京都のおばあさんたち
その家は古い酒屋さんで、
その屋根には絵馬のような
色褪せた木製の看板があがっていた。
近寄ってみると
アサヒビールと読めた。
良き時代の春には大勢の花見客が
その店を訪れたにちがいない。
花街にも配達に行ってたかもしれない。
そんな店の前で通りかかった老女と
この家のお内儀らしきひとが
親しげに談笑している。
笑いながら自分の足が衰え
天神さんの参道を歩くだけで
動けなくなってしまった、と話す老女に
そこへ行くだけでもえらい!と
お内儀は手を取って褒める。
自分は行きたいと思っても
なかなか行けないのだという。
年齢を重ねていくこと
新しかったものが古びていくこと
止められない時間のなかで
そうであることを受け止めながら
やれやれと言いながら
ちょっと自分を突き放して笑ってしまう
アンティークとレトロに囲まれた
京都のおばあさんたちの日々は
そんなふうに明け暮れる
のかもしれない。
読んでくださってありがとうございます😊 また読んでいただければ、幸いです❣️