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大晦日の新大塚

新大塚界隈のこと

私たちが書生として暮らした鈴木成文邸、現在の鈴木信太郎記念館があるのは、東京都豊島区、東京メトロ丸の内線・新大塚駅近く。
丸の内線は、銀座線に次いで古い丸の内線は、車両数が少ない分、乗り過ごしてもすぐに来てくれるのがいいんですよ、というのが、先生の口ぐせ。今でも丸の内線に乗るとどこかほっとして、新大塚駅で降りたくなってしまいます。

大塚は細い路地の多いまち。新大塚駅から家に帰る時、必ず通っていたのは、新大塚プラザというビルの中の通路。まさに現代路地。
長く住んでおられた先生には、馴染みの店があり、新大塚プラザの中の、割烹料理屋さんを筆頭に、花屋さん、メガネ屋さんや、コーヒー豆を買う喫茶店、春日通り向かいの薬局、今はなきスーパージャンボ、必ずシュークリームを買うケーキ屋さんなどなど。
特に、割烹料理「ごとう」さんは、私たちが「里帰り」すると、あるいは、とても珍しい人が来訪すると、ここで食事を頂いていましたが、先生は毎年、おせちを頼んでおられました。
花屋さんは、暮らしの中の行事にはなくてはならない存在。暮れになると根引松を購入し、門に飾ります。玄関などにはしめ縄を。
門松はしっていても、根引松をしつらえる風習を知らなかった私は、初めはよくわかりませんでした。三ヶ日の後は新年互礼会のある神戸へ行かれるのですが、必ず「松の内がすんだら、外してくださいね。」と言って出かけられました。
今日は大晦日。暮れになると、夕方、地域の子どもたちが拍子木を叩いてまわる「火の用心」の声が路地に響きます。
これが、25年前の新大塚の景色。
どうぞ、よいお年をお迎えください。(NAN)


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