横顔のあなた　8 文章を書くこと

こんな呟きを聞きました。

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文章を書くことは
トンネルを掘ることと似ているのかもしれない。

横に掘って行けばひととつながっていく。
縦に掘っていくと深いところの自分に出会う。

縦に掘っていくひとはなんとなく特徴的で、
それぞれが胸のあたりに空洞を抱えているような気がする。

もらいそこねた愛情だったり、
受け取れなかった言葉だったり、
通わなかった思いのようなものが、
その空洞を作ったのかもしれない。
そして
その空洞を埋めるものを探しに、
ひとは文章を書くのかもしれない。

ものがたりは
複雑な生い立ちだったり、
肉親に恵まれないこどもの宿木でもある。
そして、彼らはそこで言葉の力を知る。

縦に掘り続けて出会うのは幼い自分かもしれない。
言葉の力を借りてその子を抱きしめるのだ。

身のうちに異物があると人体はそこから膿みはじめる。
不幸な幼子を抱えているひとは苦しくてならない。
だからのたうちながら言葉を繋ぐのだろう。