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【保護猫TNR】地域猫一斉TNRの経緯について①
さて、ついに本日から武甲にゃんこ地域一斉TNR活動を始めます。
今回は200名山でもある武甲山、この山は秩父地域のみんなの心の拠り所ともいえる場所なのですが…
どうもそんな山の麓の町に猫を捨てていく不届き者がいるようです。
不妊していない雌猫の行動範囲は50~100m、オスでは200mと言われております。しかし、今回の現場は里から少し離れた別荘地です。
正直、生活のしやすい麓からわざわざ危険の多い山の方へ入ってくる猫は今までも数十年間いなかったとのことですが、突然現れた2匹の猫で事態は急変していきます。
1年前、1匹の雌猫が突然やってきて、外飼いされていた雄猫との間に子供も設けました。
また同時期に柄の違う雄猫が現れるようになります。
その雄猫と先ほどの子猫の子供が子供を作っていく。
これが大繁殖の始まりとなったのです。
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現在の対象地区は上記で見るところの1年後を示しています。
猫は繁殖力の強い生き物です。
交尾後に雌猫が排卵するためほぼ100%妊娠します。年間出産数は2~3回。
1度の出産で生まれる子猫が4~5匹。
つまり、1頭の雌猫が1年に8~15匹出産します。
山の麓とはいえ、猫の強敵はたくさんいます。
蛇、ハクビシン、イノシシに狸、野鳥。
そして寒さが厳しい場所ですから、冬生まれの子猫は残念ながら亡くなっている可能性が高く、大繁殖は抑えられた方なのもしれません。
あれから1年、地域の状況は悪化して、現在4コロニー(世帯)確認でき、目撃総数は15匹と思われるとのことです。
では、この15匹、このままさらに1年放置するとどうなるのか・・・?
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あっという間にこの50世帯あまりの地域の猫も80頭を超えてしまいます。
こうなったら聞こえのいい別荘地ではなく、ただの猫の無法地域です。
リアルに想像してみてくださいね?
車のボンネットは猫たちの爪とぎとして引っかかれ、冬は寒さを凌ぐ為にボンネット内に猫が侵入してしまいます。通称ネコバンバンをしないと大変なことに…
庭は糞尿が多く鼻につくツンとした臭いがするようになります。
気軽に家庭菜園を楽しむこともできませんので、猫のトイレを設置したり猫除けをしたりと自腹で対策をするようになります。
ベランダは猫の毛が多く掃除も大変になります。
私道での猫の交通事故や、鳥による食い荒らしでしょうか、猫の死骸を目にすることも多くなります。
※ちなみに私有地で猫の死骸が見つかった場合は、その土地の所有者や管理者が処理することになります
こうなる前に人間が管理をするしかありません。
よく地域の回覧板に「餌をやらないでください」と回ってきます。
では、餌をやる人が悪いのでしょうか?決してそうは思いません。
だって不幸にも猫はすでにそこにいるのです。エサがもらえなくなれば他の場所に移動するだけです。
全員餌をあげなくなったとて、人間の間違った飼育によって増えてしまった猫が飢え死にするだけなのです。
ならどうすればいいのか?
エサをあげる方は責任をもってエサやりをしてください。
餌をあげるなら猫との信頼関係も築くことができますので、必ずTNR活動もセットとして考えましょう。
そして田舎あるあるですが…
飼い猫を外へ出すなら、せめて不妊治療をしてほしいのです。
※TNRとは? Trap(捕まえる)、Neuter(不妊手術を行う)、Return(元の場所に戻す)の頭文字をとりTNRといいます。地域の猫を保護する活動のことです。
しかしすべての人が保護猫活動を行うのは難しいでしょう。なぜなら、Trap(捕まえる)ことができたとしても、Neuter(不妊手術を行う)にはお金が必要になります。一般的な動物病院での不妊手術は15,000~30,000円です。
病院へ連れていく時間の捻出、交通費、普段のエサ代、不妊手術代、特定の人がこれを何匹もの地域猫に施し続けるのは経済的に厳しいのではないでしょうか。
自分の家のペットは話は別ですよ?
ペットで飼うなら最低でも不妊手術をやりましょうね!
猫への餌やりの前に、犬猫たちの販売の安直さが根本原因だとは思います。また販売方法以外にも飼育に対する法律もないことが、こういった地域問題を改善できない大きな理由かと思います。
猫の飼育に関する法律は、このように国によって異なります。
スイス:動物の尊厳を憲法レベルで定め、厳しい動物愛護法を定めている国です。マイクロチップの装着や、犬の販売における販売者の情報や血統の明記などが義務付けられています。また、ウサギやモルモットなどの小動物は2匹以上で飼う必要があります。
イギリス:ペットショップにおける生体販売は禁止されており、子犬や子猫の販売には対面式での購入が義務付けられています。
フランス:ペットショップにおける犬猫の売買が2024年1月1日から禁止されます。これは、ペットショップで子供のプレゼントとして買われた犬と猫が遺棄されることが多いためです。
スペイン:猫には生後6ヵ月までに避妊・去勢手術を受けさせることが義務付けられています。
オランダ:猫の「バンビーノ」繁殖が禁止されています。
日本でも「動物の愛護及び管理に関する法律」(動物愛護管理法)に基づき、猫は室内飼養に努め、公共の場所や他人の土地、建物等を破損しないよう努めることが規定されています。また、環境省による基準があり、人に迷惑を及ぼさないよう努める必要があります。
マナーの良さが日本の売りですが実際のところ「努力義務では努力しない人が多い」のです。
私がアメリカに住んでいた30年前でも自転車に乗るにはヘルメットが義務されており、守らない人はいませんでした。
日本でも令和5年に努力義務化されていますが、あれから30年経った今でも少数派ですので、様々な法整備で日本が世界に遅れをとっていることは容易に伺えます。
今後なるべく早く、動物の販売や飼育方法が「義務化」のステージに入っていくことを切に願います。
話は少し変わりますが、秩父ヘ移住してきた4年前、まさにコロナ渦の中に働き方がかわりました。そうリモートワークや在宅勤務制度です。
私の働く会社では、2020年春、完全在宅勤務制度に変わりました。
そして東海地域を担当しており週に2回は名古屋にいた私でしたが、出張もなくなり、4月にバックオフィスである戦略チームへ異動となりました。
これを機に夢であった田舎暮らしを娘と2人で実現するため、ここ秩父郡横瀬町へやってきたわけですが、当初はこの別荘地の一軒を購入し暮らしていました。
現在は再婚し、同町にいるものの、さすがに2軒の家は必要ないため別荘地の方を売却し、お世話になった近隣の方へのご挨拶をしていたところでこんな話がでてきました。
「最近2匹の猫が子供を産んで10匹以上になってるんよ」
「雌のねこちゃん、また妊娠しているみたいよ」
「車のボンネットが猫の爪傷だらけで困ってるんだよ」
「ほら、みて。今はベランダに猫除けしている家が多くなったでしょう?」
「うちの猫、今、野良が集団で攻撃してくるから外に出せない」
「役場に連絡したら、猫を捕まえて保健所につれていってくれないかな」
どこへ行っても猫問題の話なのです・・・。
今後どうするのですか?と聞いても「これ以上増えたらNPOだ」「保健所がどうにかしてくれるだろう」「役場が動くだろう」という私もこの時は無知すぎて何をしたらいいのかわからず。
一つ私と皆さんに共通していることは、どこか他人まかせなのでした。
無知な私ではありましたが、今飼っている猫が保護猫だったこと、少しだけ猫の保護活動への知見があったので一番近くのTNR活動をしている団体へ問い合わせすることになったのです。
②へつづく