手紙でつながる楽しさ
やっとの思い 選び抜く 年賀状傑作選 (3)
郵便局やポストへのお遣いは、結構多かったよね。とっても筆豆だったので。
2階から降りてくると、玄関ホールの小さなテーブルの上に、はがきや手紙が置いてあって、「出しておいてください」とのメッセージ。
書生の頃は、ポストに寄ってからよく出勤してました。
院生の頃、夏休み中、研究の進捗報告が滞っていると、先生から「研究室へ来るように」との呼び出しがあるのですが、それが葉書。
メールがなかった時代ではあるものの、先生からの呼び出しが、電話ではなく手紙やはがきでやってくるのは何とも重々しく、申し訳なさ満載で、行き詰まった資料やレポートを持って、研究室へ出向いていました。
でも、考えてみると、のんびりした時代。
はがきでは、今すぐ、ということはできないのですから、そろそろかなぁ、と気にして下さるってお手紙を下さっていたのだろうなぁ、と。しかも、研究室へ行ったのに先生はご不在、なんていうこともあって。
手紙の方が、相手にゆったりした時間や自由を与えている、相手に委ねるところが大きいかもしれないし、確実性がない暮らしって、驚きがあって案外楽しい。
一方、私は、切手を集めるのが好きだったので、先生に用事がある時や、お返事を出す時には、季節に合わせたり、内容に合わせたり、その都度切手を選んで出していました。すると、先生から返ってくる切手はもっとすごい!何だか張り合ってるみたい!笑と、面白くなったこともありました。時に古〜いのが貼られていたり、最新の、これ私も欲しかったんだ〜というのもあったり。先生との手紙のやりとりは、中身だけでなく、切手で時に驚かせ、時に張り合う。これも楽しみでした。
先生が亡くなられてからは、お手紙のやり取りをする人も少なくなってしまって、切手を使うこともうんと減っちゃったなぁ。
そして、先生、実は電話が大の苦手。(本人談) 相手の状況も分からず、突然かかってくるのが苦手。だからこそ、かけるのも躊躇う、とのこと。
とはいえ、電話が必要な時もあります。
私もやむなく電話をすると「やぁ、はいはい、はい、はいはい、はいはい、はい。じゃあ。」とほとんどこちらが喋って終わります。これは私に限らず、かかってくる電話にもそうでした。要件があるからかけるので当然と言えば当然なのですが。
でも、晩年はそうでもなかったかも。
懐かしい人からかかってくると、近況を楽しそうに話されることもあって、先生も変わったなぁと思いながらお電話してました。
でも、やっぱり長電話などということはなかったなぁ。