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境界性パーソナリティ障害とは?症状・原因・治療法を専門家が解説
「あの人は、優しかったり冷たかったり、感情の波が激しいな…」
「自分は、周りの人に振り回されやすい気がする…」
もしかしたら、それは境界性パーソナリティ障害(BPD)のサインかもしれません。
今回は、境界性パーソナリティ障害について、その症状、原因、治療法を専門家の視点から詳しく解説します。
境界性パーソナリティ障害とは?
境界性パーソナリティ障害(BPD)とは、感情、対人関係、自己像が不安定で、衝動的な行動を繰り返すパーソナリティ障害の一種です。
「境界性」という名前の由来は、かつて神経症と精神病の境界にある状態だと考えられていたためです。
BPDの人は、見捨てられることへの強い不安や恐れを抱えており、感情の波が激しく、極端な思考(白か黒か思考)に陥りやすい傾向があります。
境界性パーソナリティ障害の症状
BPDの症状は、主に以下の4つの領域に現れます。
感情の不安定性
気分がコロコロ変わり、激しい感情の波(喜び、悲しみ、怒り、不安など)が押し寄せる
些細なことで感情が爆発したり、落ち込んだりする
慢性的な空虚感や孤独感に悩まされる
対人関係の不安定性
人を極端に理想化したり、こき下ろしたりする
相手に依存したり、見捨てられることを恐れたりする
対人関係が長続きしない
自己像の不安定性
自分自身のことがよく分からず、アイデンティティが確立できない
自分の価値や存在意義を見出せない
外見や性格がコロコロ変わる
衝動的な行動
自傷行為(リストカット、薬物過剰摂取など)
自殺企図
浪費
過食
危険な性行為
ギャンブル
これらの症状は、日常生活に支障をきたすほど深刻な場合があります。
境界性パーソナリティ障害の原因
BPDの原因は、まだ完全には解明されていませんが、遺伝的要因、環境的要因、脳機能の異常などが複雑に絡み合って発症すると考えられています。
特に、幼少期の虐待やネグレクトといったトラウマ体験が、BPDの発症に大きな影響を与えることが指摘されています。
境界性パーソナリティ障害の治療法
BPDの治療は、薬物療法と心理療法を組み合わせることが一般的です。
薬物療法
抗うつ薬や気分安定薬などを用いて、感情の波を安定させたり、衝動性を抑えたりします。
心理療法
弁証法的行動療法(DBT):感情のコントロールや対人関係のスキルを身につける
メンタライゼーション療法:自分や他者の心の状態を理解する力を高める
スキーマ療法:幼少期のトラウマ体験や否定的な思考パターンを扱う
これらの治療法を継続することで、BPDの症状を改善し、より安定した生活を送ることができます。
周囲のサポート
BPDに苦しんでいる人がいたら、周囲のサポートが非常に大切です。
感情的な反応に振り回されず、冷静に対応する
相手の気持ちを理解しようと努める
境界線を明確にし、依存関係に陥らないようにする
専門家のサポートを促す
最後に
BPDは、辛い症状を伴う疾患ですが、適切な治療と周囲のサポートがあれば、必ず回復に向かうことができます。
もし、ご自身や周りの人にBPDのような症状が見られたら、一人で悩まずに、専門機関(精神科医やカウンセラー)に相談してください。
困難な道のりかもしれませんが、諦めずに治療を続けることで、より穏やかな日々を取り戻すことができるでしょう。