ようやく晴れました。雨に洗われた緑が冬の陽ざしに輝いています。
庭のヒヨドリはつがいで来ますが、最近、もう一羽秋に生まれたような子どもが付いてきます。体は大きいのですが、親にえさ場から追いやられると、近くの小枝で巣の中の雛のように羽を震わせて訴えています。
コスムは今日から大学院の授業、オンラインです。
昨日はひどい降りになり、ちょっと遠い自分の病院とか美容院とか、ふだんは自転車で行くのですが、雨となると駐車場探しに悩まなくてはなりません。やはり運転手は必要だと思い、任意保険の運転者にコスムを追加すべく、保険の担当者に連絡しました。運転者の追加なら電話でできるとのこと、コスムの免許証の色を本人に確認したのが昨夜のことでした。
今朝、電話での契約内容変更の予定でした。
未明に目覚め、「初めての更新だから、試験場しかないよ。お母さんはゴールドだから、警察だけど」と本人に葉書を渡した、確か10月中旬の一場面が蘇りました。試験場まで車で送迎しようと思っていたのに、コスムは最寄り駅からバスで行くと言い、「簡単だから」って部屋に入って行ったんだよね、間違いない。
…ちょっと待って…失効、してない???
飛び起きたい気持ちでしたが、前日までの介護生活で身体は動かず。スマホで失効した場合を検索し、警視庁のホームページなど調べまくりました。
コスムはオンライン授業の15分前に起きて、
「どうしよう」
「時間ヤバいじゃん」
「あと10分しかないよ」
「今日はディスカッションとかあるから、ご飯食べながらボーっとして聞いてるだけじゃだめなんだ」
スポンサーとしてはたまらず「ボーっと聞いてるだけだって?いつもボーっと聞いてたわけ?」と言いました。免許証を見せてもらうと(というか時間がないと渋るのを財布をむしり取って確認する母)失効していました。
「そんなばかな」
「失効なんかしてるはずない」
「失効してないもん」
寝ぼけた頭で言い返していたコスムはようやく認めると、「自分で調べる、どうしたらいいのか」とスマホでネット検索。よっぽど私が調べた警視庁のページを共有で送ろうかと思いましたが、とりあえず朝食食べさせなきゃならないし、保険屋にも連絡しなくてはなりません。失効している事実を伝えると、真面目な担当者は絶句しているのか、しばらく声が出ませんでした。そして「失効している人は免許がない人であり、免許がない人は運転ができません。運転できない人を運転者とすることはできません」とごもっともな解説でした。
コスムは目的とする情報を得たようで、スマホを見ながら「葉書をなくしたとか、忘れていたとか、忙しかったとかは、やむをえない理由にはなりませんだって」と言いました。
そして、「この部分が赤く大きな字になっているってことは、そういう人が多いってことだよね」と顔を上げるのでした。「書類を準備して、試験場で適性検査だけだって」
暗い顔をしたのは「でも、五千三百円かかるって」と言った時だけ。
その明るさとあまりの立ち直りの速さに絶望するとともに、失効の事実にコスム本人より早く気づき、本人寝ているのに対策を調べ、市役所に更新に必要な書類を取りに行くのもお昼に連れて行き、試験場にも車で送迎しようとしている母親の私、コスムの自立のチャンスをことごとく奪っていると心苦しくなります。
しかたない、事態がもっと深刻化して「免許取り直しだから」と何十万請求されたら嫌だから、自分のために傷の浅いうちに済ませようとしているだけと思うことにします。
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