桜の名所をご案内
京都は今、桜の花に溢れている。
ちょうど、先週末に岡崎インクラインの桜を見てきたのだが、大変な人手で、まぁ、この場所は毎年こうである。今年の桜は早いので、来週末には散りゆくのだろう。
桜の花は日本人の心とよく言われる。美しく咲き誇って、そうして、すぐに散る様の儚さである。
さて、私が今回紹介したいのは京都洛西、十輪寺の業平桜である。
洛西には見どころの多い場所、寺院なども多いが、交通アクセスが大変に悪いため、観光にはハードルの高い場所である。洛西ニュータウンを超えて、完全に京都市内とは異なる(それこそ大原のような)景色が登場すると、もうまもなく十輪寺であるが、然し、車がなければそれでもなかなか大変だ。
駐車場はあるが、10台前後停められるといったところだろうか。桜の季節はこれもまた混むのだが、平時は全く問題なく停めることが出来る。
この十輪寺は歌人の在原業平が隠棲地であり、無論、彼が愛でたわけではないが、樹齢200年という立派な枝垂れ桜が咲いていて、春には大変華やかになる。
お庭に中央に咲いているのである。この庭のことを、『三方普感の庭』と言って、高廊下から庭、茶室などを見下ろすのだが、これが宇宙を表しているという、誠に壮大な景色である。
無論、見立ててである。然し、枯山水も見立てである。日本人の心は、桜と、見立てなのである。
そして、この廊下では寝転んで桜を鑑賞するので、ある種パノラマ的な景色が堪能できる。
このことに関しては、以前書いたので、激暇な方は読んで頂けたら嬉しい。
在原業平は非常に美男だそうで、彼にこじつけて、女性めく美しい男性を、芸能の世界にて、ふたなりひら、と呼ぶ。つまりは、二形(両性具有)である。
まぁ、駄洒落のようなものだが、女より美しい男、男よりも美しい女、これ、即ちふたなりひらであるが、
桜の花もそうである。桜は、美しい人に添えてこそより、美しくなる。所謂、映え〜、であり、かつ、エモいのである。
桜を擬人化したとして、それは、美しい男でも美しい女でもあるだろうし、
そうして、桜は美少年と美少女の色でもある。どちらも恋をすると頬が血の色に染まって、それが薄皮隔てて桜の花びらのように見える。
京都の西、あまりにも美しい枝垂れ桜は、在原業平の化身である。
まぁ、いい場所なので暇な方は是非お越しになるといいかと思いつつ、今年の桜も、もう儚くも散る時刻である。