うそを重ねる
見よう見まねでうそばなしをしたてあげる。うそはほんとにむずかしい。
おはなしはどれもうそなのだけれど、 読み手がだまされたくなるようなうそなんて、 そうそうつけるもんじゃないのだと感じ入る。
大うそつくには度胸がいる。 記憶力もいる。うそのつじつま合わせに汲々とする。
それでもなんだかうそは愉快だ。うそをついてはなりませんといわれて育った自分が、いいのかしら、なんて思いながら、山ほどのうそのエピソードを積み上げる。
うまくいってもいかなくても、なんにもない地平にひょこんとひとが現れて、すっくと立って歩き出す。
誰かに出会って言葉をかわして、うなずいたり首傾げたり、どきどきしたりわくわくしたりして、なんにもなかった地平に深い足跡を残していく。
ひょこんと現れたひとが、けっこういいやつで
実にあいすべきやつで、どこかで出会ったひとのようでもあり、まだ見ぬひとのようでもあり 思いもかけない台詞を言ったりする。
そのどれもが自分の思いがこしらえあげたものなのに、なんだかその世界が独立して動いているみたいで、不思議な気分になる。
うそから生まれたひとにも、さまざまにいろあいの異なる人生を用意する。至難だなとおもいつつ、それぞれの人生に起伏を用意する。かみさまの仕事のまねっこをする。
ちっぽけなお話ひとつ。それでもそこには世界があり、人生がある。
ほんとはうそなんだけどね。
いいなと思ったら応援しよう!
読んでくださってありがとうございます😊
また読んでいただければ、幸いです❣️