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”Browser Use:AIによるブラウザ操作“ Yコンレポート by DeepResearch
こんにちは!bumbuboonです。普段はAIに興味を持って、いろいろ調べたり作ったりしている大学生です。今回の記事では、YコンW25に採択された企業「Browser Use」について、DeepResearchでがっつり調べてみました。Browser Use はその名の通りLLM(LMM)によるコンピュータの操作で注目されている企業。コンピューターの操作本当にできるの??とか興味がある方には読んでみる価値ありかも。
ほかにもYコンに採択された企業について調べた記事があるので、気になる方はぜひそちらもチェックしてみてください。
※有料記事ですが最後まで無料で読めます。参考になったよーって方はお布施お願いします。
1. 市場規模と成長予測
ブラウザ自動化やRPA、AIアシスタントといったターゲット市場はいずれも急成長が見込まれます。RPA市場は世界的に数十億ドル規模で、2024年に約37.9億ドルと推定され、2025年から2030年に年平均約43.9%で拡大すると予測されています (Robotic Process Automation Market | Industry Report, 2030)。日本に限っても、2024年に7億ドル強だったRPA市場規模が2033年には50億ドル超に達し、年平均成長率24.0%で拡大すると見込まれています (Japan Robotic Process Automation Market Report 2025-33)。一方、AIアシスタント市場(インテリジェント仮想アシスタント含む)も拡大が著しく、2024年に約142.5億ドル規模から2031年には870億ドル以上へ達し、年平均成長率は28%に上る予測が出ています (Intelligent Virtual Assistant Market Size, Share, Trends & Forecast)。ブラウザ自動化はこれらの一部として位置づけられ、特にRPAの一要素(Web操作の自動化)や、汎用的なWebエージェント市場として期待されます。
B2BとB2Cで見るとニーズには違いがあります。B2Bでは業務効率化や人件費削減など明確なROI(投資対効果)を求めてRPA/自動化ツールを導入するケースが多く、信頼性・セキュリティや既存システムとの統合が重視されます。一方、B2C(個人ユーザ)では日常の煩雑なWeb操作を自動化したいという潜在ニーズがあるものの、実際の導入はこれからです。個人向けでは使い勝手の良さや手頃な価格が重要で、AIアシスタント的な「便利さ」に対してどれだけ支払うかがポイントになります。現在はChatGPTなど対話型AIが個人にも普及し始めましたが、ブラウザ操作まで含むAIエージェントは黎明期であり、一部のテック愛好者が試している段階です。将来的には「誰もが一人一台のWeb操作代行AIを持つ」ような世界も想定でき、市場ポテンシャルは大きいと言えます。
また、日本市場と世界市場を比較すると、日本はDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の流れもありつつ市場規模は現状小さめですが今後拡大余地があります。前述の通り日本のRPA市場は数百億円規模ですが、高成長が続く見通しです (Japan Robotic Process Automation Market Report 2025-33)。日本企業はこれまで手作業や紙文化が根強く、欧米に比べ自動化導入が遅れていた面があります。しかし近年は人手不足や働き方改革の圧力から、自動化・AI活用への関心が急速に高まっています。世界市場では米国や中国を中心に大企業から中小企業まで幅広くRPAやAIアシスタントが導入されつつあり、日本もそれに追随する形です。
市場成長を促進する要因として、以下が挙げられます:
DX推進・業務効率化ニーズ:企業が業務プロセスのデジタル化を急いでおり、反復作業を自動化する需要が高まっています。コスト削減や人為ミス削減につながるため、RPA導入が経営課題の一つになっています (Robotic Process Automation Market | Industry Report, 2030)。
AI技術の進化と導入加速:GPTのような高度なLLMが登場し、以前は難しかった柔軟な自動化が可能になりました。AIアシスタントの性能向上により、新たなユースケースが開拓されています。
労働力不足の深刻化:特に日本では少子高齢化による人手不足が深刻で、自動化による省力化が必要とされています (Japan Robotic Process Automation Market Report 2025-33)。単純作業をロボットやAIに任せ、人間は付加価値の高い業務に集中する動きが出ています。
コスト削減圧力:景気変動や競争激化で企業はコスト削減を迫られており、自動化によって人件費や時間を節約しようとしています。
一方で市場成長の阻害要因も存在します:
法規制・コンプライアンスの問題:データ収集や自動操作に関する法的リスクです。例えばWebスクレイピングそのものは違法ではないものの、取得方法や利用方法によっては著作権や個人情報保護法に抵触する可能性があります (Webスクレイピングは違法ですか?人によって異なる解釈 - JA)。こうした法規制の不透明さが、自動化導入の慎重姿勢につながる場合があります。
競争激化:市場の魅力から大手企業からスタートアップまで多数のプレイヤーが参入し、ツール乱立状態になりつつあります。後述するようにOpenAIやMicrosoftなど巨頭も類似技術に投資しており、新規参入のハードルや価格競争の激化が懸念されます。
技術進化のリスク:現在有利な技術が急速に陳腐化する可能性です。AI分野の進歩は速く、より優れた手法や標準が登場すると既存製品が置き換えられるリスクがあります。また、Web側の環境変化(例:サイト側でのボット対策強化や仕様変更)によりブラウザ自動化手法が通用しなくなるリスクもあります。
組織の抵抗感:特に企業内では従業員が自動化に対して抵抗を示すケースや、既存業務を見直す手間が障壁になる場合があります(新技術への心理的ハードル)。
これらを踏まえ、市場全体としては今後3〜5年で年率30%以上の成長が期待できるものの (Robotic Process Automation Market | Industry Report, 2030) (Intelligent Virtual Assistant Market Size, Share, Trends & Forecast)、上記阻害要因への対処が各プレイヤーに求められるでしょう。
2. 競争優位性・差別化ポイント
「Browser Use」は、上述のような市場で戦う上で明確な競争優位性を持つことを目指しています。まず技術面では、ブラウザ操作AIに必要な高度な機能を備えている点が強みです。例えば自動Captcha回避やログインセッション管理など、人間が介在しがちな難所もエージェントが乗り越えられるよう設計されています。実運用上、ログインページや二段階認証、Captchaによるボット検知は従来のRPAでは大きな障壁でしたが、Browser Useは外部サービス連携や画像認識によりこれらを可能な限り自動処理し、途中で止まらないシナリオ実行を志向しています(※現状どの程度まで可能かは技術的検証が必要)。またLLM(大規模言語モデル)との統合により、単なる定型操作だけでなく柔軟な判断やユーザの曖昧な指示にも対応できる点が差別化ポイントです。ユーザは自然言語で「◯◯して」と指示すれば、AIがWeb上で検索・クリック・入力といった一連の操作を自律的に遂行します。実際、Browser Useは最新のベンチマーク(Web Voyagerデータセット)で89%の達成率を記録しており、利用可能なWebエージェントとしては最高水準の性能を持っています (Browser Use: Open Source Web Agents | Y Combinator)。GitHub上でも2025年1月に最も急成長したリポジトリになるなど、技術的先進性とコミュニティの支持を得ています (Browser Use: Open Source Web Agents | Y Combinator)。
次にオープンソース戦略による優位性があります。Browser UseはMITライセンスでソースコードを公開しており、誰でも無料で利用・拡張できます (Browser Use - Enable AI to control your browser) (Browser Use - Enable AI to control your browser)。この拡張性の高さにより、開発者コミュニティによるプラグインやカスタム機能の追加が促進されています。実際にユーザ独自のアクション(ファイル保存や独自DB連携、人間からの追加入力要求など)をプラグイン的に組み込めるカスタムアクション機能を備えており、用途に応じた拡張が容易です (Browser Use - Enable AI to control your browser) (Browser Use - Enable AI to control your browser)。コミュニティの支援も活発で、Discord上での情報共有やOSS貢献が進んでいます。オープンソースで透明性が高いため信頼性も訴求しやすく、ソフトの挙動を企業が内部監査できる点もB2Bには魅力です。加えて、MITライセンス採用により商用利用やフォークにも制限がないため、企業内ツールへの組み込み検討にも心理的ハードルが低いでしょう。
さらに競合他社との比較でも、Browser Useはいくつか差別化された特徴があります。最大の競合と目されるOpenAI社の「Operator」と比べると、OperatorがOpenAIのサーバ上で動作しChatGPT Pro加入者向けに提供されているのに対し、Browser Useはオープンソースで誰でも利用可能という点が大きな違いです (I used the OpenAI Operator rival Browser Use and it's…)。実際、Operatorは現在米国の一部ユーザに限定されたプレビューであり(月額約200ドルのChatGPT Proプランで利用可能との報道) (I used the OpenAI Operator rival Browser Use and it's…)、クローズドなシステムです。一方のBrowser Useは自前でホストして使うこともでき、クラウド版も提供されています。機能面でも、Operatorがテキスト生成AIにウェブ操作を組み合わせた「CUA(Computer-Using Agent)」モデルであるのと同様に、Browser UseもGPT-4などのモデルを用いてブラウザ操作を行いますが、あらゆるLLMを選択可能な点(GPT-4に限らずClaudeやLlama2なども利用可)は柔軟性で勝ります (Browser Use - Enable AI to control your browser)。また、Operatorではユーザが操作を介入できない完全自動実行ですが、Browser Useはユーザがコードやプロンプトで細かな挙動をカスタムでき、OSSならではの調整自由度があります。Zapierなど他の自動化ツールとも比較すると、Zapierは数千ものサービスとの連携が容易にできる反面、APIが用意された定型操作が中心であり、任意のウェブサイト上の自由な操作は不得手です。その点Browser Useは人間と同じように画面を見てクリックや入力を行えるため、APIの無いサービスでも自動化できる強みがあります。UiPathをはじめとする既存RPA製品群と比べても、従来のRPAが事前に定義されたシナリオに従って動くのに対し、Browser UseはLLMの推論によって柔軟に振る舞える「半自律エージェント」の色彩が濃いです。企業向けRPAは高機能な分導入コストや設定の専門知識が必要でしたが、Browser Useはコード数行でエージェントを動かせる手軽さを売りにしており (Browser Use: Open Source Web Agents | Y Combinator)、技術者が素早くPoCを行える点で優れています。
価格設定も導入ハードルの低さにつながる差別化ポイントです。Browser Useはオープンソース版を無償提供しており、まず誰でも試せるようになっています。その上で、追加機能やサポートが付いた商用クラウドサービス「Proプラン」を月額30ドルで提供しており (Browser Use - Enable AI to control your browser)、企業チームでも手を出しやすい価格です。30ドル分のAPI利用クレジットが含まれているため、実質サービス利用料は低価格で、一定の範囲までは追加料金なしで使えます (Browser Use - Enable AI to control your browser)。これは、従来型RPA製品が企業向けに数百万円規模のライセンス料金を課金したり、Zapier等がビジネスプランで月数百ドル以上かかるケースと比べても圧倒的に安価です。価格面の敷居が低いため、小規模なスタートアップから個人開発者、あるいは大企業内の一部門の試験導入まで、幅広い層が採用に踏み切りやすいでしょう。B2Cに対しても、基本的にOSS版で無料利用可能なため趣味的・個人的な利用を促しやすく、将来的に有料プランへコンバージョンする母集団を形成できます。総じて、技術力(操作網羅性・LLM統合)、コミュニティ力(OSSによる拡張と支持)、価格競争力(低コスト導入)の3点で差別化を図っており、これがBrowser Useの競争優位性の核となっています。
3. ビジネスモデルと収益性
Browser Useはオープンソースプロジェクトでありつつ、収益化のためのいくつかのビジネスモデルを組み合わせています。
SaaS型サブスクリプション:公式のクラウド版「Browser Use Cloud」を提供し、月額課金で収益を得ています。具体的にはProプラン(月額30ドル)で優先サポートやAPI利用クレジット込みのサービスを販売しており、すでに有料ユーザが存在します (Browser Use - Enable AI to control your browser)。このサブスクモデルにより、安定した継続収入とユーザとの関係構築(アップセルの機会など)が可能です。またエンタープライズ向けにはカスタムプランを用意し、要望に応じた専用エージェント開発やオンプレミス導入にも対応しています (Browser Use - Enable AI to control your browser)。このエンタープライズプランは「$Yes/月」と表現されるように顧客ごとの見積もりとなっており、大口契約による収益を見込めます。
API利用料:Browser Useのクラウド版では、ユーザがエージェントを動かす際に背後でLLMのAPIを呼び出します。Proプランには月額料金に一定のAPI利用枠が含まれますが (Browser Use - Enable AI to control your browser)、それを超えると追加の従量課金が発生するモデルと推測されます。つまり、多くの処理を行うユーザほどOpenAI等のAPI利用料に応じて課金される構造です。このAPI課金は使用量に比例するため、ヘビーユースからの収益源となります。将来的には自社APIエンドポイントを公開し、開発者がBrowser Useの機能を直接呼び出せるようにして利用料を徴収する(例:1リクエストあたり◯◯ドル)ビジネスも考えられます。
エンタープライズプラン/オンプレミス:大企業向けには年間契約やオンプレ導入による収益化を図ります。金融機関等、クラウドサービス利用が難しい業界でも使えるように、ソース公開の利点を活かして社内サーバへのデプロイを支援します。その際のカスタマイズ開発費用やサポート費用としてコンサルティングフィーを得ることも可能です。実際、Enterpriseプランでは専属サポートチームやSLA保証、さらには要求に応じたカスタム機能実装サービスが含まれており (Browser Use - Enable AI to control your browser)、これらは高価格帯の受託収入となるでしょう。大口顧客一社ごとの契約額はサブスクとは比べ物にならない規模になり得るため、少数の契約でも事業を黒字化できる可能性があります。
コンサルティング/導入支援:上記エンタープライズ対応と重なりますが、OSS版を利用するユーザ企業に対して有償の技術支援やトレーニングを提供することもビジネスモデルの一つです。RPA分野では導入コンサルや運用代行で収益を上げるケースが多々あり、Browser Useでも専門知識を持つチームが使い方の指南やシナリオ構築の代行を行うサービスを展開できるでしょう。これは労働集約的ではありますが、高度なノウハウを要するため付加価値は高く、収益性も高いサービスとなり得ます。
オープンソースのメリットを保ちつつ収益化するために、OSSライセンスを維持したままの戦略にも工夫があります。Browser Useはコア機能をMITライセンスで開発者コミュニティに開放しています (Browser Use - Enable AI to control your browser)。これにより広くユーザを獲得し市場標準になり得る立場を築きつつ、上記のようなクラウド利便性やサポートでマネタイズする「オープンコアモデル」を採用しています。OSS版と商用版で機能差をつけすぎないようにしつつ(現在のところ主要機能はOSSで利用可能)、ホスティングの手間を省くサービスや大規模利用に耐える周辺機能で価値提供する戦略です。この方針により、コミュニティからの信頼を損なわずに収益を上げられます。またMITライセンスは商用利用を許すため一見リスクもありますが、その分事実上の標準として広まりやすい利点があります。実際に広く使われることで逆にユーザ囲い込みができ、ネットワーク効果で有料顧客も増えることが期待できます(例:無料ユーザが増えれば周辺ツールや知見も蓄積し、企業も安心して導入→サポート契約へ)。
収益性を考える上でコスト構造にも留意が必要です。主要なコスト要素は (1) インフラ維持費用(多数のブラウザインスタンスを動かすサーバ、クラウド費用)、 (2) プロキシ等ネットワーク費用(大量のウェブアクセスを安定して行うためのプロキシサーバやIPアドレス確保、通信コスト)、 (3) 外部API利用料(OpenAIのGPT-4などモデルAPIの利用料金。プロンプト容量や呼び出し回数に応じて課金される)、そして (4) 人件費(開発費用) です。特にLLMのAPI利用料は無視できず、高度なブラウザ操作を行おうとすると複数回のモデル呼び出しや長文プロンプトが必要になるため、単一タスクでもそれなりのコストが発生します。Browser UseではProプラン料金内にこれを含めていますが (Browser Use - Enable AI to control your browser)、利用状況によっては収支バランスに注意する必要があります。また、多数のユーザが同時にエージェントを動かすときにはブラウザインスタンスのスケーリングが課題になります。これを支えるため、クラウド上で自動でコンテナやヘッドレスブラウザを起動・破棄する仕組み、頻出サイトに対する事前ログイン済みブラウザのプール(プリウォーム)などを用意して効率化を図っているようです(開発者コメントではFirecrackerマイクロVMの活用も検討中とのこと) (Creator of Browser Use here. This looks super cool! How do you ...)。幸い、ブラウザ操作自体はリクエストごと水平展開(スケールアウト)が可能なため、需要に応じてサーバ台数を増やすことでスケーラビリティは確保できます。むしろボトルネックはAPIコストや各種レイテンシーになるため、将来的には自前の軽量モデルの組み込みや、より効率的な操作計画アルゴリズムの開発などでコスト低減と高速化を図ることが重要になります。
以上のように、Browser Useは「OSSコミュニティによる普及 → クラウドサービス等でマネタイズ → その収益を再投資してOSS強化」という循環モデルを描いており、現時点での収益化手段も具体化し始めています。収益性の確保にはユーザ基盤拡大が前提となりますが、市場の追い風もあり十分なユーザ獲得ができれば黒字化も射程圏内と言えます。
4. 日本市場での展望
日本市場においては、近年政府や企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)推進を掲げており、業務自動化へのニーズが高まっています。日本企業は長らく紙書類や判子文化などアナログ要素が残っていましたが、2020年代に入り急速にデジタル化への舵を切っています。特に新型コロナ禍を契機としたリモートワーク普及や働き方改革の流れで、定型業務の見直し・自動化が加速しました。IMARCの分析によれば、日本のRPA市場拡大を牽引する要因として「製造業を中心とした自動化需要の高まり」「深刻な高齢化による労働力不足」「企業のデジタル化意識の向上」「先進技術(AIや機械学習)との統合」が挙げられています (Japan Robotic Process Automation Market Report 2025-33)。これはBrowser UseのようなAIと連携した自動化ツールにとって追い風となる環境です。実際、多くの日本企業が業務プロセス改革の一環としてRPA導入を検討しており、既に大手企業ではUiPathやAutomation Anywhere等の実績もあります。Browser Useはそれら従来RPAでは難しかったWeb操作の柔軟性や、LLMによる判断力を備えているため、日本企業のDXニーズにマッチすれば採用が進む可能性があります。
もっとも、日本市場特有のローカライズ課題もあります。まず言語の問題として、ユーザインタフェースやドキュメントの日本語対応は必須でしょう。現状Browser Useの公式サイトやドキュメントは英語ベースであり、日本語話者の現場担当者にはハードルがあります。企業内で使う場合でも、日本語のエラーメッセージやログ、問い合わせ対応などが整っていないと不安を持たれがちです。このため、今後日本語UIの提供や日本語ドキュメント整備、コミュニティでの日本語サポート体制づくりが求められます。またサポート体制も重要です。日本企業はトラブル時のきめ細かなサポートを重視する傾向が強く、導入後の問い合わせに日本語で迅速に対応できる人員(例えば現地パートナーとの提携や日本法人の設立)があると望ましいでしょう。さらに、日本の商習慣として実績や他社導入例を重視するため、初期にはまずテック系企業や先進的な中小企業で成功事例を作り、それをもとに保守的な大企業に横展開していく戦略が考えられます。
Browser Use導入における技術的課題としては、日本のWebサービス固有の問題も挙げられます。例えば日本の銀行や官公庁サイトなどは独自仕様や厳重なセキュリティ(電子証明書やワンタイムパスワード等)を用いている場合があり、そうした環境でどこまで自動操作が可能か検証が必要です。また、日本のECサイトや求人サイトなどターゲットとなりそうなWebページも独自のUI/UXを持つものが多く、LLMが適切に操作できるようチューニングする余地もあります。幸いBrowser Useは各種サイトでの事例(デモ)をOSSコミュニティで集積しつつあるため、日本固有のサイトに関するノウハウも蓄積していけば強みになるでしょう。
法規制の面では、日本では明確に「ブラウザ自動化」を禁止する法律はありませんが、関連するいくつかの法律に注意する必要があります。例えば、Webスクレイピングに関しては「不正競争防止法」や「著作権法」、そして「個人情報保護法」の観点で問題が生じる可能性があります (Webスクレイピングは違法ですか?人によって異なる解釈 - JA)。公開されているWebデータを収集・利用すること自体は合法とされていますが、不特定多数のサイトに大量リクエストを送ってサーバ負荷をかけたり、利用規約で禁止された方法でデータを取得すると法的リスクがあります (Webスクレイピングは違法ですか?人によって異なる解釈 - JA)。特に個人情報(氏名や連絡先など)をユーザの同意なく収集・利用すれば個人情報保護法に抵触しますし、ログインが必要なサービスの内容を無断で収集すれば不正アクセス禁止法に問われる可能性もあります。Browser Useを企業で利用する際は、各社のコンプライアンス部門と協議し、用途に応じたガバナンスを効かせることが重要です。幸いBrowser Useはオンプレミスでも動作可能なので、社内データのみを扱う業務(例:社内システムのWebフロントを操作するようなケース)では大きな問題はないでしょう。一方、インターネット上のデータを扱う場合は、対象サイトの利用規約を確認しAPIが提供されているなら極力APIを使う、公序良俗に反する用途に使わないなどの配慮が求められます。
総じて、日本市場ではDX推進による追い風がある一方で、言語・サポートのローカライズ対応と法令遵守が鍵となります。これらの課題をクリアし、日本企業の信頼を得られれば、Browser Useは国内市場でも十分な普及余地があります。特に日本のSIerやコンサル企業と提携してソリューション提供する形が取れれば、大企業への導入も加速するでしょう。また、日本発のユーザコミュニティが形成されれば、自発的な情報共有やユーザ教育も進み、市場全体の成熟に貢献するものと思われます。
5. 競合や関連プレイヤーの動向
ブラウザ自動化・AIエージェント領域では多数の競合プレイヤーが存在し、日々動向が報じられています。主要な競合としてはOpenAI Operator、Zapier、UiPathなどが挙げられますが、それぞれ性質が異なります。
OpenAI Operator:2025年初頭にOpenAIが発表したブラウザ操作エージェントで、GPT-4ベースの「Computer-Using Agent (CUA)」モデルを用い、人間同様にWebをナビゲーションしてタスクを実行できます (OpenAI's Operator: The AI Agent Revolutionising How We Use the Web)。旅行予約や買い物、フォーム入力など幅広いタスクを自動化できる点が注目されており、ブラウザエージェント分野の本命とも言われます。現在は米国のChatGPT有料ユーザ向けにプレビュー提供されており、今後ChatGPT本体への組み込みやAPI提供も計画されています (OpenAI's Operator: The AI Agent Revolutionising How We Use the Web)。巨大モデルをバックエンドに持つ強みがありますが、クローズドな環境ゆえに柔軟なカスタマイズができない、複雑なインターフェースやテキスト編集など一部苦手分野も指摘されています (OpenAI's Operator: The AI Agent Revolutionising How We Use the Web)。OpenAIのブランド力と既存ユーザ基盤(ChatGPT数億ユーザ規模)があるため、一気に市場を席巻する可能性もありますが、その分プライバシーや企業データを預けるリスクを嫌ってオープンソース代替を求める動きもあります。
Zapier:ZapierはWebサービス間の連携自動化ツールとして老舗的存在です。プログラミング不要で何百ものアプリ(GoogleスプレッドシートやSlack等)をつなぎ、「トリガーとアクション」の形で自動処理(いわゆるZap)を作成できます。主に業務プロセスの自動化をノーコードで実現するB2B向けサービスで、個人事業主から大企業まで幅広く利用されています。Zapierの強みは豊富なコネクタと安定した実行基盤ですが、対応していないサービスや任意のWeb操作は対象外である点がBrowser Useとの違いです。例えば独自の社内Webシステムにログインして操作…といったケースではZapierは使えず、Browser Useのような汎用ブラウザ操作ツールが必要になります。またZapierは月額課金制でタスク数によって料金が上がり、複雑な多段ワークフローには上位プランが必要です。価格例として中小向けのプロフェッショナルプランで月約50ドル、より高度なチームプランでは月約300ドルともなり得ます。そうしたコスト面・柔軟性の面で、Browser Useは「何でもできる自動化」を安価に提供する差別化を図っています。
UiPath他RPA大手:UiPath、Automation Anywhere、Blue PrismといったRPAソフト大手は、企業のバックオフィス業務自動化を包括的に支援するプラットフォームを提供しています。これらはPC上での操作を録画再生したり、各種アプリケーションを横断してロボットが業務を実行する仕組みを備え、既に多くの企業で導入済みです。ブラウザ操作も機能の一部として可能ですが、シナリオは事前にフローチャート等で設計する必要があり、AIが自律的に判断するわけではありません(近年、一部製品ではChatGPT連携によるコード自動生成支援などが搭載され始めています)。Browser Useはそうした既存RPAに比べ、よりインテリジェントで柔軟である点を強調できます。しかし競合環境としては、RPA大手各社も当然ながら最新のAI技術を取り込みつつあり、自社プラットフォーム内で類似のブラウザ自動化エージェントを開発する可能性があります。例えばUiPathはAI Centerで機械学習モデル統合を進めており、将来的にブラウザエージェント機能を標準搭載することも考えられます。そのため、Browser Useは単体で競うだけでなく、RPA大手との協業(例えばBrowser UseをRPAのフロントエンド操作モジュールとして使ってもらう等)も視野に入れると良いでしょう。
その他のOSSプロジェクト:ブラウザ操作系のOSSも複数登場しています。たとえばAuto-GPTは汎用の自己完結型AIエージェントとしてGitHubで14万以上のスターを集め話題になりましたが、その中でもブラウザ操作は一機能に過ぎず、安定性の課題が指摘されています。Browser UseはそうしたOSSエージェントフレームワークとも補完関係にあり、実際LangChainなど主要なAIフレームワークとも統合可能です (Browser Use - Enable AI to control your browser)。またKuraやBrowserbase、c/sideといった新興プロジェクトも存在します。特にBrowserbaseは「AI搭載型ヘッドレスブラウザAPI」として2024年にシード資金650万ドルを調達しており、Kleiner Perkinsといった有力VCが出資しています (Browserbase Raises $6.5M in Seed Funding)。これはブラウザ自動化分野への期待の大きさを示すものであり、Browser Useにとっても競合であると同時に市場盛り上げの仲間とも言えるでしょう。国内では大きなOSSコミュニティはまだありませんが、有志による日本語ドキュメント作成やGitHub上でのスター獲得が進めば、日本発の派生プロジェクトなども出てくる可能性があります。
このように競合ひしめく中、Browser Useは差別化と連携の両面で戦略を練る必要があります。幸い、OpenAI Operatorに対しては「オープンソースで無料」という強力な差別化軸があり、Zapier等に対しては「どんなWeb操作でも可能」という技術優位性があります。またRPA大手とは敵対よりもむしろ自社技術を組み込んでもらう方向も模索できます。関連プレイヤーの動向として、今後考えられるのは提携・買収の動きです。大手テック企業やクラウド事業者が有望なOSSプロジェクトを取り込む例は過去にも多数あります(例:MicrosoftがOSSプロジェクトを取り入れてサービス化するケースなど)。Browser Use自身もY Combinatorから輩出されたスタートアップであり、将来的に大型の資金調達や戦略的提携があるかもしれません。たとえば、MicrosoftやGoogleが自社のAIプラットフォーム拡充のためにBrowser Useと提携する、あるいはRPAベンダーが買収して自社製品ラインに加える、といったシナリオも現実味があります。国内でも、例えば大手SIerがBrowser Useに注目し協業することでエンタープライズ市場を開拓するといった展開も期待できます。競合プレイヤーが増えること自体は市場の存在感を高めるプラス要因でもあり、Browser Useとしては常に技術とコミュニティで一歩先んじつつ、柔軟にエコシステムを構築していくことが重要です。
6. 投資家・VC観点で見るリスクと可能性
投資家の視点から見ると、Browser Use事業には高い成長可能性がある一方でいくつかのリスク要因も認識されます。
競争激化のリスク
前述のように、大手企業からスタートアップまで類似のソリューション開発にしのぎを削っています。OpenAIのOperatorはもとより、GoogleやAnthropicなども同様のAIエージェント技術に投資していると報じられます (OpenAI's Operator: The AI Agent Revolutionising How We Use the Web)。資金力・データ資源で勝る巨頭が本格参入すれば、シェアを奪われる可能性は否めません。また、既存RPA大手が対抗製品を出したり、あるいはChromeやWindowsといったプラットフォーム側が標準機能として簡易的なWeb自動化AIを実装する可能性もあります。競合増による価格競争も懸念で、現在はBrowser Useの優位性である低価格も、他社が無料プランを拡充すれば優位でなくなるかもしれません。この市場で勝ち抜くには、オープンソースコミュニティによる開発スピードとユーザ囲い込みで常に優位に立つことが求められ、油断できない状況です。
技術陳腐化のリスク
AI分野の変化は激しく、ブラウザを人間のように操作するというアプローチ自体が今後主流でなくなる可能性もあります。例えば将来的に多くのWebサービスが公式APIを提供し、人間が画面操作をしなくてもAI同士が裏側で直接やりとりする世界になれば、画面操作型のRPAは価値が下がるかもしれません。また、現状Browser Useは外部のLLM(GPT-4等)に依存していますが、もしこれらのモデル提供条件が不利になったり、逆に各社独自LLMを持ち始めると、プラットフォーム戦略を再考する必要が出てきます。オープンソースゆえに技術が流出しやすい点もリスクです。革新的な改良を加えてもすぐ他者に真似される可能性があり、継続的にハイペースで改良を続けないと差別化が維持できません。
法規制リスク
データの扱いや自動操作に関する法的リスクは、投資家にとって無視できません。例えば欧州ではAI規制法(AI Act)が策定中で、将来的に「高リスクAIシステム」への認証義務などが課される可能性があります。ブラウザ操作エージェントがどの範疇に入るか不明ですが、場合によっては法適合コストが増大するリスクがあります。また、各国でWebスクレイピングの合法性に関する判例や法律が変化する可能性もあります(米国ではLinkedIn訴訟で公的データのスクレイピングが合法と判断されましたが、状況は流動的)。日本でも個人情報保護委員会のガイドライン次第では自動収集への新たな規制が出るかもしれません。こうしたコンプライアンス面の不確実性は、事業計画に影響を与えるでしょう。
もっとも、これらリスクは認識しつつも、VCから見た事業の可能性(リターン)は非常に大きいと言えます。まず市場規模の点で、RPAや業務自動化の世界市場は今後数年で数兆円規模に達すると予想されます (Global robotic process automation market 2023 | Statista) (Global RPA market size 2032 | Statista)。もしBrowser Useがその一部でもシェアを取れれば巨額の収益が見込めます。また、AIブラウザエージェントという新分野でデファクトスタンダードになれれば、関連するプラットフォームビジネスやデータ事業などへの拡張も期待できます。例えばエージェントがユーザの操作ログや好みのデータを蓄積すれば、新たなAIサービス(パーソナルアシスタントの高度化など)につなげることもできます。さらに、オープンソースコミュニティを抱えている強みから、仮に直接収益化が苦戦しても他社への技術売却やライセンス提供といった選択肢も取りやすいです。実際、競合のBrowserbase社が一介のスタートアップながら著名VCから資金調達できたように (Browserbase Raises $6.5M in Seed Funding)、ブラウザ自動化AIは投資家から熱視線が注がれている領域です。優れた技術と勢いのあるチームがあるBrowser Useも、今後の資金調達や企業価値向上に大きな期待が持てます。
グローバル展開の可能性も重要なポイントです。Browser Useは初めからグローバル志向(英語圏での展開)であり、オープンソースで世界中の開発者を巻き込んでいるため、市場は国境に限定されません。コミュニティさえ拡大すれば、欧米はもちろん新興国の開発者にも利用され、事実上インターネット上の標準ツールになる可能性もあります。これは従来の企業向けソフトウェアにはないスピードでの国際展開を可能にします。ユーザ数が爆発的に増えれば、そのエコシステム上で課金する様々なビジネスも生まれるでしょう(例えばエージェント用スクリプトのマーケットプレイスなど)。最終的に**「AI時代のブラウザ=Browser Useプラットフォーム」**といったポジションを築ければ、リターンは計り知れません。
投資家・VC視点では、「高リスク高リターン」なプロジェクトと言えます。競合との競争に勝ち抜く戦略や、収益化までのロードマップの確実性を注視しつつも、うまく軌道に乗れば次世代のユニコーンになり得るポテンシャルを秘めています。特に、Y Combinator卒業スタートアップということでシリコンバレーのネットワークにもアクセスできる点、既にグローバルコミュニティを形成しつつある点はプラス材料です。今後の資金調達ラウンドで有力VCがつけば、一層事業拡大に弾みがつくでしょう。
7. 経営チーム・組織体制
Browser Useの経営チームは小規模ながら技術に精通した創業メンバーと、活発なOSSコミュニティによって構成されています。創業者(ファウンダー)の経歴を見ると、まずFounderのMagnus Müller氏は連続起業家かつAI研究者であり、ケンブリッジ大学の研究機関やスイス連邦工科大学チューリッヒ校(ETH Zurich)で研究に従事した経験を持ち、自身がコードを書き始めて以来ずっとボットやWebオートメーションの開発に携わってきたという生粋の開発者です (Browser Use: Open Source Web Agents | Y Combinator)。もう一人のFounderであるGregor Zunic氏はETH Zurichでデータサイエンスの修士号を取得し、物理学の学士号を持つという理論・分析両面に強いバックグラウンドの持ち主です (Browser Use: Open Source Web Agents | Y Combinator)。このように創業チームはAI技術とWeb自動化に深い知見を有しており、本プロジェクトを技術的にリードする十分な能力があります。加えて、Magnus氏は「今まで出来る限りのWeb自動化を開発してきた」というほどの情熱家であり、ブラウザとAIの融合というビジョンに強いコミットメントが伺えます。
組織体制としては創業者2名が中心の極めてリーンな体制ですが、これは近年のソフトウェアスタートアップでは珍しくありません。初期段階では少数精鋭でプロダクト開発とコミュニティ形成に注力し、必要に応じて外部コントリビュータやメンターの力を借りるアプローチを取っています。
Browser Useはオープンソースプロジェクトであるため、コミュニティ運営体制も経営の重要な要素です。GitHub上ではMITライセンスの下でコードが公開され、誰でも貢献できるようになっています (Browser Use - Enable AI to control your browser)。実際、プロジェクトはアクティブにメンテナンスされており、コミュニティからのフィードバックやプルリクエストを受け入れつつ迅速にバージョンアップしています (Introduction - Browser Use)。Discordコミュニティも存在しており、ユーザ同士や開発チームとの情報交換・Q&Aが日々行われています (Browser Use - Enable AI to control your browser)。このように開発の活発度は高く、Y Combinatorの紹介ページによれば2025年1月にはGitHubで最も急成長したリポジトリの一つに数えられたとのこと (Browser Use: Open Source Web Agents | Y Combinator)。スター数やフォーク数も急増しており、世界中の有志開発者がBrowser Useの可能性に注目しています。コミュニティ運営については、創業者自ら積極的に参加者と対話し、「こんなプロジェクトを作ってみた」「こういう課題がある」といった投稿に応答する姿勢が見られ、健全なエコシステムを育てています。OSSとして外部コントリビューションを取り込みやすい仕組み(明確なCONTRIBUTINGガイドやロードマップ公開など)も整いつつあります。今後ユーザと貢献者が増えた際には、モデレーターやメンテナーをコミュニティから選任するなどの体制強化も検討されるでしょうが、現時点ではコアメンバーが直接ハンドリングできている状況です。
資金調達状況とVC支援体制については、Browser UseはY Combinator 2024年バッチに採択されており、YCからの出資とメンタリングを受けています (Browser Use: Open Source Web Agents | Y Combinator) (Browser Use: Open Source Web Agents | Y Combinator)。Y Combinatorはシリコンバレー有数のスタートアップアクセラレーターであり、採択されたこと自体がプロジェクトの将来性を示す一つの指標と言えます。YCからは標準的な出資(現在では50万ドル程度)を受けているほか、起業ノウハウの支援や他のYC出身者とのネットワーキング機会が提供されています。YCのデモデイ等を通じて既に複数のVCやエンジェル投資家とも接点ができているはずで、シードラウンドあるいはアーリーラウンドで追加資金調達を実施する可能性が高いです。現に、競合のBrowserbaseが著名VCからシード調達を果たしたことはBrowser Useにとっても追い風で、投資家の興味を惹きやすくなっています (Browserbase Raises $6.5M in Seed Funding)。おそらくYC卒業後のタイミングで数百万ドル規模の資金調達を目指している段階と推察されます。幸い、OSSとして既に技術検証済みでコミュニティも盛り上がっているため、ピッチにおいては実利用例やユーザ数の伸びなどを示すことができ、VCに対して有望な成長ストーリーを描けるでしょう。
また、パートナー企業やアドバイザー陣も今後の体制強化に寄与します。現在は具体的な提携先は表に出ていませんが、Y Combinatorのコネクションや創業者の人脈を通じ、クラウドインフラ企業やAI企業との連携が模索されるかもしれません。例えば、インフラ面ではAWSやGCPのスタートアップ支援プログラムを活用してクレジット提供を受ける、AI面ではOpenAIやAnthropicと情報交換する、といった動きです。組織拡大の局面では優秀な人材の採用も課題になりますが、Browser Useの場合コミュニティから貢献者をスカウトする形で自然にチームインするといったことも考えられます。実際、熱心なOSSコントリビュータがそのまま正式メンバーになる例は他プロジェクトでもあります。
まとめると、Browser Useの経営チーム・組織体制は**「小さな精鋭チーム + 大きなOSSコミュニティ」**という形でスタートし、VCの支援を受けながら成長軌道に乗っています。創業者の高い能力と情熱、コミュニティの勢いが今後も維持・拡大できれば、人材・資金両面で必要なリソースを獲得しつつ事業をスケールさせていくことが十分期待できます。経営陣は技術ドリブンなだけでなく起業家マインドも持ち合わせているため、適切なタイミングでのピボットやビジネスモデル調整もできる柔軟性があります。この布陣であれば、不確実性の高い新市場においても俊敏に対応し、Browser Useを成功に導くことができるでしょう。
【参考文献】
【1】Grand View Research, “Robotic Process Automation Market Size & Share Analysis Report”, Report Summary, 2024 – 「2024年の世界RPA市場規模は37.9億ドルと推定され、2025年から2030年に年平均43.9%で成長見込み」 (Robotic Process Automation Market | Industry Report, 2030)
【2】IMARC, “Japan Robotic Process Automation Market Report 2025-2033 (Press Release)”, 2024 – 「日本のRPA市場規模は2024年に7億3500万ドル、2033年に50億9100万ドルに達し、2025-2033年CAGR 24.0%」 (Japan Robotic Process Automation Market Report 2025-33)
【3】Verified Market Research, “Global Intelligent Virtual Assistant Market Size And Forecast”, 2024 – 「世界のインテリジェント仮想アシスタント市場規模は2024年142.5億ドル、2031年870.5億ドルに達し、2024-2031年CAGR 28%」 (Intelligent Virtual Assistant Market Size, Share, Trends & Forecast)
【4】TechRadar (inkl経由), “I used the OpenAI Operator rival Browser Use and it’s impressive...”, 2025 – 「OpenAIのOperatorは月額$200のChatGPT Pro加入者限定だが、Browser Useは無料で利用可能」 (I used the OpenAI Operator rival Browser Use and it's…)、「Browser UseはGPT-4を用いたクラウド版を公開しており月額$30で利用可能」 (I used the OpenAI Operator rival Browser Use and it's…)
【5】Browser Use公式サイト, 「Pricing - Choose Your Plan」 – 「Open Source版は無料(MITライセンス)、Pro版は月額$30(優先サポート・月$30分のAPIクレジット含む)、Enterpriseは要相談」 (Browser Use - Enable AI to control your browser)
【6】Y Combinator, “Browser Use – Open Source Web Agents (Company Profile)”, 2025 – 「Browser UseはWeb Voyagerデータセットで89%を達成し、2025年1月にGitHubで最も成長したリポジトリ。ETH Zurich出身のMagnus氏(連続起業家・AI研究者)とGregor氏(データサイエンス修士)が2024年に創業。」 (Browser Use: Open Source Web Agents | Y Combinator) (Browser Use: Open Source Web Agents | Y Combinator) (Browser Use: Open Source Web Agents | Y Combinator)
【7】Imperva, 「Webスクレイピングは違法ですか?人によって異なる解釈」, 2023 – 「Webスクレイピング自体は違法ではないが、手法やデータ利用によって法的・倫理的問題を生じうる。著作権保護コンテンツや個人情報を無断取得しサイト機能を妨害すれば違法とみなされる可能性。」 (Webスクレイピングは違法ですか?人によって異なる解釈 - JA)
【8】VC News Daily, “Browserbase Raises $6.5M in Seed Funding”, 2024 – 「AI搭載ヘッドレスブラウザAPIのBrowserbase社がKleiner Perkins主導で650万ドルのシード調達を実施。」 (Browserbase Raises $6.5M in Seed Funding)
気付き・感想
オペレーターが出されてから半年も経ってないのに注目度がすごい、自動化されたら間違いなくインパクト大きい。
本当に実用に耐え得るbrowser useが実現できるが鍵か。技術が追いつかないと資金ショートで倒れそう。動画を再現するっていうアプローチもこれだったら技術的に簡単そうってところもあるのかな?
OpenAIとかAnthropicが直接の競合だからそことの差別化も大変そう。特にAnthropicは力入れてそうだからな。
ブラウザーユーズがメインになったら広告とかどうなるんだろうな。人間が見ない広告意味なくない。それともAIも広告に釣られて物買うようになるのかね?
毎回スクショ撮って判断するってワークフローはダサいし遅いからそのうち改善されるのかな?人間ってスクショじゃなくて動画で判断してるよね。どんなアプローチがあるのだろうか。
自動化がしたいだけならhttpリクエストとコマンドラインで頑張るAIの方が早いし簡単そう。人間が見ても何やってるかがわかりやすいってところが良いところになるのかな?その場合は人間とどのように協働するかがかぎ。
個人的にブラウザユーズは長期記憶がしっかりしないと行き当たりばったりになりそうだから後数年はかかるのかなと思っている。今のo3とかの発展も文字, reasoning, tool useは人間超えてるけど視覚に関しては人間レベルに達してないから。画像認識ができるようになったらブラウザユーズができるようになるかというとまた別。画面をピクセルごとに分割しないとカーソルの位置うまく動かせなさそうだけどそこはどうやって把握するんだろう。
まとめ
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