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侘び寂びスニーカー
落柿舎は「元禄の俳人向井去来の遺跡である」と説明書きがあった。
本庵というのは2帖の間が3つ、3帖と四帖半がひとつずつで 縁側もあり、なんだか歴史博物館に行ったような気分で なるほどー、侘びているわーと感心して見学した。
その左手を進んでいくと次庵というのがある。 そこも本庵に似たつくりに見えたが、 一部ガラスの部分もあってちょっと中が見えた。
と、そこでは長机をはさんで 向かいあって正座している中高年のかたがたがいた。
へえー、ここはまだ現役で使われているのかと驚き、 失礼かと思ったが、しげしげと眺めてさせてもらった。
庵の中のかたがたは真剣なまなざしで資料を見つめ、顔を上げてはうなづいていた。
ああ、なるほど、去来ゆかりの庵で、みなさん句会をなさっているのだなと納得した。
と、その出入り口を見ると黒い婦人もののスニーカーが脱いであった。履き慣れた靴のように見えた。
スニーカー⁉︎
句会というものに出たことがないので 茶会と混同してるのかもしれないが 、こういうところでは、なんとなく粋なひとが着物とか着て、わびさび言いながら 、短冊にさらさらと筆書きしたりするのかなと思っていたのだ。
そこへ黒いスニーカーである。
その靴をじっと見ていると、なんだかいろんなことが思い浮かんできた。
それはなんだか元気に野山を歩き回ってひとの靴のようで リュックや日よけ帽が似合うひとの靴のようにも見えた。
朝早く起きてお弁当作ってリュックにつめて、さあ今日は散策よと地図をひろげて計画立てて、計画通りに一日中歩き続ける元気印のご婦人が、やっぱり靴はこれにかぎるわ、なんて言ってる声まで聞こえてきそうな気がしてきた。
落柿舎にそれがある。つまりわびさびと元気印のコラボレーションである。うまくいえないけど、なんか変な感じがした。
戸惑いながらもう一度ここの笠と蓑を見直すとそうかあ、なるほど健脚であることは、俳人に求められる基礎能力なのかもしれないと思えてきた。
芭蕉さんはこの落柿舎に3回きているのだと説明がある。てくてくてくてくてくてく。いろんなもの見ていろんなもの感じて俳句ができるんだなあ。だから黒いスニーカーなんだなあ。 よくわかんないけど・・・。
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それはコロナが蔓延するずっと前のこと。
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