18章 無謀な挑戦
ライブにも常連レベルに足を運ぶようになり、ライブ仲間も本当に増えた。実は少しだけ欲が出ていた。
自分もライブに出たい。
西口先輩のバンドのタカシ君は同い年でドラムをしていた。
いつも目に留まるのはタカシ君のドラムだった。
最初はカッコいいなぁ〜くらいだったのだが、ライブに通うにつれて叩いてみたいに変わった。
そして。。。
西口先輩に学校帰りにドラムに興味を持った話をしてみた。
先輩、唐突なんですけど俺ドラムやってみたくて!
ドラム?え、いいじゃん!
楽しそうw
まだ練習とか全く??
あ、全然です。
ライブでいつもタカシ君の叩くドラムカッコいいなぁって思ってて、自分もやってみたいなぁって!
タカシが影響なんだ?w
喜ぶよアイツw
とりあえず練習だな!
本気でやるならスタジオで一度合わしてみる?
え‼︎!いいんですか??
スタジオ入ってみたいです‼︎!
あ、でも俺ドラムはすこ〜ししか出来ないから教える程の技術はないな。。。
そう言えばバイト先にプロ級に上手い人がいるんですよ!
一度ライブも行ったんですけどヤバかったです!FMラジオとかでも流れてたり本当に上手いんですよね!
今日バイトなんで教えて貰えるかダメ元で聞いてみます!
もしOKだったら先輩もスタジオ一緒に入ってギターで合わせて下さい!
了解!
そして、バイト先の木村さんにお願いしてみた。
木村さんはバンドマンで、1番バイト先で話の合う先輩だ。
13歳自分より年上なのだが歳を感じさせない若さがある。
とにかく音楽には詳しくて、昭和ロックから punkと色々聴かせてもらった。
自分の周りには不思議と音楽が大好きな人が沢山いた。
木村さん!お願いがあるですけど、ドラムやりたくて木村さんに教えて欲しいんですけどいいですか?
お、マジで?
全然いいよ!
ライブとか目指すの?
出来たら出たいです!
でも、スティックさえ持ってなくてw
今週の終わりブル暇?
ライブあるんだけど来る??
お手伝いって事でスタッフTシャツ着てたら無料で入れるから来なよ!
その時に近くにいい楽器屋があるからそこでスティックだけでも買おうよ!
うわ‼︎!めっちゃ助かります!
神過ぎた。
正直めちゃくちゃ優しい先輩ではあるが、音楽にはポリシーを持っていて簡単に人に教えない感じがしてダメ元だったからだ。
何でも言ってみる物だ。
西口先輩はまだスタジオには呼べない。
何故なら、スティックを持てたばかりの奴とギターが出来る奴が一緒の空間に居ても一日ギターソロで終わるのが落ちだ。
少し叩ける様になってから呼ぶ事にした。
木村さんのライブの日になった。
やはり木村さんのドラムは上手い!
素人目から見てもわかるくらい上手かった。
正直上手すぎてスティックに触れた事のない俺が見ても勉強にはならなかった。
ライブ終わりに楽器屋さんに連れて行ってもらった。
ブル!これこれ!
そこには思った以上にぶっといスティックがあった。
え??これですか??
。。。デカすぎないですか??
いや、いいのいいの!
練習用はこれがいいんだよ!
この重いスティックに慣れる所から始めよう。
なるほど!重いスティックに慣れれば通常の軽いスティックが使いこなせる訳か!少々アナログなやり方ではあるが理解した。
わかりました!
練習用じゃないのは俺の使ってないのがあるからプレゼントするよ!
っえ!ありがとうございます!
そしてスタジオに入って練習が始まった。
教えて貰った通りに持つがうまく持てない。。。
何だこれは。。。
スティックを握る事すら難しい。
木村さんは言う。
ドラムの練習で1番難しいのはスティックの持ち方かもしれないね。
その持ち方をかためる所からだからさ。
だから、スタジオに入らなくても家で練習出来るからブル頑張って!
なるほど、イメージとはだいぶかけ離れていたが家で練習出来る事があるのはいい事だ。
とりあえずその日のスタジオはビートを刻む手前の手前の手前、叩いてみた。で、終わった。
西口先輩にスティックを購入した事を伝えた。
お!ならさ、1週間後ライブしようぜ。
。。。え?
聞こえた?1週間後にライブ。
えーーーー!
1週間後にライブ???
いや、、、でも、、、頑張ります!!!
うんうん、頑張ってくれw
とりあえず2曲な。
やりたい曲を2曲今日の学校終わるまでに考えといて。
わかりました。。。
何もわかっちゃいなかった。
何を言っているんだろう。
ても。。。西口先輩とライブ?
夢の夢の夢過ぎて想像出来なかった。
それでも、断る理由なんて覚えられるか不安とかそんな事しか思い浮かばなかった。練習すればいいのだ。
曲は決めた。
SEXピストルズのSilly Thing
シャム69のBorstal Breakout
この2曲に決めて西口先輩に伝えに行った。
おー!選曲いいじゃんよ!
決まりだな!
今日から猛特訓だなw
展開が追いつかない。。。
でも、ドキドキとワクワクで夢見心地の留年野郎は絶対に1週間でドラム覚えてライブに出てやるとかたく誓った。