マスクを使った慣用表現
おもしろいツイートをみつけた。
「マスク」を使った慣用表現かぁー。
「お茶する」「ググる」といった動詞の場合も,ある意味,慣用表現的。
「珈琲しかメニューにないけど,あの喫茶店でお茶しよ!」
「まずはヤフーでもなんでもいいからググれよ!」
といった表現が成り立つように,かならずしも「お茶」でない,「Google」でない場合にも使える。
「お茶」「ググ(Google)」から動作内容がメトニミー的に解釈され,比喩的転義が起こる。
矢野氏の
「裸にマスク」
意味1「大切なことが抜けている」
意味2「ある病気の予防を徹底したら、別の病気にかかる」
なるほど。「マスク」はカタカナだけになかなかインパクトがある。
数十年後には慣用句の一覧に載っていてもおかしくない。
矢野氏のツイートで「皆さん、何か思いつきますか?」と投げかけられたので,考えてみた。
「赤子にマスク」
意味:価値あるものでもどんな人にも必ずしも役立つ物になるとは限らないことのたとえ。
以前,出産したばかりの女性が,産婦人科で赤ちゃんにマスクをさせるよう指示されたというツイートがあったのを思い出して。
矢野氏からコメントを頂戴した。
他にも,
などなど。どれも秀逸。
この遊びなかなか面白い。国語の授業でも使えそう。
そもそも慣用表現ってなんだろう?と思い,手元の辞典をみてみた。
【慣用句】の欄には,
複数の語が慣用的に組み合わされて語彙化した表現で,語の結合全体が1つの語彙項目となっているもの。(p.42)
とある。また,慣用句は「固定連語的慣用句」と「比喩的慣用句」に分類されるそうで,「比喩的慣用句」の方が,この場合には当てはまる。
【比喩的慣用句】
連語全体で(比喩を典型とした)転義があるものは比喩的慣用句と呼ばれ,意味は不透明である。……固定連語に対して,比喩的慣用句は全体での転義がある。たとえば座り方を表す「あぐらをかく」は固定連語的慣用句であるが,「今の地位にあぐらをかく」のような用法になれば,ニ格を取って「よい地位・立場に安住して努力しない」という別の意味になる点で比喩的慣用句である。(p.42,強調は引用者)
一口に慣用句(慣用表現)といっても,
「原義」をどう考えるかによって慣用句かどうかの認定にも連続性がある。(p.42,強調は引用者)
とのこと。
そもそも,
●「全体での転義がある比喩的慣用句」は生産的なのか?
● 新しく出来た「全体での転義がある比喩的慣用句」はあるか?
●「マスク」のような外来語は比喩的慣用句になりにくいか?
今後考えてみたい。
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