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21章 練習の日々

西口先輩にバンドを一緒にしようと誘われて、モキチを加入させてスリーピースバンドを組む事になった。

モキチにはまだ話をしていない為に西口先輩とモキチを誘って呑みに行く事になった。

このモキチと言う男は高校の同級生でありバイト仲間でもある。
大人しい性格で掴み所のない男だ。
背も小さく、声も小さい。
自分の主張が苦手な性格のモキチにはずけずけと人の心に入り込む俺みたいな奴が合うのかもしれない。

席につき、注文を終えてビールで乾杯をしてから本題に入った。

モキチ西口先輩と俺と3人でバンドやらない?

え?俺が?
うん。やりたい。

話早いなw喜べよw

俺は何をやったらいいの?

ベース!西口先輩がギターボーカルの俺がドラムのスリーピースバンド!

何となく俺がボーカルになってるけどモキチボーカルやるか?

いえいえ。西口先輩がボーカルじゃないと違和感しかないです。
ベースやった事ないんですけど、頑張るんでよろしくお願いします。

うん、とりあえずブルと前にやったSHAM69のborstal breakoutって曲覚えよっか!
この曲がモキチの課題ね!

はい!ベースがまだ無くて今週買いに行ってきます!

そんな感じで新しいメンバーが決まった!バンド名は前に西口先輩と1日だけやったバンド名の ブルコング のままやる事になった。

早速次の日からモキチと猛練習の日々が続いた。

当然モキチはベースに触った事もなければ弾いた事もない。
俗に言う下手くそだ。

当然人の事は言えない。
自分も下の下の下である。

最初はスタジオに入っても個々での練習になった。
スタジオに入る時のベースとスティックを持って出入りする姿だけはお互いいっちょ前である。
バンドマン感だけはめちゃくちゃお互い出していたと思う。

そんなこんなで形にはなってきた。

西口先輩を交えて練習する事も増えて曲数も増やして6曲覚えた所でライブに出る話が出た。

モキチからしたら初めて出るライブで顔がひきつっていた。
自分は経験者。。。モキチの3倍ひきつっていた。

西口先輩と出たあのライブイベントにまた出る事になった。
リベンジである。
楽しかったが、めちゃくちゃ悔しさが残るライブだった為に今回は失敗したくない。

そしてライブ当日はやってきた。

自分達の出番は8バンド中、6番目だった。出来れば2番目くらいが良かったが仕方ない。

正直、自分達の番までに他のバンドで楽しんでるのは西口先輩だけである。
俺とモキチはと言うと裏で30代くらいまで老け倒した顔でため息をついていた。

そして出番がやってきた。

彼女のミキも来ている。
かっこ悪い姿は見せられない。

メンバーに聴こえるくらいの音でカンカンカンカンとハイハットを叩いた。
これが始まりの合図である。

最初は息ぴったりに出来た!

しかし、4曲目でバスドラのキックと言う右足で踏む太鼓が外れてしまった。。。

うわぁ。。。と思っていたら、ドラムの音とベースの音はとても似ていてそれをしっていたモキチがベースの音を上げてカバーしてくれていた。
すぐに状態を改善して立て直した。
そして最後までやり切った。

ライブ終わりモキチに マジでありがとう。 と伝えると、親指を立てて来た。
あの時のモキチには本気で抱かれてもいいと思った。

西口先輩も俺とモキチを褒めてくれた。
あまり褒めたりしない西口先輩が褒めてくれてめちゃくちゃお互い嬉しかった。

打ち上げでも他のバンド仲間やら彼女のミキからも絶賛されて溶けてしまいそうだった。

初めて自分からやりたい事をここまでやって、それを実現して本当に自信がついたと思う。
もちろん西口先輩とか色々な人に助けてもらいながらではあるが、本当に楽しんで身についた唯一の宝だ。

今の自分にもかなり影響している事は間違いない。

高校青春期!まだまだ続く。





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