FIREした女
55歳で銀行を早期退職した。正直言うとリストラだけど2年前からFIREを考えていたのでそれほど落ち込んでない。友達から「長いことお仕事お疲れ様でした」と労いの言葉をもらった。
夫はというと「退職金少なくね」と少しがっかりしていた。夫の退職金ではなく私の退職金だ。金額はここでは書けないが、たしかに期待したより少なかった。銀行は本当にケチくさい。就職にはお勧めできない。
配偶者のいる女性が早期退職してもFIREと言えないかもしれないけれども、自分ではFIREだと思っている。FIREできるだけの資産は積み上げてきた。私が将来もらえるはずの年金は心持たないが老後の足しにはなるだろう。
7月5日が最後の日だった。リモートワークなのであまり退職する日の感覚はなかった。
7月中は、事務処理や机周りの片付けやもろもろのことで多忙だった。
8月になってやっと暇になってきた。
仕事辞めてよかったと思えることは、まずストレスや時間に追われることがなくなった。仕事を辞める前は、無職なんて世間に顔向けできないと思っていたが、ただの思い込みだった。私の貴重な時間をお金という対価で会社に売っていた。ストレス感じてイライラしたり、夕食後も会社であった嫌なこと思い出してムカついたりしていた。
今の私のポジションは無職なのか専業主婦なのかわからないがすこぶる快適だ。家事やDIYして、好きな時に趣味をして、時間をかけて好きなものを作って食べる。夜間、不安感じて起きることもなくなって爆睡できるようになった。
60くらいまで働いてもいいかなと思ったこともあったけど、このまま会社に搾取され続けるのも虚しいと感じ始めていた。融資部門だったのでお客様も搾取していたかもしれない。金融の世界で働いていたのでお金の大切さは身をもって知っているが、お金に執着しすぎるのはやめたほうがいい。お金の世界はもううんざりなのだ。
不要品を売ったり、資産運用の調査など金融活動は続けているが、たぶんもうフルタイムでは働かないと思う。
今の時点では、FIREできてよかったと思う反面、少し寂しい。金融の世界で働いてきたけど本当にやりたかった仕事だったのだろうか。別にやりがいも何もなく、言われたことだけやっていた毎日。なんで銀行員なんてやり続けてたんだろう。
完全に無駄ということはなかったが、やりたくもない仕事に人生の大半をささげてしまい後悔している。