見出し画像

難易度の高い1人行動選手権

「今までしてきた1人行動で、一番難易度高かったのって何?」

割と1人行動愛好家な僕だけど、パッと思い浮かんだのが1人鳥貴族だった。
1人飲み。しかもチェーン店。1人行動好きを名乗るにはまだ早いのかもしれない。

僕の友達は、「1人回転寿司」と答えた。

「カウンター席で、ひたすら自分の好きなものを好きなだけ頼むのが堪らなくて…」

普段回転寿司では頼まないお酒を飲みながら、2時間くらいかけて仕事で疲れた体を労るようだ。

「え、それいいじゃん?」

そういえば僕は、1人回転寿司をしたことがなかった。早速、その次の週に行ってみることに決めた。


平日の17時過ぎ。まだ混んでなさそうかつ、ひとりで行っても浮かないであろう時間帯を狙って、いざ1人回転寿司に挑む。

そこでいきなり誤算が。
なんと、カウンターが1人回転寿司の大先輩たちで埋まっている。

パフェ3人前くらいを1人で嗜んでいるベテラン女子、ラーメン縛りでもしてるのっ?てくらいラーメンの器をひたすら積み上げているスーツのおじさん。

1人回転寿司。これはなかなか奥が深い。

そんな僕はと言えば、四人掛けのテーブル席に1人で座ることになった。


席に着く。無駄にキョロキョロしてしまう。なんだか落ち着かない。
持て余したスペースにそわそわしながら、とりあえずタッチパネルを手に取る。

僕が最初に頼んだのは、サーモン3皿。
ど定番のメニューをいきなり3皿。

注文後、自分の行動におもわず恥ずかしくなる。心なしか、隣の席の3歳くらいの子供にも笑われているような気がしてくる。


そんなこんなで、だんだん1人の空間にも慣れてきた。
ポテト、唐揚げ、たこ焼き...
普段は頼まない寿司以外のメニューも交えながら、1人パーティー開催だ。

好きなメニューを好きなだけ頼める喜びを噛み締めながら、お腹も心も満たしていく。

回転寿司って人と行くと、無意識に気を遣ってたんだなぁってことにも気づく。(サーモンを一気に3皿なんて普段は絶対にしない)

「そういえば、最近の回転寿司ってお寿司回転してないよなぁ」

何も流れていないレーンを、頼んだメニューが電車に乗せられ運ばれてくるのだ。

小さい頃は、お寿司がレーンを回っているのを目を輝かせながら永遠に眺めていた気がする。
まあ時代的にも仕方ないことだけど、、

そんなことをひたすらぼーーっと考えていたら、ふと周囲が騒がしくなっていることに気づく。
気づいたら2時間くらい経っていて、家族や学生たちに囲まれ1人なのは僕だけになっていた。

急に恥ずかしくなり、席を立つ。
ごちそうさまでした。

店を出たところであることに気づく。
来店から会計まで一度も店員さんと会話していない。

自動音声の「いらっしゃいませ」で始まり、
「ありがとうございました」で終わる。

この全く人を介さない一連の流れはまるで、僕がレーンを流れていて、出てきた寿司を胃袋に入れながらお金を払う、回転寿司ならぬ「回転人間」のようだ。(なんだそれ)

まあ、それが1人にとっては楽なんだけど。
1人回転寿司、案外いいじゃん。

また来ることを楽しみに、僕は日常という名のレーンに戻る。

いいなと思ったら応援しよう!