ヒバリ14. 「健康か」 「経済か」という二分法を使って国民を操る卑怯なやり方 武田邦彦氏
14回目 「錯覚を呼ぶ問い」 2020.8.15
「大衆の時代」と言ってもいい昨今、それに輪をかけて、テレビが「テレビウイルス」(繰り返し繰り返し報道することで、他人の判断力を失わせるもの)を国民に植えつけてきた。
戦前、朝日新聞が、「戦争しなきゃいけない、戦争しなきゃいけない」と報道したことは、戦争をした大きな一つの理由である。
民主主義の社会で「社会を煽る」ということがいかに危険なことかを認識しないといけない。
最近、その中で危険なものが1つ、現われたので話をしたいと思う。
「健康か、経済か」というアンケートがあった。
「健康」‥新型コロナを防ぐために自粛も仕方ない、という意。
「経済」‥そんなことを言っても、生活が成り立たなければダメなのだから自粛は良くない、の意。
これは、悪魔の問いである。そりゃあもちろん人間だから「健康」が1番大事なのである。
(ヒトラーが好んで使った見せかけの選択肢の手法の、「二分法」である。※人間の本性に強烈に訴えるので俗受けする。あらゆる人間が陥る病理現象。「プロ弁護士の思考術」矢部正秋。PHP新書。ブルームーン付加)
それにより、「健康が大切」が84%であった。こんな(トリックが含まれるような言い方の)問いかけをしたら当たり前である。もちろんこの結果(84%)は自粛をするために政治的に使われた。
このトリックを使って今までに日本にとって1番悪いものをもたらしたのは民主党政権の最初に言っていた「コンクリートか、人か?」であると思う。
その頃、少し「社会が荒れているのではないか」、「人を大切にするのではなくて、コンクリート(道路工事など)を大切にしてきたのではないか」とかすかに、みんなが思っていた。
民主党はその弱点をついて、「(大切なのは)コンクリートか、人か」「コンクリートから人へ(コンクリートよりも人を大切にする未来へ)」など言った。
そう言われれば「人」なのである。そう言わざるを得ない。
ここでおかしいのは、コンクリートは人のためにあるのに、コンクリートと人を並列にして「どちらか?」と問いかけていることである。
本来ならば、「(人のためにある)コンクリートが使いすぎているか? 適切か? 不足しているか?」という問いのはずである。
この問いも「二分法」であり、危険で、錯覚を起こすことを、民主党は理解していたはずである。
民主党がいかに人を軽んじていたか、いかに民主党政治がダメだったかわかるエピソードである。
各国のGDPと平均寿命
※「 各国の一人当たりのGDPと平均寿命 1987年と2017年 」表、参照。
所得の少ない国 寿命が40才から60才
1万ドルくらい 何とかやっていける
4万ドル〜 まあまあそこそこの平均寿命をみんなが保てるようになる。
経済と健康はもちろん関係している。
日本でも今は、クーラーがあるので今は体が悪い人でも、お年寄りでも夏を楽に暮らすことができる。
暖房も整っているので、(昔のお年寄りはだいたい冬でお亡くなりになっていた)冬も容易に乗り越えることもできる。
昔は、お風呂は家になかった。表で言えば、1万ドル以下のところには家にお風呂を作るのは難しいと思う。栄養も不十分であるし、お医者さんにかかるお金も十分ではなく、医療施設も充実していない。
当然、寿命は短くなる。
健康と経済は「一体」である。健康が大切だが、「貧乏になったら健康を損ねる」のである。
そして、「健康か、経済か」という選択を国民にさせるのことこそが、悪魔の問いかけなのである。そしてこの(悪魔の)問いかけは、今のこの自粛が「的を外れている」から起こることなのである。
民主党の「コンクリートから人へ」の時も、政策が「的を外れている」から(悪魔の)アンケートをせざるを得なくなった。
政治は程度問題である。程度問題がわからなくては政治家とは言えない。
現在の、7月〜8月の新型コロナの状況を見れば明らかに「経済を犠牲にするほど危険ではない」と思う。
(3月、4月の時とは違う。)
このことを私たちは、テレビウイルスに対抗するために「ハッキリと」そう思わなければならない。
そうしている方が病気にならない。むしろ心配していたら病気になるのである。
今、新型コロナでお亡くなりになった人が全国で5人。(これは一年で1,700人ペース)
しかし、肺炎は約10万人、ガンはもっと多く、交通事故(少なくなったと言われる)で約4,000人。
「1,700人(の犠牲を避けるための自粛)」とはどんな感じかと言うと、「交通事故が怖いから外に出ない」「交通事故があるから車は販売しません」と、言っているようなもの。
NHKが、「新型コロナの感染が拡大しているなか」と今年の2月からずっと言っている。
「新型コロナの収束が向かっておりますが‥」というのならわかる。全然拡大していないし、たいした病気じゃないということがわかっている。聞いてみてほしいが、枕詞には絶対に「新型コロナが拡大している」がついている。
ただし、ヒバリなので、「これはウソだ」と思って聞いていればいい。
お風呂の中でお亡くなりになる人は、コロナの約10倍。(17,000人/年)
階段で亡くなる方 コロナの約20倍。(34,000人/年)
1,700人というのは、お餅が喉に詰まってお亡くなる老人と一緒くらいである。
昨日少しデータを整理してみた。自然に亡くなるお年寄りと、新型コロナでお亡くなりになるお年寄りの方の年齢を調べてみた。
「80才でお亡くなりになる人がコロナで70才でお亡くなりになった」ということならば心配である。
ところが今回の新型コロナの方が「お年寄りにならないと」亡くならない。
コロナでお亡くなりになる人の年齢が上がれば上がるほど(比率が)高いことがわかった。
つまり、自然死の可能性が高い高齢者ほど、コロナでお亡くなりになる可能性が高い。
もし他の病気とコロナを選べるなら(選べないが)コロナを選んだ方が長生きになる、ということ。
※これは(他のお亡くなりになる原因とは違って)自然死になるべき可能性の高い人がコロナにかかりお亡くなりになっている。つまり(身も蓋もなく数字だけを言うと)もしコロナにかかっていなくても(この2月から今までの)コロナ期間に、お亡くなりになっていた可能性も高い方たちである。
(※ブルームーン解釈)
これには私もビックリした。まさかここまでとは思わなかったが、私ですらもテレビウイルスにかかっていたということなのだろう。
やはり私たちはテレビの言うことを鵜呑みにせず、自分で考えることをしていかなければならないと思う。テレビ(や他の人など)が100言ったことには100疑うことをベースに、そしてその上で自分自身で考えるということをしていく。そういうことが大切だと思う。