酒と肉
酒や肉を多く取り、肥満したものは、生涯にわたって出世栄達がない。食を慎まなければ、晩年は凶である
酒肉を多く食するものは肥えているように見えるけれども、実は肥えているのではない。酒肉で血の量が増し、精神が弛緩するので肥えたように見えるのである。肉を大食する欧米では日本人の5から7倍もの精神異常者がいる。人間は、精神を基本とする存在である。その精神が骨髄にあるものが、それが緩むことがないから、肉体もおのずから健全となり、出世栄達がある。精神が弛緩していて、出世栄達したものはいない。
酒肉は食さなくても美食を大食するものは摂取したものが濁った肉となり、出生栄達しない。大食をして満腹した後は気分が重くなり眠気がさす。しかも目覚めた後も体がだるく頭が重い。これらは皆過食によって心気が緩み、総身の肉が締まらなくなるからである。よって、身の程以上の大食を成すものは、生涯にわたって特筆すべきことを成し得ない。
*水野南北
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