チェリまほ11話 アントンビルの屋上の孤独
衝撃の11話のから数日が経ち、公式さんのツイートや関係者のインタビュー記事を読み返すうちに、超ハッピーエンドの予感がだんどん(注:赤楚用語)高まり、心拍数が上がっている。
これまでの全11話、全てが神回なのだけど、その中でも12話未視聴の今、7話と11話は特別なものとなっている。
11話のラスト、こんなに悲しいシーンはないのに取り憑かれたように何度も見返してしまう。2人のかなしくも美しい表情に吸い込まれて止まない。演技が素晴らしいからなのか、ずっと見守ってきた2人の心が泣いているからなのか、安達のこぼす涙と黒沢の飲み込んだ涙が私の中でも乾くことなく流れる。
2人の悲しみを共存したいのか、8話から10話の幸せ大渋滞なんて、今は観れない。7話と11話を繰り返し観てるんだけど、どうしても直視できず早送りしてしまう箇所が2つある。
それは、7話の松浦社長のアルハラ・パワハラ・セクハラというハラスメントのオンパレードのシーンと、11話のアントンビルの映像のところ。
7話の松浦社長のハラスメントや上司の言動は、まだハラスメントなんて言葉が使われていなかった時代、昭和生まれの世代なら少なからず経験した苦い悪習としてフラッシュバックする。でも、この残念な人たちのおかげで、黒沢は安達の優しさに触れ救われるから、とても大切なエピソード。
でも、アントンビルの屋上の映像は、ただただ心をえぐられ、突き落とされる。モノローグこそ黒沢の声だが、そこに映る映像は安達の孤独な心そのものだからだ。
黒沢の妄想の中の安達は可愛い。特に1話2話の妄想の中の安達は、当時まだモッさい安達だっただけに「この人誰?」と突っ込みを入れたくなるほど瞳がキラキラしている。妄想の中の安達は、「安達に似合うと思って買ったパジャマ」を着ていて100%黒沢の妄想だとわかる。
6話の同棲記念日の妄想では、黒沢自らが登場する。はじめは黒沢の中で安達との距離が近づいたことの喜びの現れだと思っていた。
9話では蝶ネクタイをした安達と黒沢が乾杯をし、その後白いガウンを着てのお楽しみが始まる。この時の安達はべらぼうに可愛い。でも、ラストはドアップな黒沢に焦点が合っている。ん?黒沢100%の妄想なら、1話2話の時のようにもっと正面に安達がくるのでは?
安達に似合うと思って買っておいたパジャマのように、すでに白いガウンを黒沢は準備しているのか?黒沢なら準備してそうではあるが、そもそも大人の情事=ガウンという発想を安達はもっている。
5話で安達は黒沢と元カノ(実は黒沢姉)の夢をみる。その時の黒沢はぜぇったい着ないであろう毒毒しいガウンを着ている。
ちなみにこの時の夢の中のBGMは、2話で安達のパジャマ姿を見つめる黒沢の沈黙の時と、10話の「ご褒美、期待しちゃおっかな」と黒沢の湿度高めな視線を注ぐ時にも流れる。単なる演出と言ってしまえばそれまでだが、黒沢のスケベ心が放出された時の音楽なのか、未経験すぎる安達の大人の未知の世界への恐れから流れ聴こえてくる音楽なのか、とか考えてみたりもする。
6話、9話の妄想は黒沢100%の妄想なのか?そこに安達の妄想も少しは混入しているのではないか?わからなくなってきた。
話が逸れていきそうなので、時を戻そう。
アントンビルの屋上の映像は黒沢の妄想ではないというのは明白だ。黒沢少年合唱団の音楽は流れていないし、可愛いすぎる安達が出てこない。ロマンティックな黒沢が、あんな処刑台の階段のような暗い階段を登って、ポツンと不安げにたたずむ安達を最高のデートシーンとして思い描くはずがない。キラキラしているはずのクリスマスデートの黒沢の本当の妄想は、もう安達の心に届かなくなっている、ということ。
この時、安達は自分で作った厚い殻に自分を閉じ込めてしまい、そこに黒沢はいない。黒沢の心の声だけじゃない、黒沢の発するリアルな声も、その言葉に込められた優しさを、安達は遮断してしまったんじゃないかな。
最初は、黒沢に対して「もう離さない」って言ってたのに、「俺たち、もうここでやめておこうか」って、なんで?って責める気持ちも少しあったりもした。でも、もし黒沢が安達を抱きしめて、心を引き戻そうとしたとしても、結局、安達は黒沢から離れる選択をしたんじゃないかな。
安達は魔法を使う自分がズルいから嫌で、でも魔法がなくなったら空っぽの自分しか残らないと思い込んでしまった。俺なんて黒沢と一緒にいる資格がない…黒沢が1番悲しむ安達の「俺なんて」がスペシャルで発動…ああ…これは、もう…黒沢の優しさすらかえって安達を殻に閉じ込める負の連鎖になってる。
だから、もう、こうなったら、自分で殻を破るしかないよ、安達。もう少しズルい人間だったら、もっと楽に生きられたのにね。でも、その純粋で優しいところが黒沢の心を7年間も引き寄せてたわけだし、安達のそういうところが本当に尊いと思うから、自分で頑張って、なんとかしてくれ、だ。
安達は「俺なんて」って諦める癖があるけど、これは結構みんな持っているものだし、優しすぎるだけで弱くはない。普通の人間なら、人の心が読めるなんて魔法を手に入れたら頭おかしくなるし、魔法を悪用するような人に神様は魔法を与えない、はず。
安達はビビるほどの適応能力を持ってて、人の心に寄り添える素敵な人。だから、今はキャパオーバーになってるけど、すごい進化して黒沢の元に戻ってくる、はず。そんな安達を黒沢はもっともっと好きになる、はず。
本間さんのインタビュー記事から、最終回はフィナーレ感と優しさの連鎖があるらしい。黒沢待望の花火はあるのか?黒沢の服装も安達みたいにEDの服装で、繋がるのか?
公式の写真で、黒沢と話す藤崎さんの写真に救われる。だって、藤崎さん、めっちゃ優しい笑顔で黒沢を見てるから。聖母か!
2021年の目標ができた。
藤崎さんみたいになりたい、だ!
こうなったら、最終回楽しみしかない。