漫才 「M-1敗者復活戦」
「お恥ずかしいんですけれど、私M-1敗者復活戦って好きなんですよ」
「恥ずべきことじゃないですよ。お笑い好きな人はみんな毎年楽しみにしていますからね」
「いやわかってないわあなた。」
「え?間違ってないと思うけどね」
「私は性的な目で見てるのよ」
「性的な目で見てるの?M-1敗者復活戦を?」
「そう。私ってクソやばなのよ」
「クソやばって自覚あってちょっと安心したわ。因みにどういうところが好きなの?」
「顔と胸」
「すごい。血気盛んだね」
「もう有り余ってるからさ」
「まぁそれは冗談としてさ。なんでM-1敗者復活戦にそんな想いを抱くようになったの?だってあなたは人間、相手は大会でしょ」
「そう。これは叶わぬ恋、悲恋なのよ。」
「おお、哀愁漂うねー」
「M-1敗者復活戦、あ、ごめんM-1敗者復活戦のことMって呼んでいい?」
「私あゆ好きだからいいよ」
「まずMのことが気になり出したのは2018年なんだけど不意にテレビつけたとき、Mが映ってて。あんなに寒そうなのに熱が凄かったんだよね」
「芸人さんたちの熱はやっぱりテレビの前でも伝わってきますからね」
「もうそれがすごい色っぽくて」
「あ、あなたはM自身があの熱を出してると思ってたんだ」
「いや過去形にしないで。ずっとそう信じてるから」
「すごい想い。」
「で、ずっとMを観てたら色んな面を見せてくれて。主に正面のセンターマイクとMのツーショットなんだけど5分に1回くらい出てくる『next is…』とMとか」
「芸人さんの情報が出てくるやつね」
「あとCM前後の陣内とMとか」
「面って結構物理的な面なのね。あと『〜とM』って気になるなー」
「私はMのこと限りなく人に近い大会だと思ってるからさ」
「もはやMが無機物という意識すら薄れかけているんだ」
「そうやってMが色んなものや人とのツーショット見せてくるから私は嫉妬しちゃうのよ。遊ばれてる感じ?」
「小悪魔的な?」
「そうそう。それがもう堪らんのですよ。CMが長いから焦らしてくる感じとかもいいよね」
「Mを全身で楽しんでるなー」
「でも一つこれはどうなんだろうって部分もあって。ネタ中にサイレンが聞こえたりするでしょ?ちょっと色んな奴と遊びすぎなんじゃないかなーとも思うんだよね」
「あ、Mって結構普段パリピとつるんでる感じなんだ」
「まぁ大井競馬場っていう言葉の荒い地域の生まれで地元にもツレがいっぱいいるって話だし?」
「言葉の荒さでいったら内陸にある三陸だからね、大井競馬場は」
「今は六本木に出てきて金もあるみたいでクラブ仲間も出来たみたいだし?」
「コミュニティのガラ全部悪いねーM。」
「遊ぶ分にはいいんだけど、ああいう芸人さんを戸惑わせるような奴とは正面仲良くしてほしくないなと思うね」
「遊ぶ分にはいいんだ」
「まあ、私も遊ばれたいからね」
「盲目だなー!恋してるわこの子!」
「でもやっぱりたまに虚しくなるんだよね。私はMのことをこんなに思ってるのにMは私のことを知ってすらいないんだもん」
「元気出しなよ…」
「こんなに性的に好きなのに…」
「なんか一気に下品になるんだよなぁそれ」
「Mに振り向いてもらいたい…そうだ!漫才を頑張ってMに会いに行けばいいんだ!そうすれば私もMとツーショも叶うし!頑張ろ!ね!」
「うーん…」
「どうしたの?」
「なんか複雑なんだよなぁ」
「もしかしてあなたも好きとか…?」
「敗者復活なんだよなぁー…!共に漫才を志す相方が決勝ストレートじゃなくて敗者復活に行きたがってるの複雑なんだよなぁ!」
「いやでもMと会うからには面白いネタ見せたいから結果的には決勝狙うことになるよ?」
「本当の猛者じゃん。では恋する乙女の志、一応高いようなので一旦やめさせていただきます」