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緞帳つき!? 茶の間のテレビの不思議
掘り炬燵 皆で車座 楽しい時間 (7)
そうそう8代目の書生は男性でした。
テレビがちょうど地上デジタル放送へ切り替わりの頃だったこともあり、アンテナ取り替えや手続きなども助けてくれたと、喜んでおられましたのを思い出します。
先生は、家事はおおむねマメに(掃除以外)なさっておられましたが、80歳目前の先生にとっては、男性の書生というのも案外助けになっていたのかも。
ところで、そのテレビ。
茶の間にあったけれど、先生はほとんどご覧になりません。それも驚きでしたが、
なんと、ペルシャ絨毯みたいな覆いがかけられていたんです!
茶の間の片隅に、テレビというより、こんなふうな家具がおかれているようにすら見えます。そして、テレビを見る時はこの分厚い布をおもむろに上げてみるので、正直、テレビっ子世代としては、何だかとっても不思議だけど、面白い光景で、さながら、緞帳のある小さな劇場のように感じていました。笑
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先生が見るのは、相撲、ゴルフ、サッカー、オリンピックなどの観戦のみ。
特に大相撲はお好きで、NHKの生中継はもちろん、夜のダイジェストもチェック。昨日の大相撲初場所の千秋楽のような、巴戦による優勝決定戦ともなれば、絶対に盛り上がっておられたに違いありません。
ちなみに、先生とお相撲を見る時は、先生の解説付き。
小兵力士が大好きで、大きなお相撲さんと組む時などは断然、力が入っています。
おもしろいのは、この解説、力の流れの視点で解説をされるのです。つまり力学。あくまでも先生は建築がお好きなのだなぁ、どこまでも建築につなげるのだなぁ、などと感心し、私も、まるで授業のような解説を楽しみにしていたものです。
もちろん国技館に足を運ばれていました。たまたま私が仕事先から大相撲の招待を頂いて観戦に出かけた日、テレビをご覧になりながら、私を探していたらしく…。
「いやぁ、今日の大相撲は、相撲だけじゃなくて観客席まで見てたから、忙しくて大変でしたよ。こんな相撲は初めてです!」と大笑いしました。
皆さんの家にあるテレビ、どこに置かれていますか?
だいたいリビングにあって、家族の一員のように配置されていますよね。
あるいは、もう、家族でテレビなんてみない、家族が集まることもあんまりない、という方もおられるかもしれませんね。
先生のお宅の場合は、テレビは必要な時だけご開帳する家具。笑
見る時だけテレビが見えるよう座り、見終わると幕を下ろして存在感がなくなる。
最初はとっても不思議でした。でも、最近、テレビをあまり見なくなってみると、だから、あの家は時間がゆったり流れているように感じていたのかなと思います。
それと、茶の間は、掘り炬燵に集まる人が、輪っかになって完結していた感じ。
茶の間は「家族が集まる」というより「自然に一体感をつくり出す空間」と考えてみると、お茶の間も、この不思議な緞帳付きのテレビの存在も、おもしろい!
このお茶の間での先生とのひとときは、テレビが登場し、お茶の間が変わっていくそんな昭和の過渡期を体験できたような気が、今はしています。