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13章 迷走

完全に迷走していた。
毎日楽しいはずが、違和感と不安に押し潰されそうになっていた。

学校は寝に行っていた。
周りはどんどん学校を辞めて行く中、俺は辞める事なんて頭に浮かばずにただただ遊び続けた。

その時、親友のシンゴが焼肉屋でアルバイトをやり始めた。

そこの焼肉屋には自分の学校の女の子が2人いた。
1人はミキ、同じクラスだ。
2人目はマミ、違うクラスの女の子だ。
その2人は俺とシンゴみたいな関係でとても仲のいい2人だった。

そんなある日の休み時間にマミが声をかけてきた。

ねぇねぇ!ブル君ってシンゴと仲良いんでしょ??
あたしバイト先一緒でさぁ!
あの人マジウケるんだけどw
かっこいいのに気持ち悪い所とかw

言いたい放題言われてて笑ってしまった。
とにかくシンゴが面白いらしく、毎日シンゴの話をしに来た。

ミキとも仲良くなった。
ショートカットでヒステリックグラマーのブランドが好きな細い女の子だ。
でも、以外とミキはシンゴの話はしなかった。
授業中に寝てると、よくシャーペンで首を軽くつつかれて起こされた記憶がある。
学校帰りにカラオケに皆で行く中の1人でもあった。

次第にプライベートで4人で遊ぶ事も増えた。
外で近くのでっかい公園で夜な夜なお酒を呑みながら語った。

ある学校終わりにシンゴに呼ばれてシンゴの家へ行った。
シンゴが言う。

俺マミ好きでやべ〜

何がやべ〜のかは分からないが好きなのは間違いなさそうだ。

マミって学校だとどんな感じなの??

え?昼休みとかお前の話しによく来るよ。てっきり付き合ってはないとは思ったけど、いい感じなのかと思った。

いや、全然。ブルとミキと4人で遊ぼとか言うと来るけど、個人的に2人では2回断られてる。。。
あれかなぁ。。。バイトの打ち上げで酔ってキスしようとしたからかな?

それだよ!それ以外ねーわ!お前酒癖わりーの自覚してねーからなw
多分、気になる存在だと思うよ。お前の事。でも、様子見られてる感じだな!

そっかぁ。。。ブルはミキとかどーなの??

え??

正直怯んだ。
気になる存在だったからだ。
でも、好きなのかどーなのかはよく分からなかった。
でも、シンゴに質問された瞬間に何も言えなくなった所を見ると好きなんだと思う。

ミキもバイト先でブルの話よくするよw
あいつがイケメンだったらなぁ。。。とかw
面白いし優しいけど。。。イケメンだったらなぁ。。。ってwwww

なんだよそれ!

内心嬉しかった。
自分の会話をしてる事にビックリした。
その日から無駄に意識する様になった。

そしてある日の夜な夜な公園タイムの時、シンゴがマミと夜の散歩して来る〜!と言ってマミを連れてでっかい公園の中に消えていった。
ミキと2人になった。
お酒も呑んでいるからなのかミキがいつも以上によく喋った。

親から虐待されてると話出した。

ミキはお父さんはいない。
父親はミキが幼い時に母親と離婚して以来会ってないらしい。
母親とお姉ちゃんと3人暮らしだ。

話を聞くと母親に中学生の時辺りから暴力を振るわれてるらしい。
しかも、機嫌が悪いと何もしてないのに部屋に勝手に入ってきて顔以外を殴るらしく中学の時から家にはあまり帰らずに友達の家に泊まって生活をしていたらしい。

正直意外だった。
意外とは失礼かもしれないが、そんな素振り今日の今日まで1度も見た事がなかった。

確かにミキの親は変わっている。
ミキは1度停学になっている。
理由はタバコだが、ミキの母親がタバコを見つけて学校に通報したのだ。

それが教育の一環なのかは定かではないが、この話を聞く限り教育とはかけ離れた母親に娘を更生させる為とは到底思えない。

ミキは泣いていた。

ブルはいいな。。。
おじさんもおばさんも帰れば洗濯もご飯も何でもしてくれるでしょ?
あたしは昔からお金だけ渡されて後は全部自分でやって来た。
お姉ちゃんとは仲悪いしいつも1人だよ。
まぁ慣れてて普段は辛いとか思わないんだけどさ、夜とか周りの家族とか見ると途端に寂しくなる瞬間があるんだよね。

何も言ってあげられなかった。
自分は幸せなのか?
父親とは本当に仲悪いし口も聞いていない。
妹とも仲は良くないし、母親は。。。唯一母親の事を考えると胸が痛くなる。
迷惑ばかりかけているのは自覚していた。

とてもじゃないけど、ミキに今の俺の父親との距離とかを話す気にはならなかった。到底理解して貰えないからだ。

その日はミキの話を聞いてあげるだけしか出来なかった。

そして間もなくして、シンゴとマミが付き合う事になった。
いつもベタベタしていた。

それでも4人で遊ぶ事は逆に増えた。
バイトの打ち上げにシンゴとマミとミキを呼んだ事もある。
社員のいない打ち上げには毎回の様に呼んでいた為に、仕事場のメンバーとも皆仲良くなった。
しかし、このままじゃヤバいヤバいと心のどこかで叫んでいた。
迷走していた。

そして、そんな楽しい時間だけを過ごした結果。。。当たり前の事件が起こった。

留年である。

あの自分の名前の漢字を書けたら入れると唄われた高校を 留年 したのである。

母親に何て伝えよう。。。心が痛かった。


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