彼女は夢で踊る 感想
観ようと思ったきっかけはもちろん犬飼貴丈くんです。
犬飼くんのファンの方々が口を揃えてこの映画がオススメだとツイートしていらして、とても気になっていました。
いつか観る映画ランキング1位でございました。
私はといえば、観る観る詐欺の常習犯でございまして。観る、観たい、いつかね、って言いながらなかなか観ないことで自分の中ではお馴染みなんでございます。
それがいざ観よう!と思えたのはズバリ予告のおかげです。
予告がとても好みでした。映像の感じも音の感じも光も役者さんたちの表情、姿、動作も、なにもかもが好みでした。音楽もなんかそれだけで泣けてきちゃいそうな何かを誘発してくる。これ観ないでどうするの?気が急いてしょうがなかった。
犬飼くんの表情もなんだこれ?ってなるくらいに良くて、ファンとして、これ履修せずにいられない吸引力がありました。
んで、観た。
しょっぱなから良かった。
好きすぎた。
ずっと目が潤んでた。
なんでもないシーンがなんでもなくない。それがわかる。ストーリー全然わかってないくせに。そしてそれは正解だった。
えーとこれ、ネタバレしていきますので、もしも映画を観ていないのにうっかりここに辿り着いてしまった方がいたらお戻りくださいね。
ラスト近く、人はなぜストリップを観るのかという問いに対するようこさんからの答え。
そしてメロディならぬサラの最後の言葉。
これはなんかもう、反則級にダメなやつでした。
私もさ、何十年か生きてきて、いろいろあって、手放してきたもの置いてきたもの、そうはしたくなかったのにもう戻れないところまで来てしまったようなあれやこれや、あるわけですよ。
そういうのがぶわっと、別に思い出したわけじゃなくてもそういうときの感じ、それがぶわっと溢れてきちゃったんです。
人間が好き。人間が嫌い。人間って醜い。人間って美しい。
そんなんばっか繰り返してません?生きてると。
恐らく私はストリップの劇場へ赴いたら、「泣いてるお客さん」になるんだと思います。劇中のステージ観てて泣いてたから間違いなくそうなります。
美しいものを見ると泣いちゃうもんね。
音楽もそうです。
美しいものってなんでそうなんだろう。
涙ってなんだろう。
信太郎の気持ちがすごくよくわかるような気がした。
探しても探しても、ようこさんから答えをもらっても、きっと掴めた気はしないんじゃないのかな。
人間がいるところは愛おしいね。
私は怖がりで、なかなか人間に触れられないのですが、触れてみたいと思いました。
今の私は優しいかもです。
そしてサラの言葉。
場所への愛着。
これもダメっす。
私は故郷に割となにもかもすべてを置いてきた人間で、戻りたくないと思いながらも戻れば胸が痛くなるような思い出と離れることはできなくて。
嫌いだと思いながら決して嫌いではなく、いつも何を思ったらいいのかわからなくなります。
あまりいいことのなかった故郷であっても、そうではない場所も当然あって。
陳腐すぎて嫌になりますが、愛。
置いてきた場所にすらそれがある。
そこを守り続けてきた信太郎がどんな気持ちだったのか。
脳内ぐちゃぐちゃです。
とにかく、なにか、わかる気がする。わかったような気になれる。
自分も映画の中に入り込んでしまえたような、ちょっと酔っ払ったような感じなのかもしれません。今。
いちばん好きなシーンは、メロディさんが眠る社長信太郎の上で(文字にするとすげーな)踊って「私のこと覚えてないの?」と囁くシーンです。あそこの信太郎を呼ぶ声がすごく切なくて好きです。
成就しなかった恋愛ものに弱い人間なので、この作品はその意味でもど真ん中ストレートに来ました…。
も、頭いたい…。
メロディじゃない、サラが信太郎の前だけで踊るシーン。私はこのときほどボカシを憎んだことはないです…!
いらんだろそんなもん!!!と叫びそうになるのを堪えてました。信太郎がみたものをみせてくれ!って思いました。
踊るシーン、タイトルにもなってるんだから大切に撮ってるのはわかりますが、本当に美しくて夢のようで、女として、女の子の夢でもあるなあと思ってしまいました。あんなに美しく自分を晒せたら幸せだなあと。お姫さまになることと同じように、これは女の子の夢でもある、と思いました。
綺麗でした。
ほんとに最後、社長信ちゃんがステージに上がって踊り出したときは焦りました。服着ててくれてよかった!
犬飼くんのファンとしては、こんな素晴らしい作品に出演させていただいてたなんて存じ上げず申し訳ありませんでした、犬飼くんを使ってくれてありがとうございました、という感想しかありません。
てか、犬飼くん抜きにしてもこんな素晴らしい作品があまり知られていないってどういうこと?
私はこういう映画がもっと観たいです!!
いろんな感情がぐるぐるしていて熱が出そう。
いい時間を過ごせました。
オススメです。