【オープンデータでデータ分析】"ブロック崩し図"で課題を発見!?観光施策に活かそう
おつかれさまです。
石川県のシビックテック団体Code For NotoのBee.B.です。
民間企業で働きながら、石川県のデータアナリストをしている者です。
今回は、オープンデータを活用して、「ブロック崩し図」=Breaking blocks chartという可視化ダッシュボードを作成し、分析していきます
ブロック崩し図(Breaking blocks chart)とは?
データ可視化手法のひとつで、2つの指標を散布図としてプロットした際に、前年同月比をy軸に持ってくることで、
「前年同月比0のラインを割る=ブロック崩しではボールを落とす」
ことと同じと考える手法です。
今回は、デジタル観光統計オープンデータを使って、
縦軸に前年同月比、横軸に観光客数をプロットすることで、
0ラインを割っている月にはどんな傾向があるか。を分析していこうと思います。
そもそもの発想。
「〇月は繁忙期で~、〇月は閑散期で~対策を講じる」
という言葉を自治体にいるとよく聞きます。
いや、でも閑散期をいきなり盛り上げるより、意外と取りこぼしている月があるんじゃないか?
と思ったのです。
そこで、ブロック崩しがふと頭に浮かび、これなら直観的に課題が見つかるのではないか。とある日の朝5時に思い付いたんです。
※ブロック崩し図という言葉は検索ではヒットしません。私が作った言葉ですので。でも、この見せ方がスタンダードになる日を夢見て。。。
扱うデータ
今回は、2023年10月に公開された公益社団法人 日本観光振興協会さんのデジタル観光統計オープンデータ(お試し版)を使います。
データの概要はこちら
https://www.nihon-kankou.or.jp/home/userfiles/files/d-toukei/gaiyou.pdf
ざっくりいうと、GPS系の人流データを市区町村ごとに集計して公表している数値という感じですね。
このデータのすごいところは公表速度。
毎月第2週目の木曜日に公表されるようです。国の公表している観光宿泊統計は2か月くらいのラグですので、それに比べたらものすごくはやくて使いやすいデータです。
発地別の統計ではないものの、全体の傾向を分析するのには十分なデータです。
データの準備
データは月ごとにダウンロードし、ひとつのファイルにまとめておきます。フォーマットも月ごとで変わったりしない良心的なデータです。
ダッシュボードを作成
今回も例のごとく、Looker Studioを使って、爆速でレポートを作っていきます。
上部には都道府県と市区町村が選択できる機能を付け、
ブロック崩し図の散布図を表示しています。
ブロック崩し図の解釈の仕方
左右は、右に行くほど観光繁忙期、左は閑散期、点の中央は通常期と解釈します。
上下は、0の赤いラインより上に点があれば、前年同月比プラスなので、誘客施策としては十分すぎるほど上手くいっています。この0のラインを下回る要因が様々ありますので、そこを分析すると、新たな課題が見えてきます。
分析
石川県の奥能登地域は地震の影響で観光客がストップしてしまっていますが、2023年末までの現状で分析してみます。
珠洲市
ブロック崩し図は下図のようなプロットになります。綺麗に左右に分かれていますね。
左側に多いのは1月, 2月の閑散期、右側に多いのが5月、8月。
2023年11月が右側のグループに属しています。これは、奥能登国際芸術祭で前値同月比大幅プラスになったことが要因だと推測出来ます。
閑散期の1, 2月に対して、施策を打つことが多い自治体。珠洲市も地震前には2024年の1, 2月に食のイベントをやる予定でした。
でも、ブロック崩し図では、さらなる課題が見えてきます。
「7月の誘客が弱い」
図の中央にある0ラインを割っているグループを見てみると、
7月が連続で0ラインを割っています。夏のシーズンの観光客が年々減少してしまっている。しかし、7月は観光客の人数としては少なくはないので、意外と課題意識が弱く、盲点になっています。
実際に珠洲市の職員さんと会話した際にも、この結果には驚いていました。
表で見てみても、7月、そして9月も意外とギリギリのラインです。
夏のシーズンで観光客数そのものは少なくないので、気候条件的にもポテンシャルのある季節です。こうしたシーズンに、昨年より多くの観光客に来てもらう、もしくは、リピーターに来てもらうための観光施策が必要になってきます。
また、マーケティング戦略としても、全く人が来ない時期よりも、まあまあ人が来ている時期の方が誘客もしやすいのではないかと思います。
さいごに
あなたのお住まいの自治体でも「通常期の取りこぼし」が起きているかもしれません。
ダッシュボードをご活用いただくか、ブロック崩し図はEXCELでも作成可能なシンプルな分析手法ですので、ぜひお試しください。
それではまた!