コンボパーツが100%集まらないと勝てない!という余りにハードルの高いデッキ構築上の事実でした。これは当然といえば当然なのですが、このデッキの勝ち手段はほぼ、特定の下準備の上でマイアの回収者と0マナファクトが揃ったときだけです。つまりそれ以外の50枚に近いカードを使ってやることはまさに下準備。今のレガシー環境では、こちらがそこまでして下準備に力を割いている間に、同じ労力を使ってお相手は勝ちに来ます。あっ初めまして。私はこのターンで死にますか?実際大会を通して何度も中途半端なコンボが決まったシーンはありましたが、決まっても何も起こらない。こちらはまさにぐるぐるしただけ!!という悲しい悲しい結果に…。ハイ、返しのターンできっちり死にました。
そしてこれはサイドボード後でも。いかんせんメインがそういった状況なので、想起インカーネーションを入れてはみたものの、線の細いデッキからいくつかパーツを抜いてまで悲嘆と孤独を入れる。それはもう実質ほぼインカーネーション単。デッキ全体のシナジーが上手いこと発揮されず、結局中途半端にカードを出していくような感じになってしまいました。
上記を踏まえまして、もう少し良い構築はないか?ピッタリなカードは?そもそも何を目指して進むデッキにする?などなど。デッキ自体のアイデアに向き合うべく、これらをもう少し深めて模索していこうと思います。
今後の参考までに、クリアに判明した反省点だけを以下数点、記述しておきます…。びええ。回る仕組みは楽しかったけど、くそデッキの誕生は苦しい!
Q, 歩行バリスタと危険なマイアって併用する必要あった?
A, 歩行バリスタに対して無限マナが出ている状況とはつまり、マイアの回収者が無限に墓地を経由し、ペタルを無限回収できている事を指します。この状況はつまり、危険なマイアも無限ループさせることができるので、危険なマイアのみで良かったかもしれません…。
Q, 垣間見る自然を打つ機会はあった?
A, 最低限ほかのクリーチャーと絡めてキャントリになる…と考えていましたが、ただの1マナキャントリのみという時点で、実戦で打つ勇気に踏み切れる場面がほとんどありませんでした。もちろん回収者2枚ループに対する5枚目のデルニーとしては機能しますが、デッキ全体としては回収者をそもそも綺麗にループさせることに向かうカードを取った方が良く、垣間見る自然の出番は少し減るかもしれません。なお、潜入者、悟に関しては今回は手札に引き込めず、使用感は未知数です。サイドからインカーネーションを強く取れる構築になった場合は輝く可能性があり。
Q, 4色まで足して頑張った手ごたえはあった?
A, その2の回答と関連しますが、色を足したメリットが緑に関しては特に薄く(母聖樹は強かったものの)むしろ白白のマナが欲しいときに色が出ない、というケースにぶつかりました。ベースとしては白黒のデッキなので、タッチする色はもう少し減らす、もしくは土地基盤を白が複数出るように検討する必要があるかもしれません。ペタルがあれば色拘束に寄与はできるはずなんですが、想定以上に色配分に縛られる動きを感じました。
Q, 追加のコンボ同役割枠、屑鉄さらいとアシュノッドの供犠台はうまくはまった?
A, アシュノッドの供犠台については、エムリーで墓地からキャストすることが可能な心なき召喚という点で、非常に使い勝手が良かったです。今回参加した大会でもゲーム後の感想戦でオズワルド・フィドルベンダー/Oswald Fiddlebenderを使って回収者や危険なマイアからシルバーバレットが可能な点が話題に出たりと、今後の発展に期待できるパーツ。一方で屑鉄さらいに関しては、タフネスが2あるせいで1枚の心なき召喚だと自力で墓地に落ちない点、また3マナが同じく1枚の心なき召喚/アシュノッドだけだとループが出来ない点がそもそもパーツとして自己完結できておらず、今後は要検討です。
Q, そもそも、コンボの出来具合はどうだった?
A, 本文にも記載しましたが、陰謀団式療法を強く使えるコンボではあるものの、とにかく完成までのパーツの必要枚数が多い!何か一つだけ足りない、の状況が頻発し、これで幾度となく死にました。デッキエンジンである根幹はいじりませんが、円滑なサーチ手段や、そもそも断片的な組み合わせでも強く動けるパーツを今後は検討するべく頑張っています。新しいデッキは一朝一夕には出来ない…!(泣)
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後書きのような何か
思いついたアイデアを十分練って遊べる場所に持っていく。これを実行するには遊べる時間を作ることに加えて、練る時間も捻出しなければなりません…。そういう意味では『時間は無いけどアイデア素案は世に出しておきたい!』ということも時に大事なのだなあと思い、頑張って何とか下手な束だけれど積みあげて大会に出れた、よかったあ~と今回は終わってみて感じています。
今後も色々なアイデアをこうやってチャレンジしてみたい、デッキの掘り下げもやってみたい!そんな気持ちで大満足になれた一日でした。比較的、今までは自分なりに完成したな、という段階の品を持ってイベントには赴く事が多かったんですが、最初の最初からこうした未熟なデッキを記事にするのもまた良いものですね。失敗をひとつひとつ残しておくことも、世の中のどこかの誰かにとって何か意義があればと感じながら筆を執っています。
さてさて、なお当社、『心なきデルニー廃品回収有限会社(有)』ですが、随時新入社員を募集しています!デッキに興味が沸いた方や、面白そうだな、と思った方は、使ってみたいカードや構築研究レポートをもって就職説明会にぜひ!
それでは本日は、こちらで末筆まで。
世の中に新しいデッキが生まれることを目指して。それじゃまたね!
ぶんまる