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雲の太陽

暑すぎる夏が過ぎ、
短い秋から冬へと季節がめぐる。

猛烈な暑さに一日をやり過ごすことで
精いっぱいだった日々から
一息つけるようになったと実感する頃になると

そぞろ人恋しくなり
だれそれの消息が気になり始める。

連絡を取ってみると
大事なひとたちに大きな黒い雲がかかっていて、
ひとり、唇を噛んでいる。

そんなことがあってたまるか、と想い
天を睨みつけてみても現実は変わらない。
いつだってそうだった。

起こってしまったことは巻き戻らない。
どう受け止めるか、しかないのだが
受けとめようがないことだってある。
自分の力ではどうしようもないことも。

生きていく道は
いつだって初めてのことばかりだけど
その先の時間に巡るひとの季節では
衰えていく機能に不安を覚えているさなかに
これでもか、と難事がやってくる。

年齢を重ねたからといって
心が頑丈になることはないと感じる。
年若い頃以上に切なさは募る。
自分の残り時間を計れば、なおさら。


一日の重ねでここまで来た。
これからも一日を重ねていくしかない。

一足飛びの解決法なんてない、と経験が教える。
そう知っているから、余計にしんどい。


励ます言葉の引き出しを開けてみるが
若い日の言葉では、どれもふさわしくない、
と思えてくる。鼻白んでしまう。
言葉なんて
なんの力もない、と思えてくる。

ただ、
どんな道でも、添って歩けるよ、
とは言える。

どんな話でも聴くよ。
どんな球でも受けてみせるよ。

で、関係なくても、バカみたいでも
くすっと笑ってしまうような面白いこと、
わたし、きっと、言えるよ。
そう、わたしは、雲間の太陽だよ。

 
ひとの冬には
仲良きひととおしくらまんじゅうしよう。
押されて泣いたっていいよな。
泣きながらあったまっていこうね。

*****

それからまた歳を重ねているが、難事は尽きない。日々の大切さをますます思う。

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bunbukuro(ぶんぶくろ)
読んでくださってありがとうございます😊 また読んでいただければ、幸いです❣️