【THE HOPE】日本のHIPHOPシーンはどこに向かうか【コラム】【エッセイ】
ようこそ、ライターのLil Naoと申します。
記事をご覧いただきありがとうございます!
今回は、先日の【THE HOPE 2024】の企画として制作された曲から、日本のHIPHOPシーンがどこに向かうのかを考察してみようと思います。
1.『My G's』の衝撃
曲名は『My G’s』
ラッパーはAK-69 feat.SEEDA
プロデュースはChaki Zulu
ということで、この組み合わせは間違いない。
AK‐69とSEEDAのコラボは初となっており、どちらも2000年代の日本のHIPHOPシーンをけん引してきたラッパーである。
肝心のリリックであるが、たくさんのラッパーがネームドロップされており、30余年の日本のHIPHOPシーンを総括するような曲になっている。
リリックをすべて載せてみるが、ラッパー、グループ名、またたくさんのサンプリングなど、細かい解説をするのも野暮なほど丁寧に盛り込まれている。
ここで日本のHIPHOPシーンを振り返って見ると、定期的にアンセム的な曲が発表されてきた。
代表的なものをいくつか挙げてみよう。
2.『I REP』
2010年リリースのこちらの曲は、DABO,ANARCHY,KREVAという、当時では不可能と思われたコラボ曲となっている。
DABOが間を取り持って作成された楽曲となっており、日本のHIPHOPシーンが一歩前進する曲となった。
3.『24 Bars To KILL』
こちらも2010年リリースのSki Beatzのコンピレーションアルバムの一曲。このアルバムは本当に様々なラッパーが参加しており、コラボも豪華となっている。
特にこの曲はそのアルバムを代表する曲となっており、組み合わせも良い意味で異常である。
HIPHOPのブラックな面を凝縮したような一曲。
4.『Beats & Rhyme』
2011年にはこちらの曲がリリースされている。DJ HAZIMEのビートによりとてもアクティブな印象となっているが、4人それぞれのパワーがぶつかり合った曲である。
5.『STAND HARD』
こちらは2012年リリースの一曲。
この時代はとにかくSALUが怒涛の勢いでシーンの代表に駆け上がっていくのを感じていた。
こちらのコラボも異色であるが、SALUならではの選任であると思う。
6.『一網打尽』
こちらは2014年リリース。
韻踏合組合の曲にNORIKIYO,SHINGO☆西成,MC漢が参加し、話題となった。
MVもHIPHOP熱溢れるものとなっており、いつ見ても興奮する曲である。
7.『口からでまかせ』
ぐっとさかのぼって、1995年リリースの『口から出まかせ』。
本当に偶然的に作成されたこの曲であるが、こういった今ではレジェンド級のグループがたくさんコラボすることで、シーンが盛り上がっていたのは確かだろう。
ちなみにこの3グループが再コラボした『TOu-KYOu2021』もアンセムとしては最高峰である。
8.『東京キッズ』
最後は2022年リリースの2曲。
こちらは連作となっており、KYANDYTOWNのIOとYENTOWNのMoney Horse、そこにZeebraと般若が参加し、世代を超えたコラボとなっている。
ビートは美空ひばりの楽曲をサンプリングしており、HIPHOPがいかに音楽史を重要視しているのかがわかる一曲だと思う。
9.シーンはどこに向かうのか
以上、7曲を代表に挙げて振り返ってみたが、時代ごとにアンセム的な楽曲がリリースされていた。
異色のコラボというのが一つのトピックであったし、シーンをけん引しているラッパーがはっきりしていたように思う。
またリリックの中には、サンプリングやシーンをとらえた内容が多く盛り込まれている。
その流れで行くと、冒頭に挙げた『My G's』も、これらの楽曲につながる最新のアンセム曲に仕上がっていると言えると思う。
現在のシーンを見てみると、ベテラン・中堅・若手という線引きでは分けられないほどラッパーが多様化してきており、HIPHOPシーンは曖昧なものになってきている。
それどころか、シーンというもの自体の必要性さえ問い直される時点だと思う。
若手でいくと、『ラップスタア誕生』や『レッドッブルマイク』などの企画でメディアに出て、いろいろなラッパーとコラボすることができるようになっている。
また『THE HOPE 』や『POP YOURS』など巨大な会場でのフェスの開催、武道館や東京ドームでのライブなど、活躍の場は広がっていく半面、それ以上の行き場をなくしつつある印象もある。
歴代のラッパーは、日本という土地で、日本語でHIPHOPを作り上げようと進撃してきた。
だが、ハングリー精神が根底となるHIPHOPにおいて、大きな会場でライブをし続けることのマイナス面がどう影響してくるのか、またそこをどう乗り越えるかが一つ大きなポイントとなるだろう。
整備されつつある日本のHIPHOPシーンを、新しい流れで破壊するラッパーが必要となるのかもしれない。
ここまで読んでいただいてありがとうございました!
今後ともよろしくお願いします!