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16章 宝物

家に帰り、西口先輩に借りたCDをすぐに聴いた。
聴いた事がない。。。何だこれは。。
とにかくカッコイイ!!!
ヤバい!!!
全曲30分くらいだろうか?
夜中までずーっと聴いていた。
当時はパソコンとかは無いためにテープに録音した。

次の日

仲間に西口先輩のライブの話をしてまわった。

え?マジ?先輩の家行ったの?ブル?

うん!ヤバかった。。。めちゃくちゃお洒落だったし、見たこともねー黒い洋酒の瓶とか。。。

ウイスキーだよそれ!ヤバ!鏡月か発泡酒しか俺ら呑まねーもんな。。。
そか!ライブのチケット売ってくれるのか!めちゃくちゃ楽しみだなw

15人くらい集まった所で西口先輩に伝えに行った。

西口先輩!チケット15枚売れそうです!

え?そんなに?
明日持ってくるわ!
ありがとうね!

いえいえ!
あ!チケットって1枚いくらですか?

あ!クソたけーよ。。。
大丈夫?

。。。い、いくらっすか?

500円wwwww

えーーーー??
500円??
いやいや、ちゃんと正規で払いますよ!!!
いくらっすか??

いや、正規で500なのよww
しかもワンドリンク付きww

マジっすか??
マイナスじゃないんですか??

マイナスだよww
好きでやってるし、俺らが値段決めてる訳じゃないからね!
いつも同じイベントに出させて貰ってるんだけど、そのイベントはずーっと安い値段でやってんのよ!
だから皆来やすいでしょ!

はい!
明日、チケットヨロシクお願いします!

うぃ!
今日も乗せて。

うぃっす!

次の日。

あ!ブル君!これヨロシク

うわ!!!チケットだ!!!
カッコイイ!!!

チケットではしゃぐなよw
あ!このチケットの絵俺が描いてんだよ!

え?マジっすか!めちゃ上手いじゃないですか!
俺も絵好きなんすよ!ヘタっすけど。

あ!俺も美術部入ろかな

入りましょ!入りましょ!

何か色々嬉しかった。
先輩の絵も色々見てみたくなった。

そしてライブ当時。

18時に入場の18時半スタートのチケットを握りしめてライブハウスに仲間と来た。

。。。帰ろうかと思った
周りを見たらガッチガチに決めたモヒカンだらけだった。
緑のモヒカンに青のモヒカンにカラフルなモヒカンに。。。
鋲ジャンにスキニーパンツにドクターマーチン。
簡単に説明するとこんな感じだ!
最初の印象は。。。正直怖かった。
でも、クソカッコよかった。

あ!ブル君!

。。。え?

一瞬誰かわからなかった。
西口先輩だ!!!
どーやって固めたらそんな長いモヒカンをキープ出来るの?ってくらいの高さのあるモヒカンだった。
雰囲気もいつもと違ってめちゃくちゃかっこよかった。

周りの仲間も呆気に取られている。
無理もない。
日本であって完全にロンドンなのだ。

先輩にこっちと招かれてライブハウスに入ると、そこはBARカウンターのあるライブハウスでタトゥー入ったセクシーなお姉さんがお酒を作っている。
全てが初めて見る光景だった。

ボーッと見ていると、入んの?出んの?と、ぶっきらぼうな声が聞こえて振り向くと顔面ピアスだらけのPUNK女が立っていた。

ねぇ!チケット!

あ、すいません。
とチケットを渡し手にスタンプをつけてもらった。
チケットの半券を返してもらって、これをあのセクシーなお姉さんに渡したらお酒が1杯もらえるらしい。
高校生のブル少年からしたら初めての事過ぎて頭が追いつかなかった。

そしてライブが始まった。

最初のバンドは西口先輩の仲間のバンドだった。
皆、前の方は暴れ回っている。

うわぁ。。。スゲーと、見とれていると

西口先輩がやって来て思いっきり手を引っ張られて前の集団に蹴り入れられた。

もう、もみくちゃ所の騒ぎじゃない。
でも。。。何かすっげー楽しかった。
ノリ方も知らないながら、音楽に乗せて暴れてみた。
西口先輩がそれを見て肩を組んで一緒に暴れてくれた。
俺も何故か、今はいいんだと確信して西口先輩の肩をくみ左腕でガッツポーズをしながら暴れ倒した。
最初のバンドでもう服も汗でビタビタだ。でも、興奮が止まらなかった。

そして先輩のバンドの番がやってきた。

バラクーダーの日本全国酒呑み音頭の曲に合わせてメンバーが出てきた。
高校生でこの選曲はセンスが良すぎる。

そして始まった。
さっきの勢いもあり暴れまくった。
借りたCDの曲もやってくれた為にめちゃくちゃテンションが上がった。

他の仲間も一緒に肩を組んで無我夢中で知らないおっかない人も含めて、音楽に合わせてoI!!!oi!!!と叫びながら暴れ倒した。

こんな世界があるのか!と、感動すら覚えた。

それからは、毎月そのイベントに足を運ぶ事となる。

名前は伏せるが、皆さんお馴染みのバンドもその時そのイベントでインディーズで活躍していた。
そのイベントはPUNKでは有名なイベントになって色々な地方からバンドがやってきた。

とにかく、俺の宝物の思い出だ。




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