見出し画像

【オープンデータでデータ分析】統計でみる市区町村の姿データを使って石川県奥能登地域の特徴を把握

おつかれさまです。
石川県のシビックテック団体Code For NotoのBee.B.です。
民間企業で働きながら、石川県のデータアナリストをしている者です。
今回は、オープンデータを活用して、石川県奥能登地域の特徴を炙り出すマップを作成し、分析していこうと思います。


扱うデータ

総務省が毎年公表している市区町村別の主要統計をまとめた「統計でみる市区町村のすがた」データを使っていきます。

市民の暮らしの種々の側面を13分野で体系化した社会・人口統計体系の中から全国の市区町村を対象としたデータを取りまとめたもので、主な基礎データを掲載しています。2023年版は、93基礎データを掲載しています。

https://www.stat.go.jp/data/s-sugata/

ここまで市区町村別のデータを持ってこようとするとかなり大変なので、
ひとつにまとまっている非常に使いやすいデータです。

一般世帯数や総人口などの主要な統計から、保育所数やリサイクル率まで生活に関わる痒い所に手が届くデータとして、眺めて比較するだけでも楽しいですが、今回はマップにして、そのインパクトと地域特徴を見ていきます。

実装環境

今回も相変わらず、Looker Studioを使って可視化していきます。
特に、Looker Studioでは、市区町村名を地域フィールドに設定するだけで、境界データを別のデータセットに持ってこなくても勝手に描画してくれるので、便利です。Leafletなどで実装しようと思うと、境界データのGeoJsonと紐づけをして、描画にも時間がかかるんですが、Looker StudioはGoogleマップと連携されているので、住所とかでも描画出来ます。すごい。

ということで、元々、横持ちのデータを縦持ちのデータに変換したあとに、Looker Studioに突っ込むと以下のようなマップが出来ます。

分析

今回は、石川県の奥能登地域のことを良く知らないという方向けに、
奥能登地域の地域課題をマップで見つけていきます。

非洗浄化人口

水洗化人口とは、下水道の処理区域内において実際に下水道に接続し、使用している人口の。非洗浄人口はその逆で、下水道に接続していない人口数です。今回の震災でも断水が数か月続く中で、上下水道の地域課題が報道されるようになりました。
特に、標準距離と一人当たり上下水道費を分析した際も、奥能登地域の水道課題は浮き彫りになりました。

実際マップを開きながらご覧ください。

奥能登地域が赤く染まっている=非水洗人口が多いことが一目で分かりますね。山間部の集落も多い奥能登地域では、いわゆるぽつんと一軒家が点在しています。また、歴史も古い地域なので、築数百年という古い家も多く、上下水道の無いおうちもたくさんあります。

令和6年能登半島地震で、石川県はインフラ復旧まで長期戦になると見込み、1.5避難、2避難を呼びかけ、奥能登から一時的に金沢地域への避難を呼びかけていますが、実情はなかなか人は動きません。
それは、もともとインフラ設備などが整っていない状態でも生活が出来る人々の知恵が根付いているのかもしれませんね。
被災した古民家では、いまでも竈でご飯を炊くので、被災した当日から温かいご飯を食べられている人たちもいました。

1住宅当たり延べ面積

次は、住宅の面積についてです。私自信、石川県に移住して驚いたのは、古民家の敷地面積の大きさです。何LDKあるんだという巨大な家ばかりです。
奥能登地域の空き家バンクを見てみると、10LDK、畑・田んぼ・裏山付きの物件もゴロゴロヒットします。

奥能登地域が赤い。とくに珠洲市が赤い。
逆に言えば、それだけ災害で潰れてしまった住宅の被害は深刻ということにもなります。

ひとつひとつの家が大きければ、災害ごみも大量に出てきます。陸路でも金沢まで2時間半はかかる最果ての地珠洲市でこの状態なので、今後、ボランティアなどを受け入れたとしても、まずはゴミの処理の課題からです。

ごみリサイクル率

「能登はやさしや土までも」
能登人の生活は大昔から変わらず、地球に優しいサスティナブルな暮らしをしていました。
そんな奥能登地域のリサイクル率を見ていきましょう。

能登町が最もリサイクル率が高く27.6%と全国的にも高い数値(301位)となっています。
能登町が公表しているごみ処理の資料を読んでみても、さまざまなリサイクルの工夫ときめ細かなリサイクルの改善が見られます。

能登町一般廃棄物処理基本計画【ごみ処理基本計画編】
https://www.town.noto.lg.jp/open/info/0000023225.pdf

石川の廃棄物処理(一般廃棄物)令和元年
https://www.pref.ishikawa.lg.jp/haitai/ippai/documents/r1_jisseki.pdf


次に、人口減少が顕著な奥能登地域の地域課題を見ていきます。

保育所数

この記事をお読みになっているみなさんの住んでいる地域には、どのくらい保育所がありますか?

広大な面積の奥能登地域2市2町の保育所数は
珠洲市:7
輪島市:12
能登町:6
穴水町:4
です。それだけ出生数も少なく、大学もないので、高校卒業後は地域から出て行ってしまいます。
また、今回の能登半島地震で多くの人が流出してしまうことが予想されます。

ただ、元々保育所が無かった訳ではなく、減少していった結果、旧保育所が公共施設・避難所として利活用されています。
3年ごとに開催されている「奥能登国際芸術祭」では、多くの旧保育所が、アート拠点として生まれ変わった姿を見せ、また人を呼び込む拠点として利活用されています。

そして、同様に地域課題となっているのは、病院問題です。

病院数

この広大で高齢化の進んでいる地域で、一般病院はどのくらいあるでしょう。

一般病院数は
珠洲市:1
輪島市:1
能登町:2
穴水町:1
です。また、地域特性にも触れておくと、奥能登は山間部が多いため、病院まで直線で結ばれておらず、海岸沿いのくねくねした道を進まなければならないので、救急車到着まで時間がかかる地域もあります。
弊害として、検診受診率が低いというもの地域課題です。さまざまな理由はありますが、アンケート結果を見ていると、「病院へ行く足がない」という回答も目立ちました。高齢化で免許を返納して、移動の足がない。

このように、マップでさまざまな指標を眺めていると、土地勘のない人でも、地域課題が俯瞰して見えてきます。
このデータにはさまざまな指標がありますので、他の指標も見てみてください。各都道府県でフィルタリング出来るようになっていますので、ご自身の地域の指標を眺め、自治体のEBPMにご活用いただければと思います。

読んでいただきありがとうございました。
それではまた!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?